2015/2/19更新
『1969 新宿西口地下広場』著者 大木 晴子
私は後藤健二さんが殺害されたと聞いて、直ぐに画像を探しました。後藤さんの背中に置かれた顔は、静かに目を閉じていた。優しい方なのだとわかる穏やかさは、最後の時にきっと「たくさん出会った子どもたちの中で活きる!」と想われたような気がした。その気持ちが私の背中を押した。ページのトップで意思表示する言葉が浮かんだ。
世界中の後藤さんと会った子どもたち!
後藤さんが語った言葉・メッセージを活かして生きるのよ!
後藤さん見てる、きっと。
***
そのプラカードを持って2月1日の夕刻、官邸前へ出かけた。許すな!憲法改悪・市民連絡会が呼びかけた「哀しみと抗議の官邸前サイレント・アクション」へ。200名近い皆さんが参加されて、いつになく手書きのプラカードが多かった。また、その様子を取材するメディアも多く、「しっかりと伝えて欲しい!」と心の中で叫びながら見つめていた。私も、「敵を作らない外交こそが日本人を守る〜哀しみと抗議のサイレントアクション」というレイバーネットTVが撮った動画(4分・ユーチューブで公開)で想いを話しました。
写真を撮り、ツイッターとフェイスブックに投稿すると、私の携帯にはリツイートの知らせが次々と届きました。右側の方々の関心も強く、強烈な言葉で返信が!慣れない初めての体験だったが、そういう時代になってしまったことを実感した。持つプラカードが強い風に揺れる、寒い意思表示でした。
私は何時も思う。現象面だけでものを考えてはダメだ、と。何故、ISIS(イスラム国)はうまれたのか。根源を探り検証をしていかなければ、表面上を整えてもその哀しみ怒りの連鎖は続く。私たちの国でもそうだ。戦争の総括をしてこなかったからいまその帳尻が…酷い世の中をのこす。
ISIS(イスラム国)は、イラク戦争のあの非人道的な扱いを受けた人たちからうまれたもの―2月1日の「後藤健二さんらのシリア人質事件を受けて今考える〜私たちは中東の平和にどう貢献できるのか〜」をテーマにした緊急集会でジャーナリストの志葉玲さんが「不平等がテロをうむ」と言われた。ISISリーダーのバグダディは、イラク南部バスラの米軍の刑務所で逮捕拘束されて暴行虐待を受け過激思想を育んでいった、と語られた。私は同じ刑務所にいた人に取材した。その人も、何も悪いことはしていないのに米軍に逮捕拘束され、その刑務所に入れられた。そこで酷い扱いを受けた。そうすると、刑務所の中では米軍への怒りが充満していく。その中で、米軍に対する武装勢力からリクルートされるということがあった。このことは、イギリスのガーディアン紙も、米軍の刑務所なしにはイスラム国はありえなかったと報道している。
後藤健二さんが子どもたちへ残した芽が育って欲しい。
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