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2013/9/30更新

東京オリンピックに異議あり

「汚染水は、完全にコントロールされている」─こんな明らさまな嘘を、国を代表する政治家が国際舞台で語り、大手メディアはどこも批判しないという異常事態。「汚染水漏れは、事故直後から始まっていた」との小出裕章さんの解説を待つまでもなく、事故原発がコントロール下にないのは明らか。安倍首相のコントロール下にあるのは、マスメディアなのだ。

東京五輪を批判すると「非国民」と罵倒されるそうだが、「非国民上等」と開き直り、五輪批判特集を組んだ。開催地・東京からの寄稿をトップに、福島からの報告も読んで欲しい。こういうカラ騒ぎには、国外からの冷静な目も必要だ。オランダの小淵さんの報告は、3面に掲載している。(編集部)

※ ※ ※

東京にオリンピックはいらないネット 渥美昌純

汚染水問題がなくても東京オリンピックに反対する

「東京にオリンピックはいらないネット」は「オリンピックはいらない」を合言葉に、2016年東京オリンピック招致の際から反対してきた。私の東京オリンピック招致反対理由は以下の3点である。

まずは、@オリンピック開催意図が不明確であること。公式報道でも75億円かけて東京オリンピックを招致するからには、市民に対しきちんと理由を示すべきであるが、そのようなことはされていない。

2012年2月の申請ファイルは『大会を開催することは、復興を目指す私たちにとって、明確な目標と団結をもたらし、支援を寄せてくれた全世界の人々への感謝を示す機会となる』との文言があるように、復興を主題としていた。福島、宮城、岩手の被災三県でない東京都がオリンピックを開催して、なんで復興オリンピックなのか。

ところが、2013年1月の立候補ファイルでは『東京が誇る優れた技術と運営力に加え、コンパクトな会場計画や計画的な輸送計画及び宿泊計画により、2020年東京大会はオリンピックムーブメントにとって非常にリスクが低いものとなる』と成熟した都市を訴え、当初の目的であったはずの復興はどこかに消えてしまった。

2012年のロンドンオリンピックが好評だから取り入れる、とはあまりに軽薄である。こんな場当たり主義で税金を使ってもらっては困る。

次に、A知事の暴言とIOCの理念との間に整合性がないことである。猪瀬都知事の一連の発言が『都市は、ライバル都市のイメージを損ない又は害するおそれのある一切の行為又は論評を慎まなければならない。他の都市との比較は一切、厳格に禁止される』とのオリンピック競技大会開催前希望都市に適用される行動規範に抵触し、IOCから事実関係を確認されたことは記憶に新しいが、東京都のIOC理念無視には、もっと重大な実例がある。

前知事の石原氏は、IOC評価委員会委員長のナワル・ムータワキル委員長(モロッコの元陸上選手・イスラム教徒の女性)に対し『よほど若くて超美人ならわかるけど、あの人、元美人ではあるけどね、あれ見て、だれが、これはだれだかわからないんだよ。そんなものがばーんと出てきてね、だれが興味持ちますか』という暴言を、定例記者会見という公式の場で吐いた。この発言は、オリンピズムの根本原則『人種、宗教、政治、性別、その他の理由に基づく国や個人に対する差別は、いかなる形であれオリンピック・ムーブメントに属することとは相容れない』と絶対に相容れない。

こんな知事が招致の旗振り役だった東京都が、なぜ開催都市に選ばれるのか。IOCはIOC憲章を守る気がないということか。それとも、IOC憲章はIOCの実態を覆い隠すイチジクの葉なのだろうか。

最後に、B環境を破壊せずにオリンピックを行うことは不可能な点である。メインスタジアム予定の国立競技場周辺の神宮外苑地区は、文教地区であり、高さ制限がある。聖徳記念絵画館を中心とした地域は、美しい銀杏並木と相まって風致地区指定されており、新東京百景にも選ばれている。その神宮外苑地区の高さ制限を緩和、高さ80mまで認める都市計画が、6月に決定された。

これにともない日本青年館や都立霞ヶ丘アパートが取り壊される。神宮外苑地区の都市計画決定とは違うが、原発デモや有事法制反対デモやフリーマーケットの会場として有名な明治公園も移転になる。

その他に、東京23区で絶滅危惧種に指定されている生物26種の生存が確認されている葛西臨海公園の半分に、24億円かけてカヌースラローム競技場を作る計画があり、大会終了後も施設利用される予定である。

東京オリンピックは、たかだか1カ月である。今まで築いてきた貴重な環境を短期間のイベントのため、壊して良いのだろうか。

無視されたオリンピック反対運動

そもそも、日本のオリンピック招致は失敗続きであった。

1988年名古屋では「反オリンピック市民運動連合」が、2008年大阪で「大阪オリンピックいらない連」が、2016年の立候補を東京と争った福岡で「いらんばい!福岡オリンピックの会」、2020年オリンピック招致を目指した広島には、「広島オリンピックはいらない市民ネット」という具合に、どの都市がオリンピック招致に立候補しても、オリンピック反対運動がおきてきた。

今回の東京オリンピック招致でも、さまざまな市民団体がオリンピック反対の声をあげた。私たちも、IOCへの2度の手紙行動やIOC評価委員会への面会申し入れや視察会場での抗議行動をした。「反五輪の会」は、IOC評価委員会に対し代々木競技場での待ち受けアクションを成功させ、8月には2波にわたるデモなどに取り組んだ。他にも、オリンピック候補会場の放射線を測る会が、オリンピック候補地の放射線を図ったデータをIOCに送り、新日本スポーツ連盟がIOC評価委員会へのアピールなど、各団体が持ち味を生かしたオリンピック反対行動に取り組んだ。

しかしながらこれらの行動は、マスメディアからほとんど取り上げられなかった。読売新聞東京本社と株式会社ヤフーが2020東京招致オフィシャルパートナーであることに示されるように、マスメディアはオリンピック招致の一方の当事者であるとはいえ、あまりの報道の少なさに驚きは隠せなかった。

最後まで「五輪反対」の声を

特に前回招致時は、IOC評価委員会と面談を行なったことが報道され、オリンピック会場での抗議行動の様子がテレビ放映されたのと比べて、今回はひたすら招致歓迎の声ばかり報道されたのは世論形成の上で痛手であった。

オリンピックは、当初予算を超える額が使われる例が多すぎる。都議15人のIOC総会視察も、前渡し分は2296万3640円である。確定分ではどうなるか。また今回のオリンピック招致でも、国体の補助金をオリンピックに流用するといった、目的外使用と思われる例が明らかになっている。このような例は他にもあると思われる。

オリンピック招致が決まっても反対の声をあげ続けた長野オリンピック反対運動の先例に学び、反対の声をあげたいと考えている。

東京オリンピック反対の声を共に!

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