2014/11/18更新
10月16日、神戸大学で職員同士の傷害事件が発生した。大学当局は、「早期解決と再発防止のため」として、詰め所を分けて2人を引き離すという処置をとっている。
職員らの仕事は、重度障がい者のジョブコーチだ。大学校内の清掃業務をとおして就労支援をしている。個人的な諍いなら弊紙で取り上げる必要もないのだが、事件の背景には、障がい者への虐待があるという。障がい者11人、職員5人という小さな職場で何が起こったのか? 傷害事件の被害者であるIさんの同僚から内部告発の投稿が届いた。 (編集部)
× × ×
傷害事件ですが、新人職員Iさんが出勤するとテレビが点いていて、打ち合わせに支障があるほどだったので、テレビを切ったら、古参の職員Tさんが、「何するんじゃボケ」と言いながら突進して、腹を殴ったそうです。
私が出勤した時には、Iさんが腹を押さえてかがみ込み、110番していました。救急車も来て病院に運ばれ、全治5日の診断でした。
この事件の背景には、障がい者への虐待があります。9月に新規採用されたIさんは、就職当初より障がい者に対する暴言・暴力による虐待を目にしていました。正義感の強いIさんは、改革しようとして職員ミーティングでさまざまな提案をしましたが、逆に古参職員から煙たがられる存在になっていたのです。
Iさんは、事件後、「Tの解雇は当然として、これを機に虐待の根絶を果たしたい」と語っています。
私も虐待を見かねていました。加害者であるTは、突然キレて担当の障がい者に怒鳴り散らすことをよくやっていました。障がい者たちは、怖くて言うことを聞くという形での支配です。他の職員=Kも、「掃くのが遅い!」と怒鳴って箒で体を殴る、という暴力を奮っています。
Iさんは、この暴力を目にして「放置できない」と思い、仕事前の準備体操や、雨の日の作業で雨具を携行するための袋を支給するなどの改革を提案していました。しかしこれらは、現状維持を望む古参職員からことごとく却下されました。私自身も嫌気がさし、来春に退職するつもりでしたが、Iさんへの仕打ちを見て怒りを共にすることにしました。障がい事件は、改革に乗り出した矢先に起きたものです。
家族からの通報を受けた労基署は、11月13日、虐待を確認するために立入検査を決めました。以前から虐待については家族から相談が寄せられており、傷害事件をきっかけに、事実確認が必要と判断したようです。
いっぽう大学当局は、虐待の事実に気づいてなかったようです。Tらが担当の障がい者に対し「イラんこと言うたらクビにするぞ!」と脅して口止めしていたからです。
今後の推移は、まず虐待を証明することです。労基署の立入調査、本人・家族らの証言で虐待は明らかになると思います。しかし、問題の根っこには大学の雇用責任があります。法定障がい者雇用率を達成するためだけにポイントの高い重度障がい者を雇用し、障がい者支援について知識もノウハウもない職員を採用し、形式だけを整えようとした大学当局の問題です。
労基署の立入検査が決まると、大学当局は慌てて「障がい者就労支援と虐待」をテーマにした講演会を企画しました。これを見ても対応が場当たり的で、ポーズを作っているだけとしか思えません。皆さん、大学に抗議の声を!
▼神戸大学…代表 078─881─1212
HOME┃社会┃原発問題┃反貧困┃編集一言┃政治┃海外┃情報┃投書┃コラム┃サイトについて┃リンク┃過去記事