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2013/7/19更新

福井から未来へ! 原発のない世界を!6・29〜30全国集会
原発への不安残るおおい現地で 400名が集会・デモ

大飯原発3・4号機の再稼働から1年。6月29日・30日の2日連続で、福井県小浜市・おおい町を会場に、「福井から未来へ! 原発のない世界を!6・29〜30全国集会」が行われた(呼びかけ・STOP☆おおい原発再稼働現地アクション)。

29日は、小浜市の明通寺を会場に、「若狭ゆずり木平和祭」を開催(参加450名)。翌30日は、おおい町現地での集会・デモとなった(参加400名)。

27日には、同じ福井県高浜町にある高浜原発に、プルサーマル発電用のMOX(ウラン・プルトニウム混合酸化物)燃料がフランスから搬入されており、再稼働に向けた動きは、いよいよ正念場を迎えることになる。(編集部一ノ瀬)

私たちの運動は決して負けていない

6月30日の集会は、大飯原発の近くにある、おおい町大島公民館で行われた。鎌田慧さん(ジャーナリスト/「さようなら原発1000万人アクション」呼びかけ人)の講演では、「安倍政権は、『アベノミクス』という打ち上げ花火で「命よりお金」という価値観を強く打ち出している。第2・第3のフクシマを出さないためにも、原発の再稼働を止めていこう。この参院選を前に、たとえ口先だけにせよ、自民党以外の全政党が何らかの形で『原発廃炉』を言っているのは、世論を無視できなかったからだ。私たちの運動は決して負けていない。あと一歩のりこえて行けばいい。運動をやっている人の確信と連帯で、これからも闘っていこう」と呼びかけた。

続いて「再稼働阻止ネット」の柳田真さんは、「昨年から今年にかけて、原発の地元住民の中に入って訴えていくことができているなど、運動は大きく前進している。7月参院選挙の結果はほぼ見えているが、それに一喜一憂することなく、大衆闘争で闘っていこう」とアピールした。

「原発いらない福島の女たち」の黒田節子さんは、「警戒区域再編や補償金の問題などで、いろんな分断が持ち込まれている。また、日常的に子どもたちが被曝させられ続けている。福島の実態を、ぜひ皆さんに知ってほしい」と切実な実態を報告した。

地元・福井からは「サヨナラ原発福井ネットワーク」の若泉さんが、「関電は大飯原発敷地内を通るF6破砕帯を活断層だと認めない。また、福井県が発表した暫定避難計画では、避難手段の確保や、避難先が原発から十分な距離がとれていない」と問題点を指摘。住民の「安全」を考えない福井県の態度を批判した。

集会後は、大飯原発ゲート前までのデモを行った。「大飯原発、今すぐ止めよう!」「原発いらない!」─公民館から若狭湾沿いの道を通り、大飯原発ゲート前までの2`の道のりは、日曜ということもあってか、人影はまばら。

それでも、時おり道ばたでデモを見つめる地元の人の姿があった。その姿は、応援・批判のどちらでもなく、何か複雑な思いを抱えているように見えた。雇用・生活のために再稼働に賛成した人たちにとっても、原発は100%安心できるものではない。昨年4月、市民団体4団体が、おおい町民へ「心配に思うこと」を尋ねた無記名アンケートで、@福島原発事故のようにならないか、A子や孫の将来、B雇用、C事故時の避難、という結果が出た状況に、何も変わりはないのだろう。

海沿いの道には、釣り客向けの民宿が多くあった。大飯原発の定期検査時には、多くの作業員が宿泊して満員になるそうだ。自宅前でデモを見守っていたお婆さんに声をかけることができた。「こういうこと(原発再稼働)には、反対する人もいないとね」「海が綺麗でいいところなんだよ。またおいでね…」。

都会からの『原発反対』の声を

集会前日の「若狭ゆずり木平和祭」では、福井・関西・全国から集ったミュージシャンによるライブ演奏や、福島原発事故をテーマにしたドキュメンタリー映画の上映や、若狭の農産品などをつかったごはんや、グッズを販売するマーケットが出店。歌・踊りあり、自由なマイクパフォーマンスあり、地元の人をも交えた話し合いありと、若狭の豊かな自然の中で「平和と新しい文化を発信する」場となった。

福井県警が過剰警備

30日のおおい現地での全国集会に対して、福井県警の過剰警備が見られた。会場に向かう福井県道241号線では、青戸の大橋を渡ったところで福井県警の検問がひかれ、ドライバーの免許証を確認。「この先で集会が行われるので、ご協力お願いします」「テロリストが侵入するといけませんので…」との言い分。また、大島公民館から大飯原発ゲートに直通する1.5`部分をバリケードで封鎖し、原発関連以外の車はシャットアウトしていた。小浜湾には福井県警の2隻の警備艇を配備するなど、過剰な警備態勢だった。

配備されていたのは、ほとんどが若い警察官。デモ警備の経験をさせていたのだろう。

日没後には、明通寺本堂で木原壯林さん(京都工芸繊維大名誉教授/京都悠悠化学研究所)の講演「原発は人類と共存し得ない/原発のない人間性豊かな社会を造ろう」と題した講演と、明通寺住職で「原発設置反対小浜市民の会」事務局長でもある中嶌哲演さんの「『若狭ゆずり木平和祭』からのメッセージ」のお話があった。

平和祭の会場となった明通寺のある小浜市は、かつて住民の反対運動により原発誘致を拒否した土地だ。しかし、その小浜を含めて、若狭では原発関連の仕事に就く人も多い。平和祭に参加した地元住民からは、「近所や親戚の中に原発関連で働いている人も多いから、『原発反対』の声は上げにくい」「都会の人たちから反対の声を上げてもらうのは助かる」「原発に頼らなくても済むように、地元で仕事を作っていきたい」などの声が出ていた。

大飯原発は、今年9月に定期検査のために運転を停止する。しかし原子力規制委員会は、それまでの継続運転を認めてしまった(7月3日)。大飯原発は、安全確保の面で多くの抜け穴がある「新規制基準」も満たしていないにもかかわらず、である。

参院選を終えれば、安倍政権は原発再稼働に向けて、全力を尽くしてくる。情勢は決して楽観できないが、「反原発」の声は、決して小さくなってしまったわけではない。「経産省前テントひろば」をはじめ、全国のネットワークが広がっている。多くの創意工夫で「原発反対」の声を上げ続けよう。

原発再稼働阻止! 5カ月間を全力で闘い抜こう

「再稼働阻止全国ネットワーク」の事務局を担うたんぽぽ舎・柳田さんからのアピールを掲載する。(編集部)

×××

電力各社は、7月8日に5カ所、10機の原発再稼働を申請しました。3日に規制委員会は、この基準すら満たしていない欠陥だらけの大飯原発を「ただちに安全上重大な問題が生じるものではない」として、合格させてしまいました。大飯原発は、防潮堤が完成していませんし、免震棟もまだなので、代わりに放射能を防ぐ機能のない普通の会議室を使う、としています。基準を満たしていない大飯の運転継続を認めたのです。

この規制委員会は、申請された原発についても安全対策を5年間猶予する措置を採りました。福島原発の教訓から直ぐに作らなければならないと自ら決めたものを、なし崩し的に5年間猶予するというのです。その5年間に地震や津波が来ない保証なんて、どこにもないのです。

そもそも「新規制基準」は、福島事故の検証が終わっておらず、原因も特定できていないので、規制基準たり得ていません。他にも、多くの根本的問題を抱えているのです。これらを見ると、規制委の審査は非常に電力事業者寄りで、国民の安全を蔑ろにした「再稼働ありき」の審査となることは、容易に推測できます。

もし、第2の福島事故が起これば、日本全体が大きく傾きます。円は売られ、経済は荒廃します。原発再稼働はそういう危機を招き寄せることになります。

現地と全国がいっしょに伊方再稼働を止めよう」

こういう中で再稼働を阻止するには、7月8日の申請から半年間が決戦時期となります。ただし、規制委の田中委員長が審査期間として「6カ月程度」と発表しましたが、絶対早まります。申請された原発は、泊原発も伊方原発も川内原発もすべてP型加圧水型で、かつ三菱重工製で全部同じなのです。したがって、プラントの安全審査は、同じように進んで同じ結論が出てくるでしょう。だから、5カ月間くらいが決戦期間となります。

泊原発(北海道電力)は地元の反発・市民運動が強く、関西電力は、すでに大飯が動いています。高浜も狙っていますが、欠点がたくさんあります。そうすると、四国の伊方原発が最も再稼働に近く、次いで川内原発も、という情勢です。

この5カ月間、現地と全国が一緒になって、「最も早い」と言われている伊方原発再稼働を止めるために、みんなで知恵を絞りましょう。地元の方針を尊重し、全国がどのような応援ができるのか?を考えましょう。

いよいよ再稼働するXデーを迎えたとしても、落胆したり諦めたりするのではなくて、精一杯の抗議行動を展開しましょう。再稼働一番手の原発は、電力会社も緊張します。最初の原発再稼働が大した抵抗もなく動き始めると、2番手、3番手はすぐに稼働し始めるからです。

3つの原発が一斉に再稼働という最悪事態もありえますが、しかし、再稼働に反対する多数の国民の声があることを考えて、全力で闘いましょう。

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