2013/7/8更新
園 良太(東京都)
4月上旬に東京で「安倍のつくる未来はいらない!人々」が立ち上がった。そして6月8日(土)、「改憲なんて冗談じゃない!市民デモ」が東京・新宿東口アルタ前広場に集合し、約140人が参加して大繁華街で賑やかに行われた。
昨年末の衆院選後、再登場した安倍のおぞましい姿を見て、多くの人が改憲、原発再稼働、歴史認識問題などに大きな危機感を持った。だが安倍は、昨年日本中で反対運動が高揚した原発の再稼働と、従来から根強い反対運動のある憲法改悪について、夏の参議院選挙後に後回しにする作戦に出た。そして偽りの株式投資バブルを巻き起こし、人々の目を政治から経済へ向けさせ、マスコミも追従させた。まるで60年安保闘争後に高度経済成長を打ち出した池田内閣の策略と同じだ。
こうした中で、社会運動も危機感が薄れ、個別課題の運動しか展開できなくなっていたのではないか。7月21日の参議院選挙前に「安倍政権はいらない」とストレートに打ち出し、個別課題をつなげる行動が今こそ求められていたと思う。そうした機運の中でデモは呼びかけられていた。
当日は、新宿アルタ前で17時から集会が開始された。土曜のアルタ前は凄い人出だ。主催者は広場に「改憲=改悪」「改憲=暴力」の大きなプラカードを掲げた。また、参加者には「憲法を安倍が変える→自由を失う。変える→戦争のできる国になる(侵略の銃を握らされる)。変える→憎しみ合いが増える。変える→拷問ができるようになる」といったプラカードが配られた。
主催者は「安倍政権に騙されてはいけない。参院選後は本当に地獄だ。原発、改憲、沖縄、TPP、貧困などなど、全てが悪政だ。奴らが目指す未来像は全体的に間違っているし、そんな未来なんて来てほしくない!私たちの行動が未来をつくる、一人ひとりの声は世界とつながっている」と叫んだ。
続けて埼玉で改憲反対運動に取り組む方が、その恐ろしさをアピールし、ノーの声を上げなければもう終わり、と呼びかけた。「反安保実行委員会」の方が、自衛隊の海外での軍事戦略と改憲のつながりを明確にした。すでにジブチやソマリアに派兵された自衛隊が、さらに戦闘へ直接参加できるようになるのだ。
集会後半は、ライブが始まった。浦邉力さんが「新宿のみんな、知ってるか?憲法は国民ではなく権力を縛るものなんだぜ!自民党はそれを逆にしようとしているんだぜ!」と訴え、「フィンガー5」の替え歌を演奏しながら安倍政権に抗議した。ジョニーHさんは「安倍内閣は、危ない核♪」と軽快に連呼した。また、紅次郎さんが、ブルースで「正義の名の下に差し出すべき物は君の命じゃない」と反戦を訴えた。そして最後に、毎週金曜夜に経産省前で抗議と対話の集会を続けるレゲエシンガーの火炎瓶テツさんが音頭を取りながら、デモが出発した。
テツさんは先頭でラップ調のコールで「安倍はヤダ」「憲法変えるからヤダ」「自由がなくなるからヤダ」「格差が拡がるからヤダ」と参加者を乗せながら、改憲の中身を通行人に伝えていく。デモ隊はまず、新宿西口の大ガード下に向かっていった。
デモ隊の中盤は、ドラム隊が並んでコールに合わせて乱打、大きな注目を集めた。
そしてデモ隊後半は、浦邉さんたちが語りかける独特のコールを行った。「♪憲法改悪、知ってるかい?」「♪自民党改憲案、知ってるかい?」「♪ネットを調べりゃ載っている!」と。
浦邉さんたちは、これを「周知デモ」と呼んでいる。メディアが問題を伝えない中、新宿の大群衆にこれをやるのは効果的だ。別のコーラーも、「♪憲法改悪、知ってるかい? みんなの自由を奪うこと」「♪戦争する国にすること!」と合わせていた。
デモ隊は新宿駅西口〜南口を通過し、交差点ごとに信号を待つ大群衆に安倍内閣の危険性を必死に訴えた。立ち止まり聴く人、プラカードをじっと見つめる人もとても多い。そして歌舞伎町の前を通って再びアルタ前にゴールし、「安倍政権はいらない!憲法改悪反対!政権と大規模に闘うトルコの人々とつながろう!」と、全員で熱いコールを繰り広げた。終了後も多くの人が広場に残り、今後のことを話しながら交流していた。
いよいよ参院選は来月だ。主催者は6月22日(土)17時半からも、改憲をはじめとした安倍政権の問題を話し合う「冗談じゃない!6・22対話交流会」を東京の井の頭コミュニティセンターで行う。また、埼玉に住む主催者メンバーが中心となって、埼玉で「原発推進、憲法改悪、TPP参加の安倍政権にNOをつきつけよう!もぉ〜だまされない!さよなら安倍デモ」も行われる。6月29日(土)14時、浦和駅西口集合だ。
こうして同趣旨のデモが全国に広がり、政権を止める/倒す、私たち(運動側)の一人ひとりこそが未来を作る動きが本格化して欲しい。その時こそ世界は変わるはずだ。
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