2015/4/7更新
編集部 ラボルテ 雅樹
3月29日、在日外国人を主な対象として差別的憎悪扇動を行う「在特会」(在日特権を許さない市民の会)の設立者・前会長である桜井誠氏が、大阪市内で「大嫌韓時代デモ ver.3」を主催した。新町南公園(西区)での集会と御堂筋一帯での集会・デモには50名ほどが参加し、「日韓断交」「朝鮮半島に帰れ」などの差別的扇動の声を上げた。
一方、ツイッターなどのSNSを介した呼びかけによって、市民150名以上がカウンター(対抗活動)に参加。集会・デモを包囲し、「ヘイト(憎悪煽動)はやめろ」「レイシスト(差別主義者)帰れ」と訴え、通行人に呼びかけた。
私は集会の様子を撮影し、桜井氏に対し「徳島県教組に対する業務妨害への損害賠償230万円を払う気があるのか」「法務省が『ヘイト・スピーチ(差別的憎悪表現)を許さない』旨の広報・啓発を行っているが、どのように捉えているのか」といった質問へのコメントを得ようと、突撃取材を試みた。
ところが、撮影中に参加者複数名が、「なにが人民新聞社じゃボケ」「取材の許可を取ってるんか」と言い放ち、私に対して羽交い絞め・首を締めるなどの暴力行為に及び、ついには強制排除した。こちらは人民新聞社の腕章を付けて所属を明らかにし、記者として公明正大な取材活動をしていたにもかかわらず、暴力的な対応を行ったことは極めて不当であり、強く抗議する。
桜井氏が代表だった在特会は、ヘイトスピーチの象徴的な団体だ。在特会は、これまでの差別的憎悪扇動によって、@京都朝鮮学校への襲撃、A水平社博物館前での差別街宣、B徳島県教組への襲撃、などによって起訴された。現在、在特会側は敗訴に至っている。
また、2014年8月にフリーライターの李信恵さんは、在特会・在特会会長・インターネットサイト「保守速報」を相手に、ヘイトスピーチをめぐり損害賠償を求める訴訟を起こしている。桜井氏より名指しで民族的な侮辱を受け、知らない人間からSNS等を介して誹謗中傷を受けてきた李信恵さんの反ヘイトスピーチ裁判(対在特会・第4回口頭弁論)は、4月21日(火)11時より大阪地方裁判所大法廷にて行われる予定だ。
ヘイトデモが行われる中、沿道の人にインタビューを行った。通行人は「デモやってる方にも言い分があると思うし、差別もあかんと思う」「わからない」と答え、外国人観光客は「なぜ、あのようなナショナリストになるのか。とても愚かだ」と英語で答えた。
在特会のデモにカウンター(対抗)活動に参加した金良平さん(在日コリアン3世)は、次のように語った。
「自分の住む生活圏や公共の場で『アウシュビッツに送れ』『ゴキブリを殺せ』と言われることが許せなくて参加した。2013年に大虐殺を叫ぶ中学生とデモの光景を見て以降は、毎回カウンターに参加している。以前、何度か在特会のメンバーに対話を試みたが、『在日を叩き出して八つ裂きにするまでは』と言われ、会話が成立しなかった。在特会も問題だが、サイレント・マジョリティでいる人々も問題だし、サイレント・マジョリティを作り出した政治やメディアも問題だと思う」。
立場の弱い人間を攻撃し続ける在特会をはじめとするヘイトスピーチ勢力。それを容認するサイレント・マジョリティ、サイレント・マジョリティを作り出す政治とメディア。問われているのは私たちの行動ではないだろうか。今後も微力ながら行動していきたい。
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