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2015/5/15更新

特集・大阪都構想批判〜橋下・維新のやってきたこと

前号に続き、現場・地域の視点から、橋下市長&維新の会がやってきたことを検証する。今号は、@「子どもの家」事業廃止について、A「西成特区構想」で揺れる釜ヶ崎(3面)、B教育現場(4面)から。合わせて豊中市議選で「維新への風」を目の当たりにした木村真市議(無所属)のレポートを掲載する。(編集部一ノ瀬)

いじめや不登校、学校でなじめない子どもたちの居場所
 「子どもの家」事業廃止した橋下市政

王こどもセンター(西成区) 前島 麻美さん インタビュー

「エリザベス・ストローム記念山王こどもセンター」(以下、こどもセンター)は、社会福祉法人ストローム福祉会を母体とし、大阪市留守家庭児童対策事業(学童保育)を行う施設です。

ドイツ人宣教師のE・ストローム女史が、1964年に西成の自宅で幼児を預かったのが始まりです。その後、保育所、学童保育と形を変えていきながら、地域の子どもたち・保護者に必要とされる活動を続けています。86年に自主運営となり、96年には社会福祉法人の資格を取得(第2種小型児童館)しました。それと同時に、大阪市の要請もあって「子どもの家」事業を始めました。

「子どもの家」事業は、大阪市独自のものです。「学童保育」(小学生)のような年齢や、「いきいき放課後事業」(学校での放課後活動)のような学校の延長という活動内容の制約もありません。希望するすべての子ども(0〜18歳)が、障がいのあるなしにかかわらず、無料で通える、というものでした。

こどもセンターでは、遊びなどのプログラムの他にも、子どもたちの健全育成と社会性を高めるための取り組みを続けています。勉強会や料理教室、「社会を知ろう」という人権問題学習会、地域で野宿する人たちに手づくりのおにぎりを持って訪問する夜回り活動、などです。

ところが2013年、橋下市長は「子どもの家」事業の廃止を打ち出します。「『学童保育』と内容がほぼ同じで、同じく行政からの補助を受けながら、無料・有料という違いがあるのは保護者負担や補助金制度のあり方として問題」というのです。

私たち「子どもの家」事業者は、対市交渉を行いましたが、橋下市長はまったく耳を貸しません。中高生については「もう一人でやれる年齢」、障がいを持つ子どもたちについては「デイサービスに行けばいい」と言うのです。

しかし、子どもたちの問題は、そんなに単純ではありません。いじめや不登校、学校でなじめない子どもたちが、自分を認めてもらえる場所、仲間と一緒にいれる居場所なんです。

障がいを持つ子どもだって「健常者と触れあいたい」と思うのは当然ですし、彼らは必ずしも「世話される立場」ばかりではありません。うちに来て下の年齢の子の面倒を見ることも多いですし、逆に健常者の子どもたちも、障がいを持つ子のことを良く理解して、普通に付き合っています。

結局「子どもの家」事業は廃止され、私たちはやむなく留守家庭児童対策事業に移行しました。こどもセンターとしては、これまで通り中高生年代や障がい児の受け入れを続けています。NHKの番組に取り上げられたこともあり、全国の皆さんからの激励や支援をいただいています。

貧困・格差の拡大・いじめ・不登校・非正規労働者の増加など、子どもたちを取り巻く環境は、ますます厳しくなっています。私たちは、これからも子どもたちの居場所・駆け込み寺として、こどもセンターの存在を守っていきたいと思っています。

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