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2014/9/7更新

辺野古緊急報告

ボーリング調査強行を許すな!
安倍政権下国民に向けられ始めた国家暴力

辺野古カヌー隊 金 治明(沖縄戦と朝鮮人強制連行を記録する会)

海上保安庁の暴力弾圧

安倍政権は、反対運動排除のため「臨時制限区域」を設定し、8月14日、辺野古・大浦湾にブイ(浮標灯)・フロートを設置しました。新基地建設に反対する沖縄県民の民意を無視した暴挙です。

小野寺防衛大臣は、安倍首相の強い意志を背景に陣頭指揮を取り、海上での反対運動を封殺するために、全国から集めた海上保安庁(以下海保)の巡視船16隻、大型ボート28隻、警戒船、作業船を含め75隻を投入して、私たちカヌー隊18艇に襲いかかりました。

海保は、カヌー7艇、ゴムボート1隻、小型船1隻を強制拉致し、カヌー隊員7名を「確保」し、ゴムボートの仲間1名を羽交い絞めにして負傷を負わせるなどして排除し、ブイ・フロートを設置したのです。

その後もカヌー隊は、ブイ・フロートに迫る戦いを行っています。海保の弾圧の手口は「ここから先は危険なので、あなた方の身の安全を確保するために必要な措置を講ずる」として、私たちを拘束し強制排除するのです。しかし、大型ボートでカヌーに接近し荒波を立てること自体が危険行為なのです。

カヌーは横波に弱く、すぐに転覆してしまいます。また、スクリューに巻き込まれたら命に関わります。

海保は、7月27日―2名、8月14日―7名、28日―8名、26日―9名、合計26名の仲間を「確保」と称して身柄を拘束しましたが、この過程で仲間の眼鏡を割り、鼻に刺さる怪我を負わせ、8月22日には、カヌー隊の仲間の首を絞め、頸椎稔挫=全治10日の怪我を負わせたのです。

私たちは、海保の度重なる暴力と闘うために、8月29日、那覇地裁名護支部に「特別公務員暴行陵虐致傷」の容疑で3名の海上保安官を告訴しました(告訴状要旨参照)。

そもそも海上保安庁の職務は「海の安全と人命救助」のはずですが、辺野古では「安全確保」と偽り、本来業務と無関係な基地建設のガードマンになり下がったのです。

基地建設阻止行動の基本理念は、非暴力、抵抗、不服従、そして、相手方に対して説得する─です。この理念を10年来、堅持してきています。

2004年当時は、沖縄防衛施設局(現・沖縄防衛局)がチャーターした作業船・警戒船・ダイバーが、反対運動と直接対峠する攻防で、両者が接近し、「危険」と見極めた時だけ、海保が介入して双方を引き下がらせる対応をしていました。海保は仲裁者として、中立の立場を堅持していたのです。ところが安倍政権になると、海保が前面に登場し、暴力的に襲いかかる大転換をしました。

キャンプ・シュワブゲート前 資材搬入阻止の攻防

8月14日より毎土曜日AM9〜10時、キャンプ・シュワブゲート前にて「制限水域拡大に抗議!ボーリング調査反対」集会を開催。毎回百名以上の参加があります。

沖縄防衛局は7月20日深夜に、建設資材・ブイ・フロートなどを大型トラック43台で運び込みました。私たちはさらなる資材搬入を阻止するため、24時間警戒態勢に入りましたが、22日未明、またもやトラック20台に資材を運び込まれてしまいました。しかし、連日連夜の粘り強い阻止行動により、資材搬入を停滞させることができました。

「辺野古にカヌーを送ろう!贈ろう!!」プロジェクト

辺野古では、米軍基地の新設に反対して、海と陸でがんばっている仲間たちがいる。カヌー隊の友人と電話で話していたとき、彼がふっと言った。

「カヌー、ぼろぼろで、水が入ってきたらどうしようって思いながら漕いでるんだ」「新しいカヌー欲しい?」「もちろん!新しいカヌーがあったら、海上保安庁相手に思う存分、闘える」…。私はツイッターでつぶやいた。「カヌーって、お気軽に買えるものなのかな…」。すぐに見知らぬ仲間から、「買うならカンパする」って連絡がきた。

よしっ!カヌーを買おう!!

カヌーを調べる友人、口座を作ってくれる友人。小さなつぷやきが、いろんな人を巻き込みながら、カヌーを贈るプロジェクトが始まりました。私たちの溢れる想いを載せたカヌーが辺野古の海に漕ぎ出すって、なんだかステキだと思いませんか? (山口千春)

個人プロジェクトです。振込み料のご負担をお願いします。

【振込先】
☆ゆうちょ銀行記号・10560/番号・18094791/口座名・「辺野古へカヌーを贈る会」/
※他行から…店名・〇五八(読み・ゼロゴハチ)/店番・058/(普通)1809479

ゲート前行動は当初、穏やかな抗議行動でしたが、防衛局が7月28日にゲート前歩道にX型の殺人鉄板を敷き、ゲートと車道を仕切る蛇腹式フェンスを設置するという妨害工事に対して、怒りが自然発生的に組織されてきました。

8月14日、海保が、市民に怪我を負わせるという暴力的排除を伴って、ブイ・フロート設置を強行したことを境に、ゲート前行動は激しさを増しています。一時間毎のゲート前デモ行進が繰りひろげられ、参加者もこれまでで最大の300人を越えています。民意を踏みにじる安倍政権の強硬姿勢に、「辺野古移設、埋め立て反対」という抗議の声を上げました。

8月28日には、「止めよう新基地建設!みんなで行こう、辺野古へ」県民集会が、当初の1000人の予想を上回る3600人の参加で開催されました。キャンプ・シュワブゲート周辺は、灼熱の太陽を浴びながら、市民の「民意を無視した強行だ」「政府の暴力を許さない」「普天間基地の県内移設反対」の声で埋め尽くされました。

集会では、稲嶺進名護市長をはじめ、「沖縄建白書を実現し未来を拓く島ぐるみ会議」の平良朝敬氏、平和市民連絡会・高里鈴代氏、統一連・中村司氏、県選出国会議員(照屋寛徳、赤嶺政賢、玉城デニー)、奥平一男県議、ヘリ基地反対協・安次富浩氏、「ヘリ基地いらない二見以北10区の会」松田藤子氏らの発言が、大きな拍手で迎えられました。

集会アピールでは「県民の目の前で、国家権力を総動員した横暴が繰り広げられている。私たちは、海、陸での抗議行動と連携支援し、辺野古の海を絶対に埋め立てさせない、新基地建設を阻止する」との決意とともに、「止めよう新基地建設!命育む美ら海を守り抜く」との意思が採択されました。

稲嶺市長は、県内41市町村の首長や議会議長らが署名して県内移設の断念を訴えた「建白書」を無視して、海上保安庁の巡視船などを全国から集結させて海上作業を強行している安倍政権の姿勢を強く批判しました。そして沖縄戦にたとえ、「沖縄戦開始とともに沖縄中をアメリカの軍艦が取り囲んだ。あの光景と全く同じだ。この国はどこに向かい、その視線はどこにあるのか、と思わざるを得ない」と指摘しました。

同市長は最後に、仲井真知事の埋め立て承認判断を批判―「絶対に今年は、あの人にいい正月を迎えさせないように力を合せよう」「名護市議選で地元を固め、県知事選に流れをつくっていく」と、移設阻止に向けた協力と連帯を呼びかけました。キャンプ・シェワプゲート付近にあふれた参加者は、熱気ある稲嶺市長の呼びかけに、大きな拍手と指笛で応えました。

集会は、山城博治沖縄平和運動センター議長の司会で進行し、短時間ながらもデモ行進が提起され、団結ガンバローで締めくくられました。

海保との熾烈な攻防

我らカヌー隊14艇は、午前10時にキャンプ・シェワブゲート前行動をしている仲間の激励とシュプレヒコールを背中に受け、辺野古浜を出航しました。キャンプ・シュワブ沖に設置され埋立予定水域を示すブイ・フロート沿いを進みました。海保はいつものように「30b以上離れなさい。さもなければ、あなた方の安全を確保するために必要な措置をとります」と、6人乗り大型ボート7隻、巡視艇1隻でカヌーを取り巻き、「海猿」たちがいつでも飛びこみ私たちを「確保」する体制でいました。カヌー隊は、県選出国会議員、県会、市会議員が12時にキャンプ・シェワブ水域の視察に合流するために、基地から約500b離れた平島で待機しました。

前日に、仲間3名がオイルフェンスを乗り越えて泳いでいたら、海保から「この付近で泳ぐと危険だ」と「確保」されてしまいました。しかし同時刻、アメリカ兵2名がすぐそばで遊泳していましたが、海保は「安全確保」する様子がありません。私たちが抗議すると、「日米地位協定があるので何も言えない」との返答で逃げてしまいました。

カヌー隊はこの日、国会議員、県会議員の見ている前でオイルフェンスを越えて、再び遊泳する予定でしたが、海保は私たちを、フェンスから30b離れろ、と強権的に「海猿」23人を海に投入して接近を阻んできました。私たちはフロートにしがみ付きましたが、残念ながら国会議員を乗せた船は、カヌー隊からかなり離れた所で抗議演説をして去っていきました。

カヌー隊はこれを期に撤退を決め、「止めよう新基地建設!みんなで行こう辺野古へ」県民集会に参加しました。

カヌー隊20名拘束

8月30日、我らカヌー隊は辺野古浜から約700bにあるスパット台船(ボーリング掘削機)に乗り込み、作業員にボーリング作業を中止するように要請する行動を開始しました。

カヌー23艇、乗員38名(飛び込み、もぐり隊)を5班に分け、フロート沿いに並べてフロート約150bをカヌーで占拠し、さらに囮部隊、潜り部隊、プカプカ隊を編成して、10艇以上がスパット台船に辿り着き、レインボー旗を翻す予定でした。

告訴状要旨

(公訴人は)カヌーに乗船して海上に浮遊している赤色のフロートに接近し「新基地反対」のプラカードを掲げて抗議活動を行った。すると、海上保安庁のゴムボートが接近して来るのがわかったので、公訴人は、これを避けるためにカヌーを後方へ進行させフロートから離れようとした。ゴムボートがカヌーに接近すると1名が棒状の道具でカヌーをボートに引き寄せた。その上で2名が告訴人を羽交い蹄めにするなどしてボートに引き上げ、告訴人の後頭部をゴムボートの船底に打ちつけた。上記暴行により、告訴人は約10日の患部安静を要する頚椎捻挫の傷害を負った。さらに、ボートに収容した後、長時間にわたり告訴人を拘束した。

しかし、海保もさるもの。大型ゴムボート6隻(各乗組員5名)をフロート付近に配置し、待ち構えていました。カヌー隊は、作戦どおりに行動を開始し、8艇のカヌーがフロート越えに成功。22名の拘束者を出しながらも、海保を混乱に落とし込めることに成功しました。

今回は幸いにもけが人も出ませんでした。29日の告訴を受け、海保の対応は幾分緩くなったようです。

これまでなら、沖合いの巡視艇で国頭まで身柄を運び、「安全指導」なるものを行ってきましたが、今回は現場で拘束者とカヌーの引き渡し交渉に応じ、その場で2名とカヌー2艇の解放・返還を勝ち取りました。他の20名についても、抗議船4隻、カヌー8艇の返還とともに身柄の解放を約束させ、カヌー隊全員の奪還が実現しました。

帰還後、辺野古浜では臨時テントを張り、カヌー隊の慰労・激励の小集会が山城博治氏の司会でおこなわれました。カヌー隊の学生が激励のお礼を述べ、団結ガンバロー三唱が浜に響きわたりました。辺野古闘争は、新たな段階に入りました。(以上)

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