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2015/2/10更新

沖縄報告・ヤンバル便り

民意無視して辺野古新基地建設強行する安倍政権
海上保安庁の暴力に抗し実力で阻止行動

沖縄戦と朝鮮人強制連行を記録する会/辺野古カヌー隊 金 治明

戦争突入内閣=安倍政権とオール沖縄で闘う安保最前線!怒れる沖縄!辺野古新基地建設ボーリング調査阻止闘争の最前線より、お便りを送ります。

昨年7月1日、安倍晋三氏は集団的自衛権行使容認を閣議決定し、返す刀で辺野古基地建設工事を強行しました。

安倍政権は私たちの海上阻止行動を排除するために、海上保安庁(以下、海保)の暴力を行使して、米軍海兵隊基地キャンプ・シュワブから50bから2000bまでの広大な海域をブイ・フロートで囲い込み、「立ち入り禁止制限区域」を設置しました。防衛省は、立ち入り制限区域内の「侵入者」は日米安保条約、地位協定による「刑事特別措置法」で即逮捕、という恫喝と警告を私たちに突き付けてきました。

しかし私たちは、「刑特法」による逮捕投獄を恐れず、果敢にフロートを越え、スパット台船に接近し、闘い抜きました。まさしく私たちのシュワブゲート前の資材搬入阻止闘争と海上行動という、陸と海からの挟撃戦の勝利に他なりません。

カヌー隊は、海保の暴力によるケガ人3名、延べ136人(2014年11月20日現在)の「拘束者」を出しながらも、「刑事特別法」適用の恫喝を跳ねのけ、カヌーを転覆させられても、首を絞められ、羽交い締めにされても果敢に闘い、ついに「ボーリング調査11月終了」を粉砕し、本年3月まで延期させました。

この勝利は、海上行動(船長、カヌー隊)のみならず、辺野古テント村、ゲート前行動を支えた沖縄人民をはじめとする全国の反戦、反安保、反原発、辺野古の海を守る闘う仲間たちの勝利なのです。

ウチナンチューの誇り、オール沖縄の意思

仲井真前知事は、沖縄県民の8割が反対する「普天間基地の辺野古移設、大浦湾の埋め立て」を、安倍政権の「振興策」=お金と引き換えに、沖縄を売り渡しました。

昨年、翁長雄志氏は「オール沖縄、イデオロギーよりアイデンティティー」「オスプレイ配備撤回、辺野古移設反対」を掲げ、沖縄県内の全41市町村長が署名捺印した「建白書」を安倍晋三に手渡しました。翁長雄志氏は「建白書」実現を訴え、見事「公約」破りの仲井真氏を10万票の大差で蹴落とし、勝利しました。

この1年間、沖縄では、2014年1月稲嶺進名護市長再選、9月名護市議選での稲嶺与党の安定多数当選、11月城間幹子新那覇市長誕生および翁長新知事誕生、と「辺野古ノー!」の民意を確立しました。

特筆すべきは、12月衆議院選での自民党公約破り4人組(西銘恒三郎、比嘉奈津美、国場幸、宮崎政久氏)の小選挙区全員落選です。「オール沖縄」の赤嶺政賢、照屋寛徳、玉城デニー、仲里利信氏当選で、「辺野古新基地ノー!」の民意を不動のものにしました。

表敬訪問した知事との面会拒否する安倍政権

翁長雄志新知事は、昨年12月26日、沖縄県知事当選の表敬訪問のため上京し、安倍晋三内閣総理大臣、沖縄基地負担軽減担当相兼務の菅善偉官房長官、岸田文雄外務大臣、中谷元防衛大臣に会見を求めましたが、「忙しくてスケジュールが取れない」などの理由で面談を拒否されました。

菅氏に至っては、「年内は会わない」と断言しました。奇しくも一年前(2013年)の同日は、菅氏と安倍晋三がひんぱんに仲井真前知事と会い、沖縄振興資金年間3000億円以上の確保と、「普天間基地の5年以内の運用停止、早期返還」を約束し、前知事が「有史以来の素晴らしい予算だ!」と絶賛し、「これでいい正月が迎えられる」とはしゃいだ日でもありました。ちなみに仲井真前知事は、任期満了直前の27日に「辺野古埋め立て承認」を強行し、年末年始のドサクサに紛れて姿を消しました。

10万票の大差で敗れた仲井真氏が「知事選協力のお礼と退任のあいさつ」で上京した際(11月28日)、安倍・菅両氏は「ご苦労さまでした」と声をかけて、辺野古埋め立て承認に加えて、知事退任4日前の「辺野古工事工法変更」承認のための印鑑押し逃げの労をねぎらいました。

ところが翁長新知事に対しては、手のひらを返した露骨な対応ぶりで、「政権の政策に賛同する知事は歓迎するが、反対する知事は冷遇する」歴代の自民党政権が実行してきた沖縄に対する支配者意識・差別構造が見えます。

1998年、大田昌秀知事(当時)が、「普天間代替基地の建設反対」表明後、野中広務官房長官は、大田知事と小渕恵三首相との面談を拒否しました。しかし、同年「移設容認」を公約して当選した稲嶺恵一氏には、知事就任前にもかかわらず小渕首相が面談して、新たな沖縄振興策の策定を開始しました。

このように、自民党政府の手法は、面談を政治利用して翁長知事を冷遇することにより、「アメとムチ」で屈服を迫るものです。これは、沖縄に対するヤマト政府の極めて悪質な植民地意識に裏付けられた「構造的差別」ではないでしょうか。

名護市長選、名護市議選、那覇市長選、沖縄県知事選、衆議院選の結果は、ウチナンチューが自らの誇りを取り戻した証です。安倍政府はその点から目を背けずに認識して、沖縄の民意が基地建設ノーかイエスかをハッキリ見極めるべきであり、選挙結果を謙虚に受け止め、民主主義の基本に帰るべきです。

1月13日、沖縄県議会は外務省、防衛省、アメリカ大使館に「辺野古新基地建設断念を求める意見書と決議」を提出しました。さらに、安倍政府に「県外、国外移設や辺野古移設断念に向けた対米交渉」を求めましたが、政府は相変わらず「辺野古が唯一の解決策」と繰り返すのみでした。

県議団は、辺野古の海上作業再開に抗議し、翁長雄志知事が取り組む「埋め立て承認の検証作業が終了するまでボーリング作業の中止」を求めました。

1月23日から県は、沖縄県浦崎唯昭、安慶田光男副知事を防衛省に派遣し、「ボーリング調査中止と辺野古新基地建設断念」を安倍政権に迫る面談を求めていました。しかし、ここでも中谷元防衛大臣には会えず、中島明彦地方協力局長が対応したというありさまです。

辺野古移設が唯一ではない

中谷元氏は、第3次安倍内閣防衛大臣に就任する前に、「米軍基地を分散しようと思えば、九州でも分散できるが、抵抗が大きくてできない」「理解してくれる自治体があれば移転できるが、米軍反対が多くて進まないことが、沖縄に基地が集中している現実だ」と、学生の取材に答えています。

一貫して政府が沖縄に普天間の代替新基地を押し付ける根拠とする「一体運用の必要性」や「県外移設による抑止力の低下」を、自ら否定する見解です。反対や抵抗が大きくて移設できない、という論理ならば、11月の「辺野古移設推進」を争点とした県知事選や、自民党全候補者が落選した衆院選の結果こそがすべてです。

自民党の公約=「辺野古移設、埋め立て推進」が県民から認知されず、「県内移設ノー!」の圧倒的な民意が示された沖縄に米軍基地が置けるはずがないではないか。

民主党政権で防衛相を務め、「国防・防衛のスペシャリスト」を自認する森本敏氏の「軍事的には沖縄でなくてもよいが、政治的に考えると沖縄が最適」発言と同じことを言っている。

政府は「沖縄の負担軽減のため」として、普天間のオスプレイを佐賀県に暫定的に移駐させると言っていますが、これこそが普天間基地の機能を県外に移設できると自己暴露しているようなものです。安倍政権が言う「普天間基地の辺野古移設が唯一の解決だ」との根拠は崩れているにもかかわらず辺野古にこだわることは、民主主義に反するダブルスタンダードであり、紛れもない沖縄差別です。

焦る安倍政権

安倍晋三氏は、沖縄知事選3日後の11月19日に海保を前面に立てて、ボーリング調査を開始しようとしました。20日には、カヌー隊の仲間13名を「確保」し、作業を強行しました。しかし、私たちの抵抗に阻まれ、21日衆議院解散と同時に、浮き桟橋や海保ボートを陸に引き上げました。

「辺野古の闘いが盛り上がれば、衆議院選挙に影響する」と上層部は判断したようですが、結果は自民党4名全員が小選挙区で落選したことは周知の事実です。安倍は沖縄での敗北を覆い隠すように年末年始を何もなかったように振る舞い、年明けの1月15日より大々的に工事を強行する、と宣言しました。

防衛省は昨年よりも強力な布陣です。巡視船13隻、海保大型ボート6人乗り23隻、防衛局のボート、船20隻、警戒船および作業船が大浦湾を制圧し、私たちの「非暴力、不服従、説得」の抗議活動を、防衛省が勝手に決めた「立ち入り制限区域」に近づいたと称して問答無用に「即拘束」とカヌーをひっくり返し、また海に落とし、強引に海保ボートに拉致するなど、無法に私たちに襲いかかってきました。

今年に入り「拘束者」15日19人、16日21人、17日28入、19日7人、20日8人、21日12人と、6日間で実に延べ98人のカヌー隊メンバーが暴力的に「拘束」されました。今年1月25日現在で、のべ231人になります。

海保は、抗議船長やカヌー隊への排除、暴行を行うばかりか、マスコミ・映画監督ら取材・撮影に対してはレンズをふさいで妨害し、時にはカメラを奪っています。代表的な例として、1月20日、抗議船に乗船していた女性映画監督に海上保安官が馬乗りになって制圧しました。

この制圧の一部始終は、23日付けの「琉球新報」に連続写真が公表されて明らかになりました。それにもかかわらず、第11管区海上保安本部の高橋博美次長は、沖縄選出の国会議員で作る「うりずんの会」の抗議に対して、「危険な行為なら物理的な措置を取らざるを得ない、最低限許される行為だ」と語り、「舵がある船体後部へ通り抜けるために、女性をかわして奥に進んだ」とうそぶいています。

しかし、この言い分が虚偽であることは一目瞭然です。写真では、海保の保安官が船体後方から現れ、女性の背後から監督のカメラを奪おうと左手を伸ばし、女性の肩に左足を乗せている様子が映し出されています。

19日には、抗議船「平和丸」の女性船長に対して、ライフジャケットをずたずたに破った挙句、抗議する船長を引き倒してカメラを奪おうと襲いかかり、全治1週間のケガを負わせました。

これらはほんの一部ですが、海保の暴力は、マスコミ、カメラがない人目がない時を狙って、外傷を付けないよう、巧妙に行っています。

安倍政権・沖縄防衛局は、1月24日までに12カ所のボーリング調査、およびそれにともなうキャンプ・シュワブと辺野古岬2カ所の仮桟橋工事(事実上の埋め立て)のために、大浦湾の約3分の2をオイルフェンスで囲みました。私たちの工事阻止活動を封じるためです。

私たちは、約2日かかる作業に10日間をかけさせましたので、「勝利」とは言えないまでも、敗北ではないことを確認しています。

いま私たちは、ボーリング調査のために投入される大型スパット台船を大浦湾に入れることなく、12カ所の調査と仮桟橋工事を阻止する準備を開始しています。

キャンプ・シュワブゲート前座り込み200日

昨年7月7日から開始されたキャンプ・シュワブゲート前座り込みは、今年1月22日で200日になりました。ゲート前ではこの日を期して、沖縄選出国会議員、県議会与党議員をはじめとした市町村議員らによる議員総行動が始まりました。稲嶺進名護市長を先頭に、名護市議団も大合流しての闘いが始まったのです。

安倍政権による沖縄の民意を無視した海上工事の強硬に沖縄人民の怒りがさらに高まり、辺野古基地建設阻止の闘いが県内外および海外にも広がりを見せています。

1月24日には、国会、県会、市町村会議員が過去最大規模となる100名でゲート前に座り込み、「工事の強行や海上保安庁の過剰警備に対して、国会での追及や市町村議会での抗議の決議を上げること」を確認しました。

さらに今後も議員たちはバスをチャーターし、継続して現場に来て、夜間の資材搬入の監視を行い、翁長知事への参加呼びかけも提案されました。

「島ぐるみ会議」は、昨年までは毎週月曜日に那覇沖縄県庁前からバスをチャーターし、シュワブゲート前座り込みに参加していました。今年に入って1月10日からは、夜間の建設資材搬入を阻止すべく体制を強化しました。バスを県庁前、沖縄市、うるま市と拡大・増発して、座り込みを強化しています。

防衛省は、1月11日夜間に、闇夜にまぎれて重機、トレーラー、建設資材を基地内に搬入しました。この闇打ちに果敢に抗議した仲間が不当逮捕されるという事態(2日後奪還)が発生しています。

その後、ゲート前は24時間泊まり込み体制で、撒入阻止、監視に入っています。ゲート前はブルーシートホテル群が林立し、歩道を占拠しています。搬入阻止闘争では1月25日現在、逮捕者1名、ケガ人年配女性3名、男性2名を出してしまいました。基地ゲート前には、前面に民間ガードマン、その後方に警察権力=機動隊、沖縄防衛局、そして最後部でこの弾圧体制をニヤニヤ見守るアメリカ軍海兵隊がいます。安倍政権は、ガードマン、機動隊を前面に立たせ、ウチナンチュー同士を衝突させ、分断を持ち込み、多額の血税を使ってアメリカ軍を守っているのです。ぜひ一度、この光景を見てください。沖縄差別の縮図がよく見えるはずです。

この1月、翁長雄志県知事は、仲井真前知事による「辺野古埋め立て承認」に瑕疵がないかを検証する「検討委員会」を設置しました。辺野古埋め立ての「承認取り消し」か「撤回」の判断を下そうとしています。4月には「検討結果」の公表をする予定になっています。

本来ならば、「埋め立て承認の有無の検証中」は、 作業を一時中断すべきですが、安倍政権はしゃにむに工事を進めているのが現状です。安倍政権は「検討結果」が出る前に、基地建設の既成事実を積み上げるために、ボーリング調査および仮桟橋の設置を急ぎ、早期本工事埋め立てを目論んでいます。

安倍は「埋め立て不承認」と判断されれば、工事費用の「賠償請求裁判」をチラつかせ、圧力をかけてきます。オール沖縄で着工を阻止しましょう!

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