2014/4/2更新
反原発・かごしまネット 杉原 洋
原子力規制委員会は3月13日、原発再稼働に向けて九州電力川内原発1・2号機を「優先審査」すると決定した。これに対し16日、鹿児島市で「3・16再稼働反対、さよなら原発!かごしまパレード」があり、鹿児島県内をはじめ全国から約6千人(主催者発表)が結集、「再稼働は絶対許さない」「優先審査やめろ」と強くアピールした。県内90団体でつくる「ストップ再稼働!3・11鹿児島集会実行委員会」の主催。反原発集会としては、県内で過去最大規模となった。
集会は午後1時に始まった。県内をはじめ、北海道、福島、東京、富山、福井、愛媛、福岡、佐賀、宮崎、熊本など、原発立地県とその周辺自治体から市民、労働組合員などが駆け付け、危機感をあらわにした。
基調報告に立った向原祥隆「反原発・かごしまネット」代表は、@福島第一原発事故の原因もまだ未解明。汚染水流出も止まっていない。事故がまるでなかったかのように再稼働に前のめりになっているのは、常軌を逸している、A規制委員会は単なる原発推進組織だということが明らかになった、B川内原発周辺の活断層に関する九電の評価は全く不十分、政府の地震調査研究推進本部がその酷さを痛烈に批判しているし、桜島、霧島、阿蘇などの大規模噴火・火砕流には目を覆ったままだ、C原発周辺30`圏内に22万人暮らしているが、避難計画は机上の空論、要援護者は切り捨てられる、D事故がなくても、原発が稼働すれば微量放射能が環境に放出され続けるし、温廃水は海の環境をメチャクチャにしている――と問題点を指摘。「私たちは鹿児島の海、大地、森や川を守らなければならない。あらゆる手段を駆使して、川内原発、全国の原発再稼働を阻止していこう」と訴えた。
全国からの参加者たちは、リレー式に次々登壇。福島県大熊町で被災し会津若松市に避難中の木幡ますみさんは、「避難訓練など何の役にも立たなかった。弱者は切り捨てられる。古里も奪われる。3年経っても福島の状況は何も変わってない。再稼働させてはならない」と呼び掛けた。
また、宮崎県から参加した小川渉さんは、「川内原発から風船を飛ばしたら、宮崎に多く落下した。私たちは風下の住民になってしまう。川内はまさに私たちの現地であり、ともに闘いたい。全国の人たちと一緒に声を上げたい」と訴えた。
川内原発が立地する薩摩川内市の鳥原良子さんは、「再稼働に前向きな鹿児島県知事らの姿勢が、優先審査を呼び込んだ。原発がなくなれば地元経済が成り立たないという声もあるが、自助努力をしないで交付金に頼っての活性化はない」と、脱原発を強調した。
集会は、「福島原発事故の原因が明らかになっていないのに、『安全な原発』を語ることはできない。その中での『優先審査』決定は、『再稼働ありき』であり、とうてい許されない。過疎地に原発を押し付け、過密都市が『繁栄』する構造は歪んでいる。太陽、風、地熱など地球にやさしいエネルギーを使おう」などとする鹿児島アピールを採択。その後2コースに分かれ、市内中心部をパレードした。
この集会には、熊本、福岡、大分などから右翼団体が街宣車約20台で押しかけた。「市民団体を装った革命集団が集会をやっています」「甘い言葉に隠れて日本経済を混乱させようとしています」「反原発デモに強く憤っています」など、脱原発運動を誹謗。突撃ラッパやサイレン音を大音量で響かせ、集会妨害行動を繰り広げた。
九州では福岡、佐賀などでも右翼の行動は見られているが、これほど大規模に姿を見せたのは初めて。今後、再稼働の動きが近づくにつれ右翼の行動がエスカレートする危険性があり、注意が必要だ。
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