2015/3/29更新
原発事故から4年が過ぎて、東電は、2015年度決算で、2270億円の黒字を確保した。2014年度が1014億円の黒字なので、倍増。東電完全復活だ。あれだけの事故を起こし、10万人以上が今だに避難生活を送っているのに、加害企業は、誰も刑事責任を問われず、「黒字でボーナス」の声も聞こえてくる。これが安倍首相の言う「美しい日本」の実像だ。
「3.11」4周年を原発現地の人々はどのように迎えたのか。各地の様子を報告してもらった。(編集部)
原発いらない福島の女たち 黒田 節子
4回目の「311原発いらない!地球(いのち)のつどい」が、福島市で開催されました。今年も「原発いらない福島の女たち」(以下、女たち)と「スリー・ノンの女たち」の共催です。
東京をはじめ、各地から福島市の音楽堂に集まったのは、200人あまり。今、フクシマが抱える4つのテーマ(@避難・健康、A被ばく労働、B放射能汚染ゴミ問題、C脱原発・再稼働問題)の報告を中心に、い・ぢょんみ(李政美)コンサート、この1年間の女たちの動きをまとめたスライドショーなど…平日にもかかわらず足を運んでくださった人たちは、熱心に目と耳を傾けてくれました。
集会では、@「避難解除宣言」「安全キャンペーン」が盛んに行われ、帰民・帰還政策が進められているが、放射能による環境汚染と生活破壊の痛手は深く、県民のほとんどは立ち直っていないこと、A事故原発は、1日7千人も必要とされる現場労働者の確保とその被ばくの問題、作業レベルの低下、労働環境の問題などが山積しており、世界からの叡智を求め緊急対策に当たらせるべきこと、B福島県内に20カ所24基の放射性廃棄物焼却炉建設が急ピッチで進んでいるが、放射能による二次汚染は許されないこと、C原発再稼働は、福島の犠牲を無視し、置き去りにするもので、絶対に許されないこと、などが提案・議論されました。
集会後は県庁への申し入れと、女たちのメンバーも叩いているチャンゴ(朝鮮太鼓)に元気をもらいながら、JR福島駅までデモ行進しました。
当日、郡山市周辺は、3月というのに猛吹雪で交通渋滞、スタッフの多くは大幅に遅れて会場に到着。発言者の順番を変えたり、予定ではなかった長い要請文を全文読み上げて時間調整するなど、その場の機転でなんとかしのいだのでした(大震災後の4年間をともかくも乗り切り、立ち上がった女たちの臨機応変は、実にたくましい!)。
一方、首都圏からの参加者を乗せたマイクロバス2台のうち1台はノーマルタイヤだったため、新白河から新幹線に乗り換えて福島市へ等々で、こちらの到着時間も遅れるなど、本当にお疲れさまでした。そんなハプニングの中、私たちは、い・ぢょんみの美しく圧倒的な歌唱力の前にいたく感動し、小雪舞う福島の街並みへとデモ行進に移ることができました。
沿道の反応は、東京のそれとはかなり違います。ここではたくさんの人が窓の中から手を振ってくれます。「原発、いらねー!」「再稼働反対!」「東電、補償しろ!」「安全を返せ、野山を返せ、子どもを返せ!」の声が、同じ福島に暮らす者ならその胸に届かないハズはありません。
しかし問題は、それらの不安や葛藤を率直に話せる環境が日常の中にないということです。マスコミを総動員しての、巧みな、しかし圧倒的な「(放射能)大丈夫キャンペーン」の流布。放射能と被ばくの問題を過小評価する専門家たちの嘘は、いったいいつまで続くのでしょうか。
今年の「女たちの311」には、市民防災世界会議 (国連防災世界会議の一セクションとして設けられた「自助」「共助」を担う各国の市民同士が学び合う場)参加のために来日中のトルコ、インドネシア、ロシア、メキシコ、ブラジル、インド、韓国、スイス、台湾、ヨルダン、バングラデシュ、タイ、フランスからの活動家たちの参加もあり、たいへん国際色豊かな集会&デモになりました。
放射能は地球規模で拡がりつつあるけど、私たちのネットワークと友情も国境を超えるものとなるでしょうし、また、そうでなくては私たち自身が生き残れない時代になったのだと思います。
折りしも同日、福井地裁であの樋口裁判長が担当する大飯3、4号、高浜3、4号運転禁止仮処分についての審理が終わりました。この3月末には、高浜3、4号機の運転を差し止める仮処分決定が出る可能性が極めて高くなりました。市民と司法の力によって、原発の運転を現実に差し止めるという事態が早々に実現するかもしれません。希望はあるのです。
しかし、これからさらに厳しく深刻な状況が待っていることも、フクシマ的には確かなことです。大雪で忘れられない3・11となりました。あきらめずに、きっとすべての原発を廃炉にし、生きとし生けるものが本来の輝きを放つことができる日が来るまで、共に頑張りましょう。
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