2015/3/19更新
「3・11」4周年に合わせ、関西でも集会が行われた。3月7日には京都市・円山公園で「バイバイ原発3・7きょうと」が開催され、降り続く雨の中、2000人が集まった。翌8日には、大阪市・扇町公園で「さよなら原発関西アクション─とめよう!高浜原発再稼働」が行われ、3500人が参加した。
2月27日、関西電力と京都府は「安全協定」(※注)を締結した。原子力規制委員会は、すでに昨年12月17日に高浜の「審査書案」を了承しているため、京都府との合意は、再稼働に向けて大きく前進したことになる。
そうした中で行われた今年の集会は、「福島原発事故は終わっていない」と、いまだに放射能で多くの人々の生活・健康が奪われ続けていると訴えると同時に、地元・関西で再稼働が狙われている高浜原発3・4号機(福井県高浜市)の再稼働No!を訴えるものとなった。(編集部一ノ瀬)
3月7日、京都・円山公園野外音楽堂で「バイバイ原発3・7きょうと」が行われた。午前中から時折ぱらついていた雨は、集会途中から本格的に降り始めたが、会場には2000人の参加者が集まった。
集会は、東日本大震災で亡くなった人たちへの黙祷で始まった。集会では、高浜原発の地元である福井から松田正さん(「福井から原発を止める裁判の会」原告団事務局長)がアピールを行った。昨年5月に福井地裁で出された「大飯原発を運転してはならない」とする判決は、画期的なものだった、と指摘した。関電側が控訴し、その判決が確定していない隙を狙って再稼働を推進する動きを封じるために、「大飯・高浜運転差し止め仮処分請求」を行った。福島原発事故からちょうど4周年を迎える3月11日に仮処分請求の第2回審尋が行われ、おそらくそれで結審となる。
この仮処分は、大飯差し止め判決を出した樋口英明裁判官が担当する。これまでの司法は、原子力ムラの決定を追認するだけで、「大きな壁」だったが、今回の仮処分にも大いに期待できると思う。樋口裁判官を支持する大きな行動を作ろう、と呼びかけた。
小出裕章さん(京都大学原子炉実験所助教)は、講演の中で、「福島原発事故から4年になってしまった。いまだに政府は『原子力緊急事態宣言』が解除できておらず、人々は放射能の不安の中で暮らすことを余儀なくされている。国や東電の責任者は、誰一人として処罰されていない。原子力マフィアが、今回の福島原発事故から得た教訓は、『どんなにひどい事故を起こしても、人々に苦難を強いても、自分たちは決して処罰されることはない』ということだった。東電はもう黒字になった。再稼働は何としても阻止したい。すべての原発を廃炉にしていくためにはこの社会を根本的に変えなくてはいけない。簡単に変えられないかもしれないが、一緒に力を合わせていこう」と、力強く訴えた。
集会後は、雨の中を祇園・四条通り・河原町通りの繁華街を通って、京都市役所まで約1・6`の道のりをデモをして終了した。
※注…2月27日、関西電力と京都府は、高浜再稼働の「安全協定」を締結した。その内容は、高浜原発での原子炉の新・増設や事故後の運転再開などの際の事前説明、府の意見表明への回答を義務づけているが、原発立地自治体に認めた「再稼働同意権」はない。
3月8日、大阪・扇町公園で「さよなら原発関西アクション─とめよう!高浜原発再稼働」が行われた。集会開始直後はまだ人もまばらだったが、最終的には3500人が集まった(主催者発表)。
集会では、西尾正道さん(北海道がんセンター名誉院長)、福島避難者・うのさえこさん、華蓮さん(台湾和平草根連盟事務局長)、中嶌哲演さん(原発反対福井県民会議)からのアピールがあった。
西尾さんは、臨床医として約40年もの間、放射線治療に携わってきた経験から、「原子力国際マフィアであるICRP(国際放射線防護委員会)は、私たちをだまして原子力安全神話を作っている集団。内部被ばくの影響が出てくるのはこれから」と訴えた。
福井から駆けつけた中嶌さんは、「かつて70年前に、ヒロシマ・ナガサキの果てに敗戦を認めた愚を、福島、そして第2の福島として繰り返してはなりません」として、次の3点を提起した。@福井地裁の勝訴判決を守り抜き、発展させ、高浜・大飯原発の再稼働を差し止める仮処分の実現を求め、支援しよう、A福井県知事に対する再稼働反対署名を、関西広域圏の団体・グループ・市民の中に広げ、圧倒的多数を集めて、一方では、関電や大阪府庁を包囲しつつ、福井県知事に再稼働反対を迫ろう、B若狭の「原発依存」の経済や雇用の転換をはじめ、若狭と関西が真に共存・共栄できる廃炉から原発ゼロ社会に向けて、短期・中期・長期のビジョン、具体策を、全力を傾けて集中的に探求し協同しよう。
集会後は、西梅田コース・天六梅田コースの2手に分かれてパレードを行った。「3・11」4周年で、福島原発事故の風化も言われる中、最初に再稼働されると予想される高浜原発。京都・大阪に集まった多くの人々の「再稼働No!」「原発ゼロ社会を」の声を、いかに現実の力にしていくのか、共に考え、行動していこう!
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