人民新聞オンライン

タイトル 人民新聞ロゴ 1部150円 購読料半年間3,000円 ┃郵便振替口座 00950-4-88555/ゆうちょ銀行〇九九店 当座 0088555┃
              購読申込・問合せ取り扱い書店
   人民新聞社┃TEL (06) 6572-9440 FAX (06) 6572-9441┃Mailto: people★jimmin.com (★をアットマークに)twitter
HOME社会原発問題反貧困編集一言政治海外情報投書コラムサイトについてリンク過去記事

2013/8/9更新

参院選意見特集

平和リベラル勢力の再建こそ政治復権の道  前衆議院議員 服部 良一

沖縄選挙区で「平和の一議席」守るも比例区・山城さん当選ならず 沖縄県宜野湾市在住 富田 英司

「自民選択」への虚しさ沖縄はこれからも闘い続ける 沖縄県・読谷村 知花 昌一

山シロ選挙を闘って
平和リベラル勢力の再建こそ政治復権の道

前衆議院議員 服部 良一

我々は山シロを当選させることができなかった。本当に残念でならない。私が昨年の衆議院選挙で落選した時とは、また違うショックにうちひしがれた。

大田昌秀、山内徳信という伝統ある貴重な議席を引き継ぐことができなかっただけでなく、国の沖縄に対する差別政策、辺野古の新基地建設やオスプレイ配備が重大な局面を迎える中で、「国会に抵抗の足場を築く」という点では、負けられない闘いであったはずである。

社民党は全国比例票を3年前より約100万票減らして125万余、従来、最低でも2人は当選させてきた議席を確保できず、一人を通すのがやっとだった。社民党として個人票を11万以上とった山シロを通せなかった不甲斐なさを、率直にお詫びしなければならない。沖縄の闘いの一議席を社民党から通すことに、社民党としての存在意義もあったと思う。それが果たせなかったことのダメージは、社民党にとって死活的な意味を持っている、と言わざるをえない。

個別具体的な選挙の総括はまだ十分でなく、ここでは触れないが、個人名を書いてもらう選挙の難しさ、直近の衆議院選挙では「政党名を書いてくれ」と言いながら、そのわずか半年後の参議院選挙では、「個人名を」という選挙制度の問題点を指摘しておきたい。大票田の沖縄でその混乱というか、徹底できなかった点が大きい。

一方で、山シロ選挙の応援は、後援会や勝手連など全国に広がり、社民党の枠を超えて大きく広がった。たしかに実数としては少ないけども、全国での山シロ票は、九州・東海を除けば6年前の山内選挙よりは出ている。6年前の参議院選挙では、社民の比例票263万余、得票率で4・47%。今回はその半分以下に減った中で、無名な山シロさんが山内さんの約8割の票を獲得したことは、健闘と言えなくはないか。特に関東の200%増など、東日本のほうに大きく広がった。そのネットワークは必ず次に生きるし、生かさなければならない。

信頼関係を作りながら新たな政治の枠組みを

いずれにしても、総括の議論は引き続き深めていくとして、参議院選挙の結果を踏まえて、我々の課題も見えてきた。私は少数政党が乱立する中で、統一名簿方式での結集軸をつくらない限り敗北は見えていると考え、提案もしてきたが、残念ながらバラバラのまま突入となった。

東京選挙区は山本太郎氏でまとまり、見事に当選を果たした。「無所属統一候補」と言うよりも、山本氏の突破力と、加えて、たとえば社民党も候補者を出さない形での消極的応援など、いろんな要素があるが、沖縄の糸数慶子さんと並んで、参院選の数少ない輝ける成果となった。

大阪も、社民勢力とみどり系で女性の統一候補でまとまる寸前までいったが、最後の最後で候補者本人の立候補の条件がととのわず、断念した。いずれにしても、こうした努力を積み重ねて信頼関係を作りながら、新たな政治の枠組みをつくっていかなければならない。

参院選後私は、朝鮮戦争の休戦協定を平和協定にという行動と国際シンポのために訪韓し、韓国にいる間に福島党首の辞任を聞いた。民主党では総理経験者でもある「鳩山・菅切り」が進行中であり、その背景には憲法観、新自由主義観の違いがあり、もはや平和リベラル勢力の再建なしには日本の政治の復権はないと断言できる。その再建過程はやはり憲法改悪問題で鮮明になっていくだろうし、この1〜2年間が勝負だと思うのである。

また、沖縄の闘いにとっても、この1〜2年が正念場だ。参院選終了を待つが如く、普天間追加配備のオスプレイが岩国に陸揚げされた。来年1月の名護市長選、年末の知事選を挟んで、公有水面埋め立てをめぐる激しい闘いが展開されよう。

さて山シロさんに今後何を期待するかだが、沖縄の闘いの現場からは、「現場に戻ってくれ」という声が当然あるだろう。もちろん、現場に立脚した闘いを組んでいかなければならないのは当然だが、私はやはり山シロさんには、次の国政選挙での沖縄の、全国の結集軸になって、全国のネットワークの要としてがんばってほしいのだ。その太い線を一緒につくっていくことが、改憲、基地問題、TPP、原発、格差社会、消費税など横たわるさまざまな課題を闘っていけるあらたな政治の受け皿をつくる壮大な展望につながっていくと信じたい。

いま日本は政治の流動期、過渡期にある。山シロ敗北に失望することなく、総括の中から新たな出発点と目標を確認し頑張っていく、我々自身の構想力と胆力がためされている。

沖縄選挙区で「平和の一議席」守るも比例区・山城さん当選ならず

沖縄県宜野湾市在住 富田 英司

@糸数氏「平和の一議席」を守る

沖縄選挙区(1人区)は、社大党委員長で現職の糸数慶子氏(社民、共産、生活、みどり推薦)と、自民新人の安里政晃氏(公明推薦)の一騎打ちになっていたが、革新統一候補の糸数慶子氏が3選を果たした。

自民党は、全国で計31ある1人区で、沖縄と岩手を除く29選挙区で勝利しており、その中で沖縄は、参院で革新の「平和の議席」を死守したと言える。

糸数氏が29万4420票、安里氏は26万1392票で、その差3万3028票であった。

糸数氏は、前回2007年参院選では、過去最多の37万6千票を獲得し、12万7千票差で圧勝していた。今回の選挙では、現職の知名度で序盤から先行しながら、自民、公明の組織的運動で終盤にかなり追い込まれていた。安里氏の猛追をかわせた最大の理由は、安倍政権に対する県民の強い批判であった。

自民党本部は選挙戦中盤、圧倒的優位に立っていることを踏まえて、接戦の沖縄を含めた6都県を重点区と位置付け、安倍首相や閣僚をどんどん沖縄入りさせ、テコ入れをした。

選挙応援で来沖した安倍首相は、街頭演説で安里氏への支持を訴えるが、全く普天間の移設問題や「辺野古新基地」建設問題にふれなかった。また、安里氏も、党本部と異なる普天間の「県外移設」公約にふれない。当然、多くの県民は欺瞞的な自民党(党本部の公約と県連の公約が一致していない)に疑問を感じていた。

安倍首相の来沖は、政権との対立構図を打ち出す糸数陣営にプラスに作用したと言える。

A比例区の議席を守れず、山城氏は残念ながら落選

大田昌秀さん、山内徳信さんとつないできた沖縄参議院比例区の大事な議席を守れず、山城博治氏は残念ながら落選した。

21日夜の比例区の開票速報をくいるように見ていたが、ようやく12時過ぎに「社民党1議席確保」との速報。次の3時過ぎ、又市征治15万6155票で当選。山城博治11万2641票で落選。えー?!11万票とは?

思った以上に票が伸びず落選してしまった。その敗因はなにか?

敗因@…社民党比例区で2議席確保できず。

参議院比例区選挙で社民党は、これまで160〜190万票を獲得して、当選者を2人出してきた。しかし、今回は125万5235票。本土の社民党の長期的低落は、目を負うばかり。本土で山城応援をお願いしても、「社民党の候補者は応援したくない」という返事が多く、沖縄の議席を守りたい、と説得するのに大変であった。

敗因A…記名投票の少なさ。

山城氏が獲得した11万2641票を分析すると、沖縄で6万7798票で、本土は4万4843票であった。

沖縄比例区での社民党への得票総数は、10万7301票(19%で、前回より約2万票減少している)。そのうち名簿記載者への記名投票は6万9460票。政党名への投票数が3万7841票もある。山城選挙において、党名記入ではなく、「山シロ」という個人名記入を呼びかけたが、残念ながらそのことが浸透していなかった、と言える。

敗因B…比例代表における他党派の影響

選挙直前になり「共産党」「日本維新の会」「緑の党」から3人も立候補者があらわれた。

共産党は比例候補に西平守伸氏を出馬させ、県内で5万1346票(9%)を獲得し党躍進につなげた。

下地氏の政党「そうぞう」から、前浦添市長の儀間光男氏が「日本維新の会」の公認として立候補。県内の日本維新の会の得票数は6万9287票(12%)で、儀間氏は4万484票を獲得し、比例で6議席を獲得した日本維新の会名簿記載者の中で3番目となり、当選する。

11万票も獲得した山城氏が落選して、4万票しか獲得していない儀間氏が当選する。なぜですか?と、この参院選比例代表制度に疑問を持つ人もいる。

緑の党からは、本土出身の音楽家・三宅洋平氏が立候補して、全国で約17万票を獲得(沖縄の得票数は7923票)したが落選。

本土では大阪や東京など各地に、山シロ博治の当選をめざす「勝手連」組織が作られ、6年前の参院選より活発な選挙運動を展開したが、山城氏を国会に送ることはできなかった。

「自民選択」への虚しさ沖縄はこれからも闘い続ける

沖縄県・読谷村 知花 昌一

参院選挙で私は、全国区では社民党(山城博治さん)、沖縄県選挙区では糸数慶子さんを応援しました。糸数さんは当選したのですが、山城さんは残念な結果になりました。

今回、自民党は、沖縄に安倍首相や石破幹事長を次々に投入し、公認候補の安里氏への応援に全力をあげました。安里候補は、沖縄が全市町村を含めて「新たな基地はつくらせない」「オスプレイ配備撤回を」で固まっている中で、党本部の掲げる「辺野古移設」では勝てない、と米軍普天間基地の「県外移設」を口にしていました。

しかし、沖縄の民衆はそれを見透かしていました。実際、沖縄4区選出の自民党・西銘恒三郎衆院議員は、当選したとたんに「辺野古移設」に手のひらを返しました。今回は非改選の自民党・島尻安伊子参議院議員もそうです。

だから沖縄の民衆は、自民党がいくら「普天間は県外移設」と声高に言っても、これまでダマしてきたじゃないか、と見抜いた。そういうことが、糸数慶子さんを当選させる大きな力になったと思います。

安倍自民党が圧勝しましたが、与党が3分の2を超えることはできませんでした。危機的状況であることは変わりませんが、次の国会ですぐに改憲に手をつけることはないのかな、という感じはします。

今回の選択をした日本の国民に対しては、憤りというか、虚しさ・寂しさを感じています。

選挙は反戦・反基地も含む闘い

毎年、「5・15沖縄返還の日」にはいろんな集会が開かれますが、今年はこれまでと違って、「沖縄の独立」が叫ばれました。単なる居酒屋論議ではなく、琉球民族の独立に向けた研究と実践をやっていこう、という趣旨で「沖縄民族独立総合研究会」が立ち上げられました。私も会員ですが、若い人の参加もあります。

背景には、沖縄への構造的・政治的差別が、厳然としてあるからです。沖縄へのオスプレイ配備が分かりやすい例です。沖縄県民は、昨年9月、10万人規模の県民大会で、「オスプレイを配備するな」と意思表示し、全41市町村議会が「配備反対」の決議をあげたにもかかわらず、普天間へのオスプレイ配備は強行されました。

今年の1月にも、41市町村長と議長、県議会議員たちが東京行動を行い、安倍首相に「配備撤回」を直訴しました。しかし、結局は無視され、さらに追加配備です。

東京行動でのデモで、日の丸を持った集団が沿道に並んで、「売国奴」「日本から出て行け」といった罵声を浴びせました。こうしたヘイトスピーチには、差別を通り越して、「脅迫・抑圧だ」という声も出ています。しかし、そこに現在の日本の状況や、沖縄の置かれた状況が見えてきた感じもします。

沖縄は、経済的な問題も含めて、日本という国家に包摂されています。「日本政府は信用できない」からといって、選挙はボイコットだ、とはなりません。

今回の選挙でも、糸数さんの勝敗が、基地問題も含めて、すべてを左右するという状況でした。選挙は、反基地・反戦闘争も含めた闘いなのです。

来年1月には、名護市長選挙があります。負けられません。辺野古をめぐる闘いになりますので、大きな試金石になるでしょう。安倍首相は全力を投入して、「移設反対派」の稲嶺市長を追い落とそうとしています。これまでの名護市長選挙でも、領収書なしで使える官房機密費が、数億円の単位でつぎ込まれています。選挙では、そうした政治手法に対する闘いでもあるのです。

安倍政権は「尖閣列島の防衛」を口実に、与那国への自衛隊配備、オスプレイの新規配備など、沖縄の軍事基地化を強化する動きを強めており、警戒しています。

昨年12月の衆院選に続いて、今回の参議院でも安倍自民党が圧勝しました。もはや沖縄県民は、日本の政治を信頼していません。

ただ今回、東京選挙区で山本太郎さんが当選しました。若い人たちも結構頑張っているんだな、と感じられて、嬉しかったです。新しい感性を持った若い人たちがドンドン出てきて発言できるようになったら、少しは変わるかもしれない。

私も、山城博治さんと近畿一円をまわりました。多くの人たちが声かけてくれましたし、そういう人たちの動きが連なっていけばいいなと思っています。

世の中を変えようとする「点」はあるんです。その点が、「線」、さらに「面」としてつながって、広がっていけばいいと思います。(談/文責・編集部)

  HOME社会原発問題反貧困編集一言政治海外情報投書コラムサイトについてリンク過去記事

人民新聞社 本社 〒552-0023 大阪市港区港晴3-3-18 2F
TEL (06) 6572-9440 FAX (06) 6572-9441 Mailto:people★jimmin.com(★をアットマークに)
Copyright Jimmin Shimbun. All Rights Reserved.