人民新聞オンライン

タイトル 人民新聞ロゴ 1部150円 購読料半年間3,000円 ┃郵便振替口座 00950-4-88555/ゆうちょ銀行〇九九店 当座 0088555┃購読申込・問合せ取り扱い書店┃人民新聞社┃TEL (06) 6572-9440 FAX (06) 6572-9441┃Mailto: people★jimmin.com (★をアットマークに)twitter
HOME社会原発問題反貧困編集一言政治海外情報投書コラムサイトについてリンク過去記事

2013/12/28更新

「特定秘密保護法」に反対し続けよう

プライバシーアクション代表 白石 孝さん

安倍政権は、なぜこれほど秘密保護法の成立を急いだのか?歴代自民党政権にあって、中曽根は日本に原発を持ち込み、臨調・行革、国鉄分割民営化や総評解体に動いた、私からすれば、とんでもない首相だった。小泉は言わずと知れた新自由主義者で、格差を一気に拡大した独裁者だ。しかし、中曽根は「スパイ防止法」を、小泉は「共謀罪」を強行導入しなかった。

いま安倍は、大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略という、いわゆる「アベノミクス」をはじめ、労働法制の大改悪、そして「積極的平和主義」政策を、圧倒的な議席を背景に押し進めている。

狙いは、「日米同盟の強化」と言われている。確かに、12月6日の特定秘密保護法成立を受けた12日、政府は「国家安全保障戦略の概要」を自民党の外交部会などの合同会議に提示、了承された。

焦点の武器輸出三原則については見直し、「新原則を策定する方針を明記」「新たな防衛大綱の概要も自民党に提示し、了承」(時事通信)と、急すぎるほどの動きを見せている。集団的自衛権行使による実質改憲も間近かもしれない。国家安全保障会議=日本版NSCに続き、国家安全保障基本法も上程と言われている。まさに「戦争のできる国」にまっしぐらだ。

相互監視・密告社会への懸念

ただ、もうひとつ注意しなければならないのは、治安強化など監視社会への道だ。12月5日、私たち「『秘密保護法』廃案へ!実行委員会」は、参議院特別委での強行採決に抗議する記者会見を行ったが、出席された刑事法の村井敏邦一橋大学名誉教授は、「法律が成立すると、その実効性をどうするか、まずは盗聴の合法化、すなわち通信傍受法の範囲拡大だろう」と、今後の事態を危惧する発言をしている。

秘密保護法の立案にあたり、もっとも熱心だったのは警察官僚だったという情報もある。ということは、その先に共謀罪も見え隠れする。ご存知と思うが、2004年と05年に提出されたが廃案となったものだ。

これは殺人、強盗、放火などの重犯罪だけでなく、600を超える犯罪が対象になるとされている。実行行為がなくても組織的犯罪に関して計画・準備に加わると、実行前の段階でも対象となる。12月13日、自民党高市政調会長は、東京オリンピックを睨んでの導入発言をしている。

私が懸念するのは、こういった社会総体の監視体制強化だ。それは、戦前でもそうであったように、そして過去・現在世界各地でみられるように、相互監視や密告の日常化とセット、ということだ。

「公益」のために米英政府を告発したスノーデン氏

米政府関係機関による大規模な通信傍受が明らかになったのは、今年6月。最初は米国の弁護士が、数百万人におよぶ米国市民の通信、メール傍受の事実を明らかにした。次いで、元CIA職員スノーデン氏が、多数の民間企業の大型インターネット中継機などの基本通信回線に侵入、1日数百万件の記録を集めていた、と内部告発。さらには、米英両国の諜報機関がG20サミット参加高官たちのメールや電話を傍受していたことも、明らかにされた。

これに対して、米政府はスノーデン氏を起訴し、「死刑にはしない」から米政府に引き渡せ、と要求。つまり、私たちからすれば、法を曲げたり、悪用して傍受を大量かつ頻繁に行っている米英政府こそが世界各国の市民を敵対視しているのであり、スノーデン氏は「公益」のために身の危険を顧みずに立ち上がった人という評価だが、その逆の対応をしている。

英政府は、報道を続けるガーディアン紙の編集長を国会喚問し、さらには報道の停止や入手した情報の引き渡しまで求めている。「国家機密を守る」とは、こういうことだ。日本でも、やがてはスクープ報道が消えてなくなるだろう。石破発言はそれを正直に表現している。

なお、米国を中心とする超監視国家とそれに抗する内部告発者たちの動きは、日本でもっと報道されるべき事態だ。

「秘密保護法」廃止へ向けて

私たちは12月12日に実行委員会を開催し、「『秘密保護法』廃止へ!実行委員会」と名称を変えつつ運動を継続することを決めた。同日発表したプレスリリースの要旨は、次のとおりだ。

○私たちは、この秘密保護法の内容も手続も絶対に認めることはできない。この法律が廃止されるまで、決してあきらめない。廃止を強く求めるための活動を始める。

○秘密保護法の廃止を求める全国署名に取り組む。

○1月下旬と推測される次期通常国会の開会の日の昼間と夜に、秘密保護法の廃止を求める国会包囲行動を行う。行動の詳細は追って、実行委員会のHPで公表する。

× × ×

その他、国連人権担当高等弁務官をはじめとした国際機関や国際ペンクラブ、財団、ジャーナリストなど、海外から日本政府への批判が多く出されており、それらをゲストとした国際シンポジウムの開催、さらには学者・研究者による法律の批判的逐条解説の作成なども準備中だ。

また、この間の運動がそうだったように、国会や首相官邸周辺や首都圏だけの運動ではなく、各地での取り組みと連携し、社会全体で廃止運動を進めようと考えている。

軍隊を持ち、戦争をしている諸国よりもひどい法律を作り、なおかつ悪法を次々と導入しようという安倍政権には、もう退場してもらうしかない。

  HOME社会原発問題反貧困編集一言政治海外情報投書コラムサイトについてリンク過去記事

人民新聞社 本社 〒552-0023 大阪市港区港晴3-3-18 2F
TEL (06) 6572-9440 FAX (06) 6572-9441 Mailto:people★jimmin.com(★をアットマークに)
Copyright Jimmin Shimbun. All Rights Reserved.