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2013/4/22更新

いまアフリカでは
  翻訳・脇浜義明

【ザンビア】アフリカ労働者と中国ドラゴン

中国企業の労働者軽視による政治的不安と緊張

ロイシン・ハインズ(ダブリンのトリニティ大学研究者)

2006年のザンビア大統領選挙で野党「愛国戦線」党首マイケル・サタが立候補し、鉱物資源豊富なコッパーベルト(銅資源地帯)地域で、外国資本、特に中国を非難した。「ザンビアは中国の抵当物件となった。中国人はインベスター(投資家)ではなく、インフェスター(寄生虫)だ」と言った。

鉱物資源国ザンビアは、前々から外国資本の直接投資(FDI)の標的だった。最初に鉱山を作ったのは、英国と南アフリカ。ザンビア独立(1964年)後、鉱山は国有化されたが、1990年代半ばの「構造調整」プログラムで民営化。それに続いて中国企業が、ザンビア鉱業の主役となった。中国は工業発展を目指し、資源獲得のためにザンビアへの巨額の投資や、いったん廃坑となった鉱山の再開発を行った。

その中国は、「もしサタが選挙で勝利したら、投資を全部引き揚げる」と脅した。しかし、サタのメッセージは都市貧民階層の心をつかんだ。彼らは、ポスト2000年の商品ブームの恩恵にあずからず、労働条件悪化と政治腐敗の原因を中国のせいだ、と思っていた。2011の年選挙で、サタはザンビア大統領となった。

中国の対アフリカ直接投資(FDI)の最大の国はザンビアだ。ザンビアを見れば、中国がアフリカの政治的・経済的再編成をどう行っているかが、よく分かる。《中・ア関係》の発展は、冷戦後アフリカの顕著な特徴で、メディアが大騒ぎし、学者連中は膨大な論文を書いた。

世界の注意を引いたのは、規模の大きさばかりでなく、スピードであった。1990年、中国の対アフリカFDIは3000万ポンドだったが、2005年には10億ポンド(=約1500億円)になった。2008年までの10年間で、中・ア貿易は50億ポンドから530億ポンドへ、年率35%の増加となる。

多くのアフリカ指導者にとって、中国の接近は雇用と投資をもたらしてくれるので、万人の利益になる機会であった。元ザンビア商業・貿易・産業大臣フェリックス・ムタティは、「中国人は技術があり、仕事が速く、費用効率がよい。英国は(建設業)に中国人を使うと費用効率がよい、といって利用した。我々も遅れを取るべきではない」と言った。

しかし、中国の進出に関しては、かなりたくさんの意見がある。南アのタボ・ムベキ前大統領は、中国のアフリカの天然資源への関心は「新型の新植民地主義」となりつつあり、「アフリカの民主主義、環境保護、労働者保護へ向かっての歩みを損なうもの」であると、警告を発した。

以前は、中国のアフリカへの関心は、外交的必要からであった。世界から孤立状況にあった中国は、アフリカに支援を求め、1971年の国連加盟はアフリカの支援で実現した。

しかし、現代中国のアフリカ接近は経済的理由からで、2つの目標がある。1つは新市場開拓と参入、もう1つは自国の経済発展のための資源獲得─中国FDI受容国の多くは、南ア・スーダン・ザンビア・ナイジェリア・コンゴ民主共和国など、資源豊富な国々ばかりである。中国は、他の西洋諸国と異なり、同じ植民地主義の犠牲者、同じ「南」としての連帯を表明してアフリカに接近したが、実際は西洋大国のやり方と同じであった。

例えば、「中国は独裁政権の権力乱用に目を閉じている」と、人権団体からの批判がある。石油部門に多額投資をしているスーダンでは、アル・バシル政権(訳注…バシル大統領は、国際司法裁判所から人道に対する罪と戦争犯罪の責任を問われている)に武器を売り、争いと腐敗の増長に手を貸している。国連でも、スーダンとジンバブエへの制裁決議に拒否権を行使した。

アフリカで操業する中国企業、特に地理戦略的に重要な資源採掘企業は、国有企業で国家支援の政治的資本を活用できる。非国有中国企業も、国家援助を受けている。2005年単年度だけを見ても、中国国営輸出入銀行は海外の中国人投資家に150億j(=約1・5兆円)以上を融資した。国内の言論の自由抑制状況と抱き合わせると、中国人投資家は企業の社会的責任、会計に関する諸規定、西洋の多国籍企業を悩ませているメディアの不正暴露を回避することができる。

しかし、他企業との競争や利潤圧縮の脅威にさらされる中国企業経営者は、賃金引き下げ、労働条件改悪、安全基準や環境基準無視などで、利益増をはかろうとする。これがもたらす政治的不安は、中国の対アフリカ長期的外交利益と相反することは、明白である。この緊張がはっきり見えたのがザンビアなのだ。

欧米のような隷属関係ではなく平等なパートナー関係を

2000年の中国の対ザンビアFDIは、6000万ポンド。その後10年間で、5億6000万ポンドに増加。中国銀行ルサカ支店は、元通貨による銀行業務を始めた。中国投資はインフラから小売り業にいたるまでさまざまだが、中心はコッパーベルトのチャンビシ地区である。

かつて廃坑町であったチャンビシは、今や、中国がアフリカに設定しつつある5つの公的経済特区の1つである(他の4つはモーリシャス・ナイジェリア・エジプト・エチオピアにある)。中国資本は、ここに多くの雇用を創出した。世界的経済不況の時、他国の企業は規模を縮小したが、中国はその機に乗じてどんどん拡大した。元ILOザンビア事務所長ゲリー・フィネガンは、「この一貫性のために、中国への好感が高まった。他国の企業の採掘は販売のためだが、中国は自国での消費のためだから、安定性があり、雇用が続くのだ」と言った。

しかし、すべての人間が喜んだわけではなかった。中国所有の鉱山労働者は、低賃金と劣悪な労働条件に抗議して、何度もストをやってきた。中国所有鉱山の中で強力な組合である鉱山労働者と関連労働者の全国組合(NUMAW)のグッドウェル・カルバ書記長は、「中国人は安全に無関心だ。労働条件は酷く、賃金は無茶苦茶に低い」と、中国企業を批判する。

国有化の頃を懐かしむチャンビシ労働者は多い。2000年代初期国営企業であったZCCMは、労働者のために学校、病院、スポーツクラブなどを設置していた。中国人は、そんなものにまったく関心を示さない。人気があったスポーツクラブは朽ち果て、道路は傷み、医療施設が極端に減った。

中国所有のチャンビシ銅製錬所の労働者は、「昔の国有化時代の方が良かった。労働者や家族のことを気にかけてくれ、大事にしてくれた。しかし、中国からやってきた投資家は、労働者や家族のことなんか気にかけない。まるで道具を大切にしない労働者みたいな連中だ。道具を粗末を扱えば壊れるのと同じように、我々もいつか壊れてしまう」と語った。

2005年、チャンビシの工場で爆発事故が起き、49人が死亡した。安全基準引き下げが原因だった。翌年、同じ工場でスト決行中の労働者がデモ行進の時に中国人労働者区域を通ったことを理由に、中国人管理者から銃撃され、6人が重傷を負った。同様の事件が2010年、南部で起き、11人のザンビア人労働者が中国人管理者の銃撃で重傷を負った。どちらの事件も、犯人がはっきりしているのに、法による裁きがなかった。

2011年、サタの選挙勝利を受けて、チャンビシの鉱山労働者は、@賃金の100%増と、A労働条件改善を求めて、ストに突入した。サタ政権で労働者の期待が実現するかどうかは分からない。2006年以降、愛国戦線の対中国姿勢が穏健化し、2011年の選挙キャンペーンでは、「中国投資批判」より「政権腐敗批判」に重点が置かれた。サタ大統領は、外国投資に関して、警戒しつつも歓迎する姿勢を打ち出した。「雇用を創出してくれるので外国人投資は必要だが、ザンビアの労働者に敬意を払ってもらいたい」。

しかし、サタの就任式には中国大使・周欲暁も同席した。チャンビシ労働者のストの結果、85%の賃上げの約束がなされたが、チャンビシ労働者はこの約束の実現を不安に思っている。

中国進出で、アフリカ諸国は過去の西洋大国のような隷属でなく、平等なパートナー的関係の実現を期待しているが、まさに玉石混合で、はっきりしていない。南アフリカからナミビア、タンザニアからザンビアまで、中国の投資はストや抗議や非難を招いている。中・ア関係が展開するのは、まさにこの労使関係の場となるであろう。

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