2015/6/28更新
沖縄戦と朝鮮人強制連行を記録する会/辺野古カヌー隊 金 治明
6月15日、安倍政権は辺野古のボーリング調査について、「19カ所中15カ所が終了」と発表し、6月末で完了する、と強弁しています。
最近、海上保安庁(以下、海保)は、法的根拠も示さず、私たちを「拘束」しています。6月に入って半月足らずで、海保による確保=拘束者は、延べ257人になりました。
4日には、フロート内で泳いでいた20代男性に海保の大型ゴムボートが衝突し、男性はゴムゴートの下敷きになりました。陸上で例えれば、「歩行者を車でひいた」ことになります。その際、海上保安官は「スピードが出ていないから大丈夫だろう」と発言しました。偶然にも私は「確保」されて、そのゴムボートに乗せられていたのです。海保はいきなり急発進し、約50b先で仲間の頭に乗り上げたのです。仲間は私たちのいるゴムボートに引き上げられ、手当てを受けましたが、顔面蒼白になり、あまりのショックに呆然としていました。
私は海保に、緊急避難として直ちに浜に直行するように要求し、男性を名護市内の病院へ緊急搬送しました。幸いにも首の骨に異常はなく、軽い捻挫で済みましたが、ひとつ間違えば死亡事故になっていました。
5日、海上保安庁第11管区前で緊急抗議活動に50人が駆けつけ、謝罪を求めました。しかし海保は面談に応じず、「抗議者に触れた可能性はあったが、けがはなかったと確認。個別具体的に状況に応じて、適切に対応している」とコメントしました。琉球新報は「死者が出てもいいのか」と、海保の過剰警備を批判する社説を掲載しました。
8日、40代男性は、カヌーでフロート内に入り、ボーリング調査に抗議しようとしたところ、海保の大型ゴムボートで海猿5人に追いかけられて転覆させられ、身柄を拘束されました。強引に海から引き上げられた際に、男性は後頭部をボートの座席にぶつけて負傷。3日間の安静を余儀なくされました。
10日、20代女性は海保数名にカヌーから強引にゴムボートに引き上げられ、付き添いからも引き離されて、汀間漁港に連れて行かれました。海保は救急車を呼び、名護市内の病院に緊急搬送しました。幸い、4日間の手足打撲で済みましたが、海保が仲間の付き添い者を排除したことに、強く抗議します。
13日、30代女性に対してはカヌーを転覆させ、「気道の確保」と称して首に腕を回し、口を開けさせ海に沈めました。彼女は当然にも海水を飲まされ、一時呼吸困難に陥りました。そしてカヌーに乗せ、今度はパドルを海に捨てるという暴挙を働きました。パドルはカヌーの命です。海保はまるで「トラが猫をいたぶるような」まねをして、楽しんでいるように思えます。これが「海の安全と人命を守る」海上保安官の仕事でしょうか。
話が前後しますが、海保が4月に起こした重大な「犯罪」を告発します。
5月7日、ヘリ基地反対協と県内移設に反対する県民会議は、海上保安庁職員(保安官)4名を過剰警備だ、として国家賠償請求と「艦船転覆罪」告訴をしました。
4月28日=沖縄デーに、私たちはカヌー23艇、抗議船5隻を繰り出し、不当なボーリング調査に抗議するために、キャンプ・シュワブの辺野古岬と大浦湾・長島を抜け、ボーリング調査用のスパット台船3基に対して、一斉に行動を開始しました。
私たちは辺野古岬海域(長さ約400b)で、海保のゴムボートの配置を寸断しながら、注意深く台船に接近しました。海猿は私たちを確保し始めましたが、私たちの囮作戦が一定功を奏して、数名は台船に肉薄することができました。
一方、他の組は次々とフロートを乗り越え、スパット台船に向かいました。海保が、カヌー隊の拘束に時間をとられ、抗議船の行動に気を取られている隙を突いて、われらが抗議船「ラブ子丸」が海保の阻止線を突破し、台船に接近しました。慌てふためいた海保は、ラブ子丸に乗り込んで転覆させ、仲間4人全員が海に投げ出されました。
転覆した船に乗っていたKさんが、緊急搬送された男性について海保に容体を聞いたところ、海保の現場責任者は「意識が不明らしいぞ。死んだら連絡する」と答えたのです。私たちは、この人命軽視に、あ然とするしかありません。沖縄海上保安庁第11管区は「転覆については調査中」と答えたのみで、現在まで沈黙を守っています。
そもそも大浦湾・辺野古海域は、米軍の訓練中は立ち入り禁止区域であり、防衛省の建設工事区域とはまったく無関係なのです。またカヌーは、一般道路で言えば歩行者なのであり、規制されるべき法的根拠がないのです。したがって、海保は新たな弾圧として「傷害、公務執行妨害、威力業務妨害」等で襲いかかってくるはずです。要警戒!
私たちは闘いの原則として、「非暴力・抵抗・不服従、そして説得」活動をこの10年間闘ってきました。つまり、国家権力に弾圧の口実を与えないための反戦平和、反基地闘争の伝統です。これからも基本姿勢を貫徹し、勝利に邁進します。
当初ボーリング調査は、昨年11月に完了予定でした。しかし予定通りには進まず、2015年3月に延長、さらに6月終了、と完成が遅れに遅れています。勝機は沖縄にあります。
名護市辺野古新基地建設予定地付近で、琉球王国時代の「碇石」(木の碇を沈めるための石の重り)である可能性の高い石が発見されました。在沖米軍は6月、名護市議会緊急決議が採択された後に、やっと教育委員会に返還しました。名護市は、近日中に文化財の試掘調査を始める予定です。調査地点はキャンプ・シュワブの辺野古岬付近で、基地建設のために整備を計画する作業ヤードや仮設道路など、工事の進展に重要な影響を与える場所になります。
発見された石が調査の結果「碇石」だとしたら、発見場所付近、および海域での調査を求めることになりますので、政府の進める海上作業にも影響することになります。調査期間だけでも7カ月を要しますので、工事は大幅に遅れ、8月埋め立て・本工事着工は不可能になります。
さらに13都府県で「辺野古土砂搬出反対」全国連絡会が5月31日に結成され、県外で土砂搬出に反対する市民運動が広がってきています。また、沖縄県では「県土砂搬入規制条例」案が、6月県議会に提出されました。防衛省は辺野古の埋め立てに使用する土砂の総量2100万立方bのうち、約1700万立方bの土砂を県外から調達する予定です。条例案は、「県外からの土砂や石材などの埋め立て資材に付着・混入している外来生物(種)の侵入を規制する」ものです。沖縄自然生態系を破壊する恐れがあるアルゼンチンアリなどの侵略的外来種が入ってくるのを止めるためのものです。
土砂採集地である福岡県北九州市、熊本県天草市、環瀬戸内海会議などでは、土砂の搬出に反対する署名活動を開始しています。辺野古新基地建設反対運動は、自然環境団体や憲法9条を守る平和団体など、広範な市民運動に支えられています。
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