人民新聞オンライン

タイトル 人民新聞ロゴ 1部150円 購読料半年間3,000円 ┃郵便振替口座 00950-4-88555/ゆうちょ銀行〇九九店 当座 0088555┃購読申込・問合せ取り扱い書店┃人民新聞社┃TEL (06) 6572-9440 FAX (06) 6572-9441┃Mailto: people★jimmin.com(★をアットマークに)twitter
HOME社会原発問題反貧困編集一言政治海外情報投書コラムサイトについてリンク過去記事

2014/12/29更新

2014年総選挙に思うB

「オール沖縄」で初めて「沖縄の自己決定権」提起した選挙に

那覇市議会議員(沖縄社会大衆党) 平良 識子

沖縄では、4つの選挙区すべてで、「オール沖縄」の候補者が当選しました。「普天間は国外・県外へ」との公約を翻した自民党への県民の審判であり、沖縄県知事選挙での翁長さん圧勝の流れを引き継いで、県民の思いがそのまま表れた結果です。

私は、4区で立候補した仲里利信さん(無所属)の応援に入りました。選挙前半では、3週間という準備期間の短さもあり、組織的な支えもないため、現職の自民党候補が優勢でした。それが後半では、仲里さんに風が吹いてきたのを感じました。4区は保守の地盤ですが、選挙カーに熱心に手を振ったり声援を送ってくれるなど、世代を問わない多くの皆さんから、ものすごくいい反応がありました。

仲里さんは、もともと自民党の出身です。県会議員を4期、教科書検定意見撤回を求める県民大会(2007年)の実行委員長や県議会議長も務めました。08年に議員を引退され、サトウキビや野菜畑で農業をされながら、自民党県連顧問や西銘衆議院議員の後援会長の役職についていました。

ところが2013年11月、沖縄を地盤とする5人の自民党国会議員と県連が党中央の圧力に屈服させられて、「辺野古新基地」を容認しました。それに抗議した仲里さんは、顧問・後援会長を辞任したのです。今年1月の名護市長選では、「辺野古に新基地を絶対に造らせてはならない」と訴えて、稲嶺市長の応援で名護市内を回りました。こうした行動の根底には、仲里さん自身の沖縄戦体験(地上戦の混乱で家族とはぐれ、やんばるをさ迷い、家族と再会できた時には、おぶっていた幼い弟は栄養失調で亡くなっていた)があります。

「辺野古新基地建設ストップ!!」「公約は民主主義の根幹」「オール沖縄で建白書の実現を」との強い思いをもって立候補した仲里さんは、「オール沖縄」の象徴的存在なのです。

県知事選挙では、無党派の若者たちが勝手連的に動き、「オナガネットサポーターズ」を立ち上げました。特に自分たちと同じ世代向けにいろんな工夫を凝らしながら、翁長さんへのインタビュー番組をネット配信しました。

サポーターズは、衆院選でも「オール沖縄」にエールを送るというスタンスで、知事選終了後も解散せずに活動を継続しました。若者で辺野古へピクニックに行くイベントを実施し、また「若い人に候補者をもっと身近に感じてほしい」と、4人の候補者へのインタビューで、手作りの候補者応援グッズを渡したり、腕相撲をとったりする、とてもユニークな動画を配信しました。今後のサポーターズの動きは未定ですが、私は非常に注目していますし、何らかの形で続いていくと思います。

ないがしろにされ続けてきた沖縄の主権

総選挙は、自民党が単独で絶対安定多数を占める結果となってしまいました。沖縄から今の本土を見た時に、権力になすがままにされていく人たちの無自覚さについて、非常に怖い思いがしています。

今や秘密保護法がスタートし、集団的自衛権行使容認など、平和憲法が変えられようとしている危機的状況です。貧困や格差の問題もあります。沖縄では、何度も「基地No!」の民意を突き付けているにもかかわらず、沖縄の民意は踏みにじられ続けています。辺野古や高江で新基地建設が強行されようとしています。「政治なんて関心ない」「今より悪くなることはない」「戦争なんて起こるはずがない」と楽観的に思い込んでいる若い人が多いのではないでしょうか。

沖縄の状況は、沖縄への構造的差別も含めて、矛盾・しわ寄せが集中している、と思っています。

今年は「琉米修好条約」締結160周年にあたります。琉球王国がアメリカと結んだ条約で、アメリカ船舶への水、食料、薪の補給や遭難船の救助などを定めたものです。「日米修好条約」の直後に、ペリー艦隊が沖縄に立ち寄ったのですが、乗組員兵士が琉球女性をレイプする事件を起こすなど、アメリカ側の態度は高圧・差別的なものでした。ただ、形式上は、アメリカが当時の琉球を独立国として対応していたわけです。日米両政府に植民地扱いされ、軍事基地が集中する今の沖縄をみる時、この160年、「沖縄の主権」がずっとないがしろにされてきたことに、ため息が出てしまいます。

昨年1月、沖縄の全41市町村の首長・議長らが東京へ行き、オスプレイ配備の即時撤回や普天間基地の閉鎖・撤去と県内移設断念を訴える「建白書」を安倍首相に手渡しました。しかし、その内容は一顧だにされませんでした。建白書を手渡す前日に、都内でのデモがありましたが、日の丸を持った一団が沿道を埋め、沖縄からのデモ参加者に対して、「オスプレイ賛成!」「売国奴!」と罵声を浴びせる光景は、とても異様でした。

県の自民党国会議員が「辺野古容認」に屈した時(前述)の光景も、とてもショッキングなものでした。石破幹事長(当時)が会見する後で、県選出の5人の自民党議員が、うなだれた姿で座っていました。あれは私たち沖縄県民にとって、「権力によって、またもや沖縄の民意が押しつぶされた」ことを目撃した瞬間だったのです。

今回の衆院選は、「無視され続ける沖縄とは一体何なのか?」ということを、日本政府・国民に告発しました。沖縄が初めて「沖縄の自己決定権」を提起した選挙となったのです。

  HOME社会原発問題反貧困編集一言政治海外情報投書コラムサイトについてリンク過去記事

人民新聞社 本社 〒552-0023 大阪市港区港晴3-3-18 2F
TEL (06) 6572-9440 FAX (06) 6572-9441 Mailto:people★jimmin.com(★をアットマークに)
Copyright Jimmin Shimbun. All Rights Reserved.