2013/9/12更新
昨年10月5日、関西電力前の抗議行動で、前田登志さんは公務執行妨害・傷害容疑で逮捕された。「警戒中の天満署の警部補を転倒させ、軽傷を負わせた」という容疑だった。
8月26日、大阪地裁は、「公訴事実については、犯罪の証明がない」として、前田さんに無罪を言い渡した(大阪地検は、9月6日に控訴)。「オキュパイ大飯」で昨年9月に不当逮捕された川崎さんへの弾圧に続いて、「関西大弾圧」の始まりとなった関電前転び公妨事件の当事者である前田さんに、大阪府警の無法ぶりについて話を聞いた。(編集部一ノ瀬)
* * *
──前田さんへの弾圧の場になった、関西電力前での抗議行動について教えてください。
前田…毎週金曜日、大阪市北区中之島にある関西電力本店ビル前の南西のエリアで、「反原発」を訴えていました。早い人は朝11時から現地に駆けつけ、午後6時頃から、マイクアピールが始まります。プラカードを持って立ち続ける人もいますし、ビラを撒く人、思い思いの方法で「反原発」を訴える人、話し込む人など、色々です。お盆の時期には、盆踊りもありました。
──逮捕当日の様子は?
前田…毎回、私服姿の警察官6〜7人を確認していました。彼らは2人1組で行動して、あちこちに散らばっていたようです。当日は、私服に加えて、制服警察官の姿がありました。今から思えば、弾圧の意図を持って、あらかじめ警察官を動員していたのでしょう。
私の容疑は、大阪府警天満署の城戸警部補を引き倒して負傷させ、その後に現行犯逮捕しようとした影山警部を押し倒して負傷させた、という内容です。現場は確かに緊張した場面でしたが、柔道の有段者であり、私より体格のいい警察官が、こかされてケガをするというのはデタラメな作り話です。検察側の証人は、天満署の警察官4人ですが、彼らの証言にも矛盾があります。警察・検察は、法廷の場で「胸ぐらをつかんで押してきたという警察官の供述は映像で確認できない」「巴投げで警察官を投げたというのは本当か」「なぜ城戸警部補らは現行犯逮捕しなかったのか」─などといった点を説明することができなかったのです。
──取り調べは、どんな様子でしたか?
前田…警察は、10月5日に起こったことを時系列に確認しよう、と躍起になっていました。その他には、「○○を知っているか」「××はどこの団体に所属しているんだ」といったことを聞き出そうとしました。
10月26日に起訴されましたが、連日朝昼夜と3回の取り調べが続きました。私は、黙秘を通して、一切調書を作らせませんでした。そのうちに諦めたらしく、何も言ってこなくなりました。
──その後、大阪拘置所に長期勾留となりました。
前田…5月24日の保釈まで、年末年始を挟んで、秋から春を大拘で過ごしたことになります。勾留そのものが与えるダメージは大きく、それ自体が弾圧であり、拷問です。
私の拘留中は、面会・差し入れや手紙などをいただき、大きな励みになりました。拘置所前の激励行動にも、元気をもらいました。房内までは距離があるのですが、耳を澄ませていると、「ああ、激励に来てくれてる!」と気づくんです。
──前田さんの逮捕・勾留後も、「がれき焼却説明会」「JR大阪駅頭宣伝」などでの弾圧が続きましたが、獄中からどう見ていましたか?
前田…拘留中の私にとって、新たな弾圧の話を聞くのは一番しんどかったですね。
また、「がれき焼却説明会」弾圧でぱぉんさんへの懲罰などを聞くと、同じ大阪拘置所内でそんな酷い目に遭っているのか、と怒りで何とも言えない気持ちになりました。
──8月26日の大阪地裁では、「無罪」の判決が出ました。
前田…判決を聞いて、ホッとしました。本当にうれしかったです。無罪は当たり前なのですが、救援会をはじめとする皆さんの支えがあったからこその無罪判決です。
無罪を勝ち取ったことで、皆の意気は上がっています。「反原発」にも、改めて確信を強めています。これからも続く「がれき焼却説明会」弾圧裁判などにも、いい影響が出るでしょう。
──これからの取り組みについて聞かせてください。
前田…まず、今もなお勾留されているUさんと、福岡のKさんを、1日も早く外に出したいですね。これからも関西大弾圧で裁判が続きますが、全員の無罪を勝ち取りたい。
私の裁判については、無罪判決が出ました。判決文は、大阪府警のあまりのデタラメ(公妨・傷害とはいえない)を指摘せざるを得ませんでした。検察がどういう理屈で反論してくるのか、興味深く見守っているところです。
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