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2013/11/26更新

放射能がれき焼却

【福島県鮫川村】爆発事故起こした仮設焼却炉を再稼働?
「燃やして減量」は危険な発想

「原発いらない福島の女たち」 黒田節子さん

福島県飯舘村の菅野典雄村長は10月9日、福島原発事故で出た汚染廃棄物を燃やし、量を減らす仮設焼却炉の村内建設を受け入れる、と発表した。仮設焼却炉は、飯舘村内のごみや除染廃棄物のほか、福島市など、周辺6市町の稲わらなどの処理も受け入れる計画だ。

先行する8月には、福島県鮫川村で同様の焼却施設が稼働開始したが、直後に爆発事故を起こした。環境省は再稼働を目指すが、住民の反発は強い。「放射能がれきの焼却は、福島でこれから大きな問題となる」と語る黒田節子さん(「原発いらない福島の女たち」)に話を聞いた。(文責・編集部)

放射能ゴミは東電に返す

黒田…環境省が除染廃棄物などの焼却処理実験を行うため、福島県鮫川村に設置した仮設焼却施設が、8月に本格的に稼働した直後(29日)に爆発事故を起こしました。8000ベクレル/sを超える放射性物質を含む稲わらや牧草などを、傾斜回転床炉という特殊な構造の焼却炉で焼却、灰をセメント固化して一時保管する計画です。

「福島の女たち」でも抗議行動に行って来ました。今後福島では、焼却炉問題が大きな問題となってくるでしょう。私たちもあまり知らなかったので、勉強しなくちゃいけないと思っているところです。

焼却炉の問題としては、放射能の拡散による環境汚染です。爆発の原因調査も不十分な上に、フィルターの信頼性が無いのです。

環境省は、「バグフィルターで99・9%取れる」と言っていますが、実証データはありません。私たちはあんなので放射性物質が止められるはずがないと思っているし、同意見の専門家もいます。

そもそも、放射性物質を燃やして減量化するという発想そのものが危険です。焼却灰は、極めて高い放射性物質となります。大気中へ拡散するのも怖いし、灰自体もどうしていいかわからないわけです。今までやったことないことをやろうとしているわけで、放射性廃棄物の管理と処理の基本は、「動かさない=現地で保管する」です。

どこかに集めるとするなら、それは東電の原発敷地内しか考えられません。福島第2原発と第1原発5・6号機周辺に、県内の高レベル廃棄物を持っていくしかないでしょう。

そもそも、住民への説明もずさんで、住民合意もないまま、計画は強引に進められました。避難した人の意見なんて、全く無視です。こうした強引な手法にも、住民は怒っています。今後あちこちで焼却施設が建設されるようなので、監視と批判が必要です。

焼却灰は放射能の濃縮なので、ある意味、除染なのだ、と言う人もいますが、焼却を許してしまったら、完全に防御できない放射性物質を大気中に放出し、結局、薄めてなかったことにする、ということになりそうです。焼却灰も、管理方法は未定です。何万年も保存する施設の計画があちこちであるみたいですが、誰が責任を負うのでしょうか?

結局、焼却施設も「除染すれば住み続けられる」という論理にのっかることになります。

編…除染について、どうお考えですか。

黒田…除染を全て否定しているのではありません。私たちはここに住んでいるので、線量は低い方がいいに決まっています。しかし、国や行政が言っている除染というのは、みんなを帰還させるための口実になっているので、受け入れられません。

実際、本当にきれいになるわけでもありません。雨風が吹けば戻って来るっていうようなこともあるし、環境省は、山の除染は諦めました。効果は見込めないのに何兆円もの予算をつけているのは、お金の使い方としておかしいですよね。

お金を使うのなら、子どもたちを安全な所に避難させることを優先すべきです。チェルノブイリ事故後のロシアのように、順番でいいし、短期でもいいから、保養させて欲しいと思います。子どもたち全員が一定期間、暮らせるようなローテーションを組むような方向を模索しています。

事故から2年8カ月経ってしまいました。甲状腺ガン等の「多発」が明らかです。一日も早く子どもの健康を最優先した施策をとらないと、とんでもないことになってしまいます。

除染も、福島の人の命を削っておきながら、何事も無かったかのように見せるためのまやかしにすぎないと思います。腹立たしい思いです。

福島県は、住民を県外に出したくないと思っているので、国がはっきり態度を表明すべきです。福島県の人々の命を第1に考えるなら、補償をきちんとしますから居住は諦めてください、避難してください、そこには申し訳ないけれど廃棄物を集めさせてください、ということをやるべきです。ところが政府は、全く逆のことをやっています。

骨抜きにされた「被災者支援法」

編…棚晒しにされていた「被災者支援法の基本方針」が、10月11日、閣議決定されました。

黒田…法律制定後、政府に基本方針策定の動きはなく、被災者団体の集会でも「めどは立っていない」と繰り返していました。国が行った意見聴取は、2回の説明会と意見公募だけ。その結果も閣議決定まで公表せず、しびれを切らした被災者が今年8月、国の不作為を問う訴訟を起こすと、8日後に基本方針案が発表される、というお粗末な経過です。

中身も、盛り込まれた内容のほとんどが既に実施済みの施策である上、被害を受けた県民や自治体などから寄せられた声や要望も無視されました。骨抜き法案です。

私たちは、年間1_Svの基準を明記し、支援対象者を決めるよう求めていましたが、復興庁は、特定の線量を定めず「相当な線量」と表現し、対象を福島県東部に限定。他の線量の高い自治体は「準対象地域」とし、法律が保障する総合的な支援でなく、一部施策の対象にしました。何も変わってないと言うより、後退した内容です。

私たちも急遽、郡山市議会に対し、国に意見書を出すよう請願を出しました。ところが、ものの見事に不採択でした。市議会も議員もいったい何を考えているのでしょう!多分何も知らないんだと思います。

東京五輪については、何かもう力が抜けそうです。そんな金があったら、子どもたちを安全な場所に移してほしい。汚染水問題にしても、世界中の知恵と土木技術を集めるためにお金使ってほしいよね。太平洋汚したらエライことです。ホントに。腹が立ってるの。

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