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2014/2/1更新

A安次富浩さん(ヘリ基地反対協共同代表)インタビュー

原発建設と同じ構図の米軍基地押しつけ

──仲井眞知事が表明した「辺野古埋め立て承認」の名護市長選への影響は?

安次富…市長選の前に、「琉球新報」「沖縄タイムス」が、知事の「埋め立て承認」について世論調査を行いました。反発が70%を超える結果で、「知事の承認を支持する」と答えたのは30%を切る結果となりました。

そうした状況が続く中で、今回の市長選挙を迎えたわけです。県知事の「埋め立て承認」に対する名護市民の反発が、はっきりと選挙結果に表れています。

──安倍内閣からの露骨な介入や圧力がありました。

安次富…例えば、石破幹事長は「500億円の名護振興基金を作る」と公然と発言して、「アメとムチ」を使い、「基地の問題は、国の専管事項だ」というわけです。

これに対して、稲嶺市長は「沖縄の民意が優先だ」と批判すると同時に、名護市民をはじめ沖縄県民全体から、こうした「ムチ」への怒りの声があがってきました。そもそもいまの沖縄が基地被害に悩まされ、理不尽な目に遭っているのは、これまでの国策に従わされてきたからです。

500億円については、買収行為です。自民党が得意とする「金権政治」そのものですが、もともと「自民党候補が勝ったら、名護市に500億円が落ちる」なんて、誰も信用していません。実際、推薦候補が負けたら、「あの話はなかったことにします」「実は予算内の枠だった」と、いい加減な中身が明らかになってきました。つまり、そのようにして市民の関心を、まやかしの「振興策」という枠に押し込めようとしたわけです。

──自民党候補は、「地域振興」を前面に出して「辺野古新基地建設」を訴えました。

安次富…原子力発電所建設と同じ構図です。これまで、地域振興策を「アメ」にして、「安心・安全・クリーン」ということで、原発の増設が図られてきました。しかし、福島原発事故は、「安全神話」の欺瞞を暴き出しました。

基地問題も、「国策」として沖縄県民に押しつけられ、地位協定の問題や米兵への裁判権の問題など、米軍が関わる事件・事故について政府はほおかむりで、被害者である沖縄県民は、泣き寝入りを強いられてきました。これに対する強い怒りがあります。

昨年11月、オーストラリア外務省の外交文書の公開がありました。それは、沖縄の本土復帰後の1972年10月に、アメリカは沖縄を含む太平洋地域から海兵隊の撤退を検討していた記録でした。

当時アメリカは、ベトナム戦争による戦費増大による財政負担で、「すべての太平洋地域の海兵隊をカリフォルニア州サンディエゴ(キャンプ・ペンデルトン)に統合することが、安上がりで効率的」だと結論を出していました。ところが、日本政府側が「アジアにおける機動戦力の必要性を踏まえると、米国の海兵隊は維持されるべき」と、海兵隊の駐留継続を懇願します。日本政府は在沖縄米軍基地を撤去する機会をつぶしただけではなく、その後米軍の駐留が進み、年間2000億円規模の「思いやり予算」が投入されるようになったのです。

そうしたことを考えれば、日本政府の国策にわれわれが従わなければならない理由は、何もないのです。私たちからすれば、そういう圧力に対しては、「ふざけるな!」という声が上がるのは当然です。私たち沖縄の将来を作っていくのは、「自己決定権」(自決権)だと思っています。

知事辞職求める大集会

──知事の「辺野古埋め立て承認」後、どんな反撃の動きが始まっていますか?

安次富…1月15日に、那覇地裁に「埋め立て承認取り消し」を求めて、県を提訴しました。194名が告訴団に参加しましたが、市長選後人数が増えて、300人を突破する勢いです。

仲井眞知事は昨年末、飛行機でヤマトに飛んで、政府との「沖縄政策協議会」にのぞみました。それまで「病気」を理由に県議会を欠席していたにもかかわらず、です。そして東京の病院に「入院」しましたが、その裏では政府と交渉をやっていたわけです。ところが名護市長選になったら、毎日のように名護入り。車いすはパフォーマンスだったのです。

県民は、こうした仲井眞知事の「猿芝居」を見抜いていますので、知事に対する怒りは収まらないし、知事としての権威はまったく喪失している状態です。県議会も、知事に対し「辞職勧告」を決議しました。こうした知事への責任追及は、これからもやっていきます。

3月2日に行われる石垣市長選挙で、現職の中山石垣市政を問う選挙が行われます。中山市長は、尖閣諸島の「実効支配の確立」を政府に要求しており、自衛隊誘致を進める与那国町や、中学公民教科書問題で揺れる竹富町を含む先島諸島にも影響を及ぼしています。名護市長選挙の結果が波及すれば、仲井眞知事の権威はますます失われることになります。

今年11月の県知事選挙に向け、私たちは従来の「保革」の枠組みを超えて、沖縄のアイデンティティを守るための選挙を作っていきます。それができれば、仲井眞知事が3選をめざすにせよ、後継者が出るにせよ、勝てる可能性は十分にあるでしょう。そうなれば、瑕疵のある「辺野古埋め立て承認」を撤回することも可能だと思います。

ただ、今は知事の辞職を求める運動に大きなウェイトを置いています。今年4月には、新基地建設のためのボーリング調査が予定されていますが、辺野古現地でどう運動を作っていくかは、これからの検討課題です。「埋め立て承認差し止め」訴訟や、アメリカでのジュゴン裁判の行方も見ながら、「埋め立てを絶対に止める」という目標に向けて、現場闘争と政治闘争を同時並行して進めていきます。

「辺野古アピール」を出したアメリカの29名の有識者の国際的な支援も受けながら、実際に辺野古の埋め立て工事が始まるのは来年4月ですから、それまでに政治決着でストップさせることは、十分に可能だと私は思っています。

──本土へのメッセージをお願いします。

安次富…名護市長選では、「基地NO!」の明確な意思を示しました。本土でもそれぞれの現場で、安倍政権を追いつめる闘いに奮闘して欲しい、と思います。

東京においては、東京都知事選挙が行われていますが、ぜひ「反原発」でまとまって、安倍政権を揺るがす結果を突きつける結果を出して欲しい。大阪では、橋下市長と維新の会を引きずり下ろす闘いに、注目しています。

安倍政権は、決して盤石ではありません。そのことは、地方自治体の首長選挙で、福島・南相馬市でも反原発派の市長が当選したように、自民党公認の候補が負け続けていることからもわかります。自民党は国会で多数の議席を占めているだけの話であって、人びとに支持されているわけではないのです。

地方では、自民党政権への怒りが積もり積もっています。それをトータルにまとめていく政治勢力を、早急に作り上げる必要があります。

従来の社共では、もうダメです。もちろん、それぞれの良さは持っていますが、そういう枠だけでは、これから安倍政権と対峙し、勝利することはできないでしょう。もっと幅広い統一戦線を作っていく必要があると思います。

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