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2013/12/11更新

NO NUKES えひめ ―福島を忘れない・伊方を再稼働させない

伊方原発再稼働阻止/最大規模8300人
右翼・県警・県当局三位一体の妨害

12月1日、再稼働のトップランナーといわれる伊方原発の廃炉を求める「NONUKESえひめ」が行われた(主催:伊方原発をとめる会)。松山市で8000人の反原発集会は史上初だ。6時間という長丁場の集会・デモは、途中雨も降り出したが、帰る人もなく、特定秘密保護法案成立間近という危機感と相まって、会場は「絶対に再稼働は許さない」という熱気に包まれた。

翌2日には、伊方現地行動が取り組まれ、近隣の八幡浜市で反原発講演会も開かれた。同行取材した。(編集部・山田)

※ ※ ※

会場に近づきまず耳に飛び込んできたのは、右翼街宣車のがなり声だった。独特の濁声と安いアンプのせいだろう、何を叫んでいるのか?さえ聞き取りにくいのだが、山本太郎参院議員の辞職を求めているらしい。

橋を渡って会場がある松山城の堀之内に入ると、すでに千人を超える人で溢れていた。会場には、家族連れで参加し、食も楽しめるようナチュラルマルシェ(市場)が軒を並べている。20の自然食品を中心とする食物店と14の物販店、紙芝居テナントも出店。徹底したエコをめざす「食器リユース」で運営された。

これからの行動予定
12月5日 川内原発現地集会(鹿児島)
2014年 1月18-20日 全国相談会(東京)
3月11日 風船行動 全国16地点
Xデー    各地で座り込み

右翼・県警・県知事嫌がらせ連携プレー

右翼団体が全国から集結し、集会場を周回し、妨害を繰り返した。大量の警察官が動員されたが、右翼はやりたい放題。再稼働に前のめりの県知事・県警・右翼の連携が見えた。

愛媛県警の嫌がらせは、集会準備段階から始まった。まず、デモ許可だ。主催者は、繁華街である大街道・銀天街を申請したが、「人数が多すぎる」として不許可。事前に商店街の了解を取っていた「ロープウェー街」も、県警が介入し、実現不可能な条件を提示して、諦めさせるという陰険さ。

大型バスでの参加者について、公道上での乗降を禁止。このため主催者は、市が管理する近隣地での駐車場確保を余儀なくされ、わずか6時間の使用で、1カ月分の駐車料金19万円余を支払うことになったという。

集会は10時定刻に始まったが、第1部は音楽ライブ中心で、メッセージ性の強い歌が集会を盛り上げた。

「段階的に原発から撤退?そんなもんじゃダメですよね。原発は即時撤退しかありません!」―こう発言したのは山本太郎氏だ。午前と午後、2回登壇した山本氏は、秘密保護法への批判にも力を入れた。同法案が、いかに秘密指定の範囲が広く、恣意的運用が可能で危険なものかを、具体的に訴えた。

第2部で鎌田慧さんは、伊方の原発立地阻止実力闘争の歴史を振り返り、「先人たちの闘いに続こう!」と締めくくった。伊方現地で反対運動を続けてきた斉間淳子さんは、原子力規制委員会が再稼働に向け着々と手続きを進めている現状を報告したうえで、「命尽きるまで、原発はいらないと叫び続ける」と語った。

集会の最後には、集会決議文が拍手で確認され、2コースに分かれてデモに移った。

(登壇者の発言要旨下に)

全国交流集会来春までの行動確認

同日午後6時からは、松山市コミュニティセンターで「再稼働阻止全国交流会」が行われた。この日全国から集まった原発現地活動家の交流と、再稼働阻止に向けた連携を深めるためだ。北は北海道・泊原発、南は川内原発反対運動まで、再稼働申請された原発再稼働反対運動を担う活動家ら100人が集まり、来春までの行動を議論・確認した。主催は、たんぽぽ舎と原発さよなら四国ネットワーク。

交流会は、近藤誠さん(八西協議会事務局長)の現地報告から始まった。来春に予定されている伊方町長選について、「現職と対抗馬は両者とも推進派だが、来春までに局面の打開を図りたい」と報告。続いて斉間淳子さん(八幡浜女たちの会)は、現地で反対運動を続ける人たちへの猛烈な圧力について語った。子どもたちにも分断が持ち込まれるため、胸の内はイヤでも、「反対」と言えないという。再稼働への住民の不安は強く、再稼働Xデーを1日でも遅らせたいと願っているが、声を上げにくい原発現地の重い現実がある。それでも「女たちの会」は、町長に「伊方には反対の声なんてありませんよ」と言わせないために毎月11日、ゲート前で座り込みを続けている。

今回の集会を主催した「原発さよなら四国ネットワーク」からは、松尾さんが報告した。若者の環境保護運動=「ライヴアースまつやま」を続けてきた高岡大輔さんらの活動を紹介し、「様々な人が処々方々で色んなことをやっていたのが、つながって集会成功を導いた」と挨拶。「原発は必ず止められる」との確信を語った。

原発に隣接する南予地域で原発事故被害者・木田節子さんの巡回講演会を行った南予住民交流会・堀内さんの報告のあと、全国原発現地からの報告が続いた。

参加者たちは、翌日予定されている伊方現地行動とともに、来春までの全国行動を確認し散会した。

現地闘争本部「伊方の家」開設

経産省前テント・たんぽぽ舎の有志が中心となり、「伊方の家」開設が呼びかけられた。現地に事務所を開設、専従者をおいて、地元での反対世論喚起、町当局への働きかけを行うためだ。すでに11月25日からビラまきなどの活動を開始している。

交流会では、設立の経緯や趣旨が説明され、カンパが呼びかけられた。今後「伊方の家」は、現地闘争本部として、来春とも言われている再稼働阻止に向けたあらゆる活動を展開することになる。

各スピーカー発言要旨

実力闘争の歴史を想い起こす

鎌田 慧(ジャーナリスト)

伊方は、70年初頭「東の柏崎、西の伊方」と言われ、実力闘争として原発立地反対が闘われた歴史をもつ。体を張って原発を阻止しようとした老人たちの偉業を想い起こしたい。賛成派だった元伊方町長の川口寛之さんを中心に誘致反対共闘委が結成され、機材の陸揚げ阻止の実力行動や公開ヒアリング阻止闘争が闘われた。

弾圧もたくさん受けたし、四国電力の欺しや裏切りによる犠牲者を生み出しながら闘われた、重い歴史だ。こうした歴史を噛みしめながら、今日のデモを行いたい。

西日本の人は事故の恐ろしさをわかっていない

広瀬 隆(作家)

事故から2年半経った今も、15万人の難民が避難を強いられている。ここは、イラクでもシリアでもない。こんな国を文明国と呼んでいいのか?

再稼働の恐ろしさを、西日本の人は全くわかっていない。東京に住む私は、地震が起きれば夜中でもラジオを点ける。4号機で使用済核燃料の取り出しが始まった。東北の人たちの恐怖を想像して欲しい。

伊方原発は2年間、核燃料を冷やし続けてきた。崩壊熱も冷めてきた。このまま寝かしておけば、キャスクに入れて運び出すこともできる。でも、これに火を点ければ、恐怖の生活に追いやられる。絶対に火を点けてはならない。

国を変えるための準備を始めよう

秋山 豊寛(元宇宙飛行士・ジャーナリスト・京都に避難中)

原発事故によって、私は難民となった。原発から32qの田村市で椎茸栽培をやっていたが、全て失った。放射性物質はあるが、何の補償もされない地域だ。有機農業の仲間は、生活の目処が立たない状態で、自殺した者もいる。

地元自治体は、危険でも「安全」をいう。住民がいなくなれば、存在基盤を失うからだ。福島の住民は、棄てられモルモットにされている。内部被曝の影響調査の対象だ。

安倍内閣は、急いで国民の目と耳を塞ぎ、口を封じようとしている。急ぐ理由は、原発事故を契機に普通の人々が立ち上がることを恐れているからだ。国を変えるための準備を始めよう。

機密保護法が通れば、我々はテロリスト扱いされる

山本 太郎(参院議員)

安倍政権が言っている安全保障は、この国に住む人の安全保障ではなく、権力を握った一部の人たちを守るための安全保障だ。

安倍首相は「外国との情報共有のために秘密保護法が必要」と言うが、原発事故の際、SPEEDIの情報は、国民に隠され、米軍にはいち早く知らされ、米軍は撤退した。政府は、国民を被曝させても外国に情報提供した。誰のためにSPEEDIは作られたのか?

国民のために政府があり、国会があると言えるのか?現実は違う。太平洋を渡ってきた多国籍企業のために政府は働いているのが現実だ。彼らは、既に十分秘密を保全し、共有もしている。

秘密保護法案では、53に及ぶ機関が秘密指定できる。観光庁・文化庁・気象庁までもも含まれる。国防上秘密にすべき情報があるのか?秘密保護法案は、政府・官僚が自分たちに都合の悪いことを全て隠すための法律でしかない。

法案が成立すれば、今日のような行動は、特定有害活動となる。テロリスト扱いだ。社会的なこと政治的なことを扱えば特定秘密にふれてしまうなんて、表現の自由の侵害だ。僕たちは、奴隷じゃない。

情報統制・言論統制が一体となった時、その先にあるのはファシズムだ。そんな時代に生きたくないなら、心の中で「やばいな」と思っている人たちを、今日のようなパーティに連れてこよう。行動することに躊躇している人の背中を押してあげよう。やるなら、今しかない。

命尽きるまで「反対」叫び続ける

斉間 淳子(八幡浜・原発から子どもを守る女の会)

原子力規制委員会の更田委員は、伊方の現地調査を終え、「とても優秀な原発。トップバッターだ」とコメントした。しかし、いくら予備電源を用意しようと、安全な原発などないことは、福島事故が実証した。伊方を福島のようにしてはいけない。伊方の裁判で私たちが危惧し指摘したこと全てが、福島で起こってしまった。福島事故は人災だ。

今日、こんなに多くの人たちが集まって反対を叫んでくれることを、本当にうれしく思う。この光景を亡くなった夫やおじちゃんやおばちゃんたちに見せてやりたかった。伊方の人々は、「核と人間は共存できない」を合い言葉に長年闘ってきた。

事故が起これば逃げ場のない伊方に原発を作ってしまった。私は、命が尽きるまで「原発はいらない」と叫び続ける。

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