2015/1/22更新
インタビュー:ボウ・ジー・クゥさん(42歳・元トラック運転手・職工盟系労組の組合員・運動の警備部隊に参加)
──参加した経緯は?
クゥ…私は2008年から労働運動に参加しており、活動家の知り合いに「占拠地域内の自主警備チームを組織する。興味があるのなら参加しないか?」と誘われました。
香港基本法には、「普通選挙の権利を最終的に認める」と書いていますが、未だに実現されていません。政府の改革案もまやかしです。香港は中国共産党に支配されつつありますし、何らかの行動を起こさなければいけない。これが最後の機会だから。
──具体的にどのようなことをしていますか?
クゥ…自主警備チームの中での役割は、占拠地域内を巡回して、トラブルが起きていないかを警戒すること。無線機を常に持ち歩いていて、仲間から報告があれば、駆けつけてトラブルに対応します。
例えば、占拠地域内には設営などを行う自主組織があります。バリケードを設置する際に、他の参加者との争いに発展します。そこに私たちが入って仲介します。
中には政府に対して暴力で訴えようとする参加者もいます。「落ち着いて」と行動を止めに入ることで、占拠運動の原則である平和・理性・非暴力を守っています。一方で、暴力を使わざるえない場面もあります。例えば、黒社会(※注)が運動に対して騒ぎを引き起こすことがあります。それを止めるには、必要最小限度の暴力が必要です。
持論を言えば、ヘルメットなど、自分を守る装備も必要ないと考えています。国家権力の絶対的な暴力の前に、私たちが取れる有効な手段は「血を見せること」。
ヘルメットで身を守った上で国家権力から暴力を受けても、メディアは注目しません。国家権力からの暴力を生身で受けて血を流せば、香港や世界の人々にその光景が共有される。これは政府に対する最大の圧力となります。なので、運動の純粋清廉なスタンスを守りたいのです。
──民主主義とは?
クゥ…民主主義には、過ちを改めることができる機会があります。本当の共産主義があってうまくやれるのなら、それがいいかもしれない。しかし、共産主義は、指導者に問題があれば、単なる独裁政治になってしまう。政治の目的は、人々を幸せにすること。それを作り上げるのは、エリートではなく民衆自身であり、それが民主主義ではないかと考えています。
また、一つの実践として、占拠排除後は地域教育を行います。
占拠していた人々と共に、「普通選挙とは何か?」「なぜ普通選挙が重要なのか?」と、地域で普通選挙の重要性を伝えます。「いまどういう状況にあるか」ということも、メディアの情報の多くは政府の圧力で正確なものが伝わりにくくになっていますから、伝えることがとても重要なことなのです。
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※黒社会…香港やくざの総称。モンコック(繁華街)では、黒社会が金で雇われ、占拠参加者に対する襲撃があった。一部の黒社会構成員は、金を受け取らず、襲撃にきた黒社会のメンバーを止めにいった話も、現地の活動家から聞いた。構成員には貧困の生い立ちという背景がある。
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