2013/9/5更新
宜野湾市在住 富田 英司
沖縄の8月は、オスプレイの追加配備や米軍ヘリ墜落など、日本が米国の「属国」である現実に接し、怒りやいら立ちの絶えない月であった。
それは8月3日から始まった。同日、岩国基地に一時駐機されていた追加オスプレイ12機のうち、2機が普天間飛行場に到着した。昨年10月にオスプレイ12機が配備された後、県は防衛省に対し、「日米合意の運用ルールや安全確保策に違反する飛行が318件もある」と指摘したが、防衛省は「合意違反の確証は得られていない」と、違反実態を隠し「オスプレイは安全」という世論操作をおこなっている。
沖縄県民は違反だらけのデタラメな訓練をしているオスプレイの飛行を見ているので、7月中旬の県民世論調査では、8割超がオスプレイ配備に反対の意思を示した。追加配備が強行された3日朝6時、市民グループのメンバーは、普天間飛行場野嵩ゲート前での抗議活動をおこなった。抗議活動は11カ月も続けているものだが、この日は、約60人が座り込み、ゲート入口を一時封鎖した。
ところが8時半、県警機動隊が、「米軍車両の通行妨害になる」との理由で、強制排除に乗り出した。機動隊員は、座り込みメンバー一人ひとりの手足を抱きかかえてゴボウ抜き排除。警察車輌脇に監禁しようとしたため、ゲート入り口付近で両者が激しくもみ合う場面が続き、一時騒然となった。その際、男性が「機動隊員の制服ボタンを引きちぎるなどの暴行を加えた」として、公務執行妨害の容疑で逮捕された。
座り込み市民グループは、直ぐに宜野湾警察署に集まり、早期釈放を求めて抗議の声を上げた。被逮捕者と接見した弁護士は、「逮捕された時に暴行を受けたそうだ。不当逮捕なので、早期釈放を求めていく」と語っている(編集部注・5日に釈放)。
3日以降、野嵩ゲート前では、「県民会議」が中心になって、オスプレイ配備反対の抗議活動が連日展開され続けられている。
そんな5日午後、「米軍ヘリが墜落した」とのニュースが飛び込んできた。嘉手納基地所属のHH─60救難ヘリコプター2機が、キャンプハンセン上空で訓練中、1機が墜落炎上し、山火事が発生。搭乗員3名は救助されたが、1名は死亡。墜落現場は、民家からわずか2qの地点だという。宜野座村は、墜落現場近くにある大川ダム(村民の水源地)からの取水を中止したという。同報告を受け、抗議活動参加メンバーは、驚きとともに怒りの声を上げた。
今回は、幸いにも民間地への墜落ではなかったが、5月には空軍F15戦闘機が海に墜落しており、県民は「いつか自分のところに…」という恐怖が強まっている。復帰後、県内で発生した米軍機の墜落事故は45件。うちヘリの墜落事故は17件目である。この墜落事故を受け、在沖海兵隊は、日本政府からの要望もあって、岩国に駐機しているオスプレイ10機の「普天間への移動を延期する」と発表した。
米軍ヘリ墜落事故の際、米軍嘉手納基地が「ノータム」(安全運航のために出される情報。米軍が通知を出す場合は、国土交通省との事前調整が必要)と呼ばれる航空情報を出し、墜落現場上空の報道用ヘリを含む民間機の飛行を制限したことがわかった。実際、報道機関数社のチャーターヘリが、現場に近づけず上空からの取材ができなかったのである。
米軍は、最大時で半径11qの飛行を制限したが、管制権を持つ国土交通省への事前連絡はなく、法的根拠もない。嘉手納ラプコン(進入管制)返還で空の管制権は日本側にあるが、米軍が一方的に飛行を制限し、他国の主権を侵害したのである。ところが、国側(那覇空港事務所)は、現場付近を飛ぶ航空機に米軍による飛行制限を伝えており、事実上容認されている実態も明らかになった。9年前の沖国大でのヘリ墜落と同じように、占領軍のような米の行動に県民の怒りは沸騰している。
米軍ヘリ墜落事故を受けて、一時中止していたオスプレイ9機の普天間飛行場への追加配備が8月12日に再開された。日本政府が「お盆休みや終戦記念日を避けてほしい」と要請したと言われているが、無視された。午前中に8機が次々と着陸し、岩国基地に残っていた2機のうち1機が午後4時頃普天間に着陸した。
この日も、朝7時より野嵩ゲート前では市民グループが抗議活動を展開し、激しく機動隊と衝突を繰り返した。「県民会議」主催のオスプレイ追加配備の抗議集会は、8月3日から連日おこなわれており、ねばり強い闘いとなっている。
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