2015/6/28更新
派遣法や労基法の「改正」が今国会で進められる中、最低賃金の視点から生活保障と労働条件改善を求める取り組みが6月14日に行われた。「賃金あげろ!! SOUND DEMO★」(主催:自由最賃同盟)だ。
同主催団体は去年夏からデモや署名などの街頭活動、ツイッターを用いた最低賃金関連の情報拡散を行っている。最低賃金大幅引き上げを求めるデモの様子と意義をまとめた。(編集部ラボルテ)
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最低賃金が1000円(京都は現在789円)になれば、1カ月3万円の賃上げにつながる」とシンプルな呼びかけで集会が行われた。デモには約60名が参加。サウンドデモのテンポに合わせながら「生活できる賃金よこせ!」「非正規雇用じゃ食ってけないぞ!」と、三条や四条一帯の京都繁華街を行進した。
すき家など非正規ばかり雇用する大企業の店舗前を通過する際には名指しで「時給を上げろ!」「使い捨てやめろ!」と、抗議を交えたコールを展開した。
参加者に参加理由や最賃大幅引き上げを求める意義を尋ねた。
◇女性・20代・非正規「時給850円で働いています。通院しているし、奨学金も返済しています。今は一緒に住んでいる人がいるから生活できますが、一人暮らしなんてできません」。
◇男性・30代・正規「扶養家族がいて、年間2000時間働くなら、年収300万円は当然。労働時間を減らして年間1000時間であれば、150万円は最低必要額。生きづらさを抱える人やボランティアといった賃労働以外の労働に取り組みたい人に有益だと思う。そう考えると、時給1500円は欲しいところです」「1500円とまではいかなくても、最賃引き上げは官製ワーキングプアや移住労働者への直接的なベースアップにもつながる」。
官製ワーキングプアに対する取り組みとして公契約条例(※注)があるが、公契約条例は最低賃金と結びついている。
沿道の人々の反応は、肯定的な反応が多かった。「こんなインフレ状況でいまの最低賃金で生活するのは無理。フリーランスで働いていますが、生活が苦しいです。このデモには共感するし応援しています」と声援を送る反応もあった。
一方で10代の若者は「時給790円で働いています。最賃は安いと思うけど、1000円は遠慮してしまいます。いまのバイトは790円相応なのかな、と。でも、上がったら嬉しいです」。若者の自己肯定感の低さや権利意識を象徴するコメントではないだろうか。
デモ終了後、主催者の橋口昌治さんは「デモ中、賛否両方の反応を感じた。しかし、普段ビラを受け取ってくれないような人も受け取ってくれたし、『賃上げ』というテーマで街を巻き込めたという点で成功したと思う。あのデモを見て『賃金あげろ』って言っていいんだと思ってくれた人がいたら嬉しい。賃金が上がるべきだと思っている人は、ぜひ自分の地域で声を上げてほしい」と話した。
アベノミクスのインフレ・物価高による実質賃金の低下(本紙5月15日号『アベノミクスの破綻』参照)によって、生活困窮者が安倍政権の経済政策によってさらなる生活困窮に追い込まれている。
世界的には英国(1200円)や米国(1250円/カリフォルニア州)、ドイツ(1250円)と最低賃金の大幅引き上げを決めている。米国サンフランシスコ市では2017年までに15ドル(1800円)に引き上げる予定だ。最低賃金大幅引き上げ早期実現を。
※公契約条例…公共事業を受託した業者に雇用される労働者に対し、国や地方自治体が指定した賃金額より高い賃金を支払うことを公契約の条件として業者等の受託者に義務付けるもの。公共事業の民間委託により、官製ワーキングプアが社会問題化する中、公契約法及び同条例を求める動きは、劣悪な賃金・労働条件の一つの打開策となっている。詳しくはネットで確認可能な京都弁護士会 「ワーキングプア解消のための公契約法及び公契約条例の制定を求める会長声明」(2014年12月25日)を参照。
自由最賃同盟ブログ/HP ネット上で署名活動中(ブログにリンクあり)
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