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2013/8/27更新

沖縄の怒

ヘリ墜落してもオスプレイ追加配備強行
24機の欠陥機が市街地上空飛ぶ沖縄

沖縄平和運動センター事務局長 山城 博治

8月3日、米軍岩国基地からオスプレイ2機が普天間基地に配備された。「オール沖縄」での「オスプレイNO!」の声を無視しての追加配備となった。8月5日、米軍嘉手納飛行場所属のHH60ヘリが、訓練中のキャンプ・ハンセン内で墜落事故を起こした。2日前の3日に始まっていたオスプレイ12機の追加配備は、この事故によって、いったん先送りとなった。しかし1週間後の12日、米軍は配備の再開を発表。新たに8機が岩国から移動となった。

配備再開を前にした10日、昨年9月のオスプレイ強行配備時に多くの沖縄県民と共に4日間のy普天間封鎖を先頭で闘った山城博治さん(沖縄平和運動センター事務局長)に電話で状況を聞いた。(編集部一ノ瀬)

「『沖縄はかわいそうだね』と他人事で終わるなら、
沖縄の闘いは終わり、日本も一緒に終わる」

 

──キャンプ・ハンセンで米軍ヘリ墜落事故が起きてしまいました。

山城…米軍のHH60ヘリ墜落は、沖縄県民が命の危険にさらされ続けていることを改めて突きつけました。墜落事故への抗議は、これからも続くでしょう。しかし、12日にも再開されようとしているオスプレイ追加配備が、より緊急性のある課題となっています。それに対してどう抗議行動を組むか、というのが最大の焦点です。

──オスプレイは、沖縄でどう動いているのですか?

山城…現在、沖縄に配備されているオスプレイは、普天間飛行場を拠点として、今回墜落事故のあったキャンプ・ハンセンをはじめ、辺野古のあるキャンプ・シュワブ、高江のある北部訓練場、伊江島など、沖縄を飛び回っています。

オスプレイ配備にあたっては、政府は、@市街地は飛ばない、A深夜飛行を避ける、B飛行モードからヘリモードの「転換モード」での飛行は、基地上空以外では行わない、という3つの約束をしました。しかしこれらは、すべて守られていません。つまり、実行性のない約束をして平然と破っているのです。

普天間のような狭い場所で、飛行モードの切り替えを基地の中だけでやるのは、まったく不可能です。「市街地を飛ばない」というのも、もともと普天間周辺が市街地ですから、あり得ない話です。

訓練地では、数dもあるコンクリート塊や米兵をロープで吊り下げて飛行したり、低空飛行などの訓練を行っています。

また高江や辺野古では、夜11時、12時まで訓練が行われていますし、伊江島では一晩中訓練しているような状態です。そして、訓練を終えてからオスプレイが普天間に帰ってくるのが深夜12時を過ぎる、というのも珍しくありません。

昨年9月に強行配備されたMV22オスプレイ12機に加え、新たに12機が追加配備されれば、24機ものオスプレイが沖縄の上空を飛び回ることになります。考えるだに怖ろしいことです。こんなことはアメリカ本土ではあり得ません。ニューヨークやロサンゼルスの住宅密集地の上でオスプレイが24機も飛び回るのか? ! と、聞いてみたい。

アメリカは、沖縄を植民地としか思っていないのです。

県民は、特に「反米」を叫んでいるわけではなく、「自分たちの恐怖を何とかしてくれ」と言っているに過ぎません。爆音が飛び交い、いつ墜落するか分からないような物騒な飛行機が、毎日のように頭上を飛び交っている。それを何とかしてくれ、それは日米安保以前の問題だろう、と言っているのです。

辺野古基地建設も間近

──東村高江では、オスプレイ用のヘリパッド建設が進んでいるようですが…。

山城…建設工事は進められていますが、高江現地では、ヘリパッド建設工事阻止の座り込みが続けられています。

ただ、オスプレイは北部訓練場にある既存の23カ所のヘリパッドを使って、毎日飛び交っている状態です。北部訓練場は広大なので、どこに降りて、どこで訓練しているのか、は把握できません。

──防衛省が辺野古の埋め立て申請をしましたが、辺野古の現状について教えてください。

山城…実は、新基地建設の準備は、すでに進められています。キャンプ・シュワブでは、滑走路予定地にある兵舎の基地内陸部への移転作業が大掛かりに進められています。あとは県知事の辺野古埋め立て許可が出れば、すぐにでも滑走路建設に着工できる状態です。

いま最大の課題は、来年1月に迫った名護市長選挙です。いま「賛成派」が、基地反対派である稲嶺現市長の追い落としに全力を挙げています。もしこの名護市長選挙を取りこぼすことがあったら、知事は「普天間の県内移設やむなし」という判断をするのは目に見えています。情勢は緊迫しています。

──選挙で大勝した安倍政権については、どう分析されますか?

山城…この国は、中国や韓国との間で緊張関係を作り、安倍首相は「アジアの孤児」になろうとしています。孤立化を深めれば、その分アメリカに迎合するしかありません。日本で侵略戦争の正当化や、歴史の改ざんを行っていれば、当たり前の話です。アジア大陸の人々にとっては、安倍内閣は、許しがたい反動内閣です。

孤立化は、安倍政権が自分たちで種をまいた結果です。さらにファシズムの道を進むのであれば、アメリカには頭を下げて、靴を舐めてでも「同盟関係」にすがらざるを得ません。今回のHH60ヘリ墜落事故でも、県民が抗議したら、「あれはトモダチ作戦で日本に恩義のあるヘリコプターだから、あまり抗議するな」と日本政府は言うわけです。屈辱的で、「沖縄をバカにするな!」という思いでいっぱいです。

日本はいびつで屈辱的な外交をいつまで続けるのか。このままでは、本当に日中戦争をやるかもしれません。しかしアメリカにとっては、日中、あるいは米中間での戦争はどう考えてもありえません。そうなった時に、世界中から見捨てられた日本は、一体どうなるのか。私は、かつて日本が国際連盟を脱退して孤立を深めて15年戦争に突入したように、アジアからもアメリカからも見捨てられて孤児になったファシストたちが、天皇主義や日本民族主義をかざして、世界中に打って出るのではないか、という不安でいっぱいです。

──これからの闘いについて聞かせてください。

山城…沖縄では、普天間や辺野古、高江などそれぞれの闘いの現場で、多くの人々が歯を食いしばって闘いを続けています。全国でも一緒になって運動をつくってほしいのです。

私たちは、沖縄が戦争の巻き添えや「祖国防衛の楯」にされることの恐怖を、毎日感じさせられているし、それを訴えているのです。

だから「戦争はもう2度とさせない!」という普遍的な思想が、共有される必要があります。もし、「沖縄はかわいそうだね」と他人事で終わるのなら、沖縄の闘いは広がることができずに終わってしまう。日本も一緒に終わる。

沖縄で起きていることは、日本全体の縮図です。米軍基地問題という形で、日本の矛盾が象徴的に現れているのです。そう捉えることで、おのずと安倍政権など今の時代のファシズムと闘う道が見えてくるのではないでしょうか。ぜひそうした点を一緒に考えてほしいと思います。

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