2014/2/1更新
注目の名護市長選は、日本政府に屈しない現市長の稲嶺ススム氏が4155票の差をつけ大勝した。投票率は、前回並みの76・71%だった。この勝利は、「地域の未来は自分たちで決める」という名護市民の「自己決定権」の意思表明、ひいては沖縄県民の未来を展望する歴史的勝利である。
「総力戦」という軍事用語があるが、まさしくこの市長選、稲嶺市政を押しつぶそうとする日本政府(安倍政権)と、名護市民・沖縄県民が誇りを守ろうとする、激しい総力戦であった。
自民党の石破茂幹事長の応援演説「500億円の名護振興基金の創設」に見られるように、政府は再編交付金などの金で名護市民を支配してきた。今回の選挙でも、政府は湯水のごとく選挙資金(膨大な金や人)を投入し、なりふり構わず民意をねじ伏せようとした。
しかし、名護市民はこうした日本政府のやり方に怒りの声を上げた。
稲嶺市政は基地押しつけの再編交付金を受け取らず、財政の健全化をめざし、実現した(市予算が287億円から358億円へ、建設事業費は69億円から84億円へ、基金積立額は38億円から70億円へ)。この4年間、名護市民は稲嶺市長と共に、自立する地域(基地のない町づくり)をめざし前進してきた。
稲嶺ススム氏は、仲井眞知事の辺野古埋め立て承認に対して「名護を見捨てた」と厳しく批判。そして「基地押しつけの再編交付金がなくても財政を健全化させた実績」を強調し、「辺野古の海にも陸にも新たな基地を造らせない。信念を貫く」と、新基地建設反対を明確に訴えた。
今回の名護市長選では、幅広い層から稲嶺氏支援が見られた。
観光業界の平良朝敬氏(「かりゆしグループ」CEO)は、「観光は平和産業だ。辺野古移設を受け入れると楽園を放棄することになる」と、述べ、基地と観光が両立しないことを訴えた。
また、元自民党沖縄県連顧問・元県議会議長の仲里利信氏(沖縄4区で当選した西銘恒三郎衆院議員の後援会会長を勤めた自民党沖縄県連の重鎮)が、「西銘氏が公約を破棄し、辺野古移設を認めてしまった。私は、抗議の意味で後援会会長を辞任した。仲井眞知事の辺野古移設承認は、県民への裏切りである」と述べ、稲嶺氏の当選をめざして毎日自分の宣伝カーで名護に通い、選挙応援を展開した。
このように、多くの沖縄県民が稲嶺氏応援に駆けつけた。毎日1人で「辺野古の海を守ろう」という手作りゼッケンを着けて辻立ちする人などもあった。こうした応援活動が名護市民を感動させ勇気づけた。
逆に私たちも、朝の辻立ちで手を振れば、自動車の窓が開き、「ご苦労さん」「頑張ろう」と声をかけられたり、自動車のクラクションを鳴らしてくれる人など、多くの市民から勇気づけられた。
街宣カーでの呼びかけ(単なる連呼ではなく、ウチナーグチでの訴え)に対して、家からわざわざ出てきて手を振る人、声をかけてくる人が多く、投票当日も、わざわざ事務所に来て「結果が心配で心配で、家にじっと座っていられない」と選挙結果を心配する年配者を見て、胸が熱くなった。
日本政府(安倍政権)に対する怒り、自民党沖縄県連に対する怒り、仲井眞知事の裏切りに対する怒りなど、様々な思いの中から、名護市民は民意を明確に示した。
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