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2014/10/3更新

経産相前テントひろば4周年イベント

原発廃止まで撤退はあり得ない
800人が経産省包囲ヒューマンチェーン

9月11日、脱原発「経産省前テントひろば」は、活動開始から4年目に入った。同テントは、再稼働阻止・脱原発社会に向けた活動拠点であるとともに、「Anti Nuclea Occupy Tent」と称されるように、世界のオキュパイ運動と連動し、国際社会に向けた日本の良心の発露でもあった。この日、テント周辺では設置3周年を記念して、集会・経産省包囲ヒューマンチェーンが行われ、800人が手をつないだ。

経産省は、テントが「不法占拠」だとして撤去と損害賠償を求めるスラップ訴訟を起こしている。しかし、公判そのものが日本の原発政策を問い直し、「国民主権とは何か?」を問う場ともなっている。原発再稼働をめぐる闘いが山場を迎えようとするなか、テントひろばの意義を再確認する行動となった。(編集部・山田)

誰も責任をとらない再稼働

9月12日、経産省では小渕優子経産大臣の会見が開かれた。川内原発(九州電力)が新規制基準に適合する、との審査決定から初めてとなる会見で小渕大臣は、「再稼働に求められる安全性が確保された」として、「事故が起きた場合は、政府が責任を持って対処する」との政府方針を、伊藤祐一郎・鹿児島県知事と岩切秀雄・薩摩川内市長に伝えたという。文書を受け取った伊藤知事・岩切市長は、「国の責任が明確にされた」と評価している。

11日の3周年集会では、同大臣に対し、子育てにはげむ2児の母親の目線で「独自の原子力政策を進めてほしい」との期待も表明されたが、淡い期待は裏切られた。

9・11行動は、4部構成で行われた。@経産省前アピール・申し入れ行動、A記者会見、B経産省前集会の後、C経産省包囲―怒りのヒューマンチェーンで締めくくった。

まず、テント代表の淵上太郎さんの発言を紹介する。同氏は、規制委による基準合格との審査書決定について、次のように批判。ひろばの意義と今後の抱負を語った。

―規制委は、基準を満たしているかを審査するだけで、「安全を保証するものではない」と明言している。一方、政府は「規制委が認めたものは安全だから、再稼働を進めていく」とくり返し、地元自治体は「国が安全と言っているのだから安全」という、責任の押しつけあいだ。再稼働は、誰も安全性を保証しないという無責任な見切り発車である。

福島原発は、今も放射能が漏れ続けており、福島県民健康調査・検討委員会の「甲状腺検査評価」では、甲状腺癌とその疑いのある子どもが104名。明らかに異常事態だ。福島の困難は何一つ解決されていないばかりか、深刻になっている。こんな現状で、テントひろばが自ら撤退することなど、絶対にあり得ない。

経産省は、「ここから出て行け!」と裁判に訴えているが、テントひろばは、多くの人が集まる公共の場所、国民の場所であり、私たちの行動は全く正当である。正面から裁判を闘いぬく。

続く発言は、双葉町から東京へ避難してきた亀屋由紀子さん。亀屋さんは、テントひろばを「第二の故郷」と呼び、連帯を表明。中間貯蔵施設建設をめぐり地権者として経産省の態度を厳しく批判した。

―福島では、放射性物質の中間貯蔵施設を帰還困難地域に作る計画が進められている。県は受け入れたが、私たち地権者には何の話もない。「売らない」と言ったら、経産省は「30年間貸してください。更地にしてお返しします」と言う。私が「『中間』と言うなら、最後はどこにもって行くのか?」と聞いたら、「まだ決まってません」と答えた。

30年後に私は死んでいる。その役人だって、役所にはいないだろう。そんな先の話ではなく、目の前の問題を解決してほしい。私はふるさとに帰りたい。帰れないけど帰りたい。その気持ちわかりますか!絶対に土地は売らない。

棄民政策に抗して生き続ける

たんぽぽ舎の柳田さんは、継続的な闘いの効果を語った。

―たんぽぽ舎は、長年経産省への抗議行動を続けてきた。最初の大衆的になったのは、1999年JCO臨界事故のときだ。事故直後、東京では初めての400人のデモとなった。毎年9月30日に抗議デモを続け、今年で15年目となる。

2004年12月からは、毎月第4水曜日に核のゴミ問題・六ヶ所村の処理施設をテーマにした経産省デモを行い、欠かさず要望書を手渡してきた。経産省は全く聞く耳を持たなかったが、明らかに嫌がっており、継続して問題点をきちんと指摘し続けることは、とても大事だ、と再認識した。

脱原発テントは、金曜日の官邸前デモとともに原発現地で闘ってきた人々にとって、希望の星になっている。たんぽぽ舎も、全力でテントを守る闘いを、全国のなかまとともに続けていく。

浪江町から『希望の牧場』の吉沢さんも駆けつけた。

―原発から14`の地点で事故に遭った。浪江町は、最も汚染された絶望的な地域だ。除染しても米は作れないし、子どもたちは絶対に帰ってこられない。金をかけた除染作業も、むなしいかぎりだ。

被災者は仮設住まいが続き、過酷な扱いを受けている。まともな賠償も受けられない。帰るところもない高齢者が、仮設で次々に命を落としている。これは完全な棄民政策だ。

私たち10軒の農家は、650頭の牛たちを守りながら頑張っている。農水省は、生き残った牛たちの殺処分方針を変えない。この牛たちは、福島原発事故の生き証人として、放射能の影響を見事に証明しているからだ。

6月20日、農水省に全身に見たこともない白い斑点があらわれた黒毛和牛の牛一頭を連れて行って、大騒ぎになった。しかし、政府は放射能との因果関係を認めない。子どもたちの甲状腺がんについても同様だ。私たちは、今後一切国の言うことを信じないし、従うことは絶対にない。

原発の時代そのものを乗り越える、壮大で深い連帯闘争=実力闘争こそ必要だ。私は元には戻らない町に、被曝しながら住んでいる。この場所から問い続け、残りの人生を賭けて闘い続ける。

怒りのヒューマンチェーン

17時からはテントひろば前で記者会見が開かれ、河合弘之弁護士、福島原発告訴団の武藤類子氏、「原発いらない福島の女たち」黒田節子氏らが出席した。作家の落合恵子氏、『川内の家』の岩下雅裕氏の発言を3面で紹介する。

記者会見の後、再び経産省前で抗議集会が行われ、制服向上委員会のメンバーも歌を披露。その後、参加者全員で経産省を取り囲むヒューマンチェーンを2回行なった。

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