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2013/3/5更新

沖縄と本土の連帯をめざす取り組みを!

頻発するオスプレイの違反訓練/辺野古移設埋め立て申請

富田英司 (宜野湾市在住)

オスプレイ12機が配備され、もう5カ月となる。この間、オスプレイは全島で傍若無人・やりたい放題の違反飛行訓練を繰り返している。配備前はオスプレイの構造的欠陥が指摘され、沖縄県民は、いつ墜落するかわからない「欠陥機」オスプレイ飛行に不安をいだいていた。実際に飛行訓練が始まると、墜落の不安以外にも「夜間飛行」「騒音問題」「粉じん被害」などのさまざまな問題が出てきたのである。

オスプレイは、日米「騒音防止協定」に違反して、夜10時すぎの夜間飛行訓練を平気でやる。住宅密集地や学校・病院上空などを低空飛行し、騒音で授業が中断したり、保育園では昼寝中の園児が泣きながら飛び起きるなど、県民の生活破壊が起こっている。

また、コンクリートブロックやバケツをつり下げての集落上空飛行や、兵士のつり下ろし訓練も行われるなど、県民から「わが物顔で飛び回り、配備前の運用ルールをまったく守っていない」等の怒りの声が上がっている。さらに2月5日、普天間飛行場から離陸したオスプレイから、宜野湾市の民間地に個人用「ペットボトル」が落下する重大事故がおこった。

オスプレイは、こうした落下事故をひんぱんに起こしている。2011年には、アフガニスタンで乗員が高度60bの機体から転落死した。今年1月17日には、米国サンディエゴで、飛行中の海兵隊オスプレイから約19gの洗浄液入りのバケツが落下し、自動車修理店の屋根に穴をあけ、車6台に被害が出た。

オスプレイによる低周波騒音

加えて県民を苦しめているのが、騒音問題である。

琉球大学の渡嘉敷健准教授(環境工学・騒音)によると、宜野湾市上大謝名公民館で測定した90・2dB(デシベル)は、大型トラック通過時の騒音と同じレベルであり、従来機CH─46ヘリコプターを7・2dB上回っている。渡嘉敷准教授は、「体感騒音は2倍」と指摘する。

夜間の騒音では92・0dB(騒々しい工場内と同じレベル)を記録。「ヘリは低周波音が含まれる分、振動、心理的圧迫や不快感を感じる。特に、夜間は周囲が静かなので、心理的影響や負担が大きい」(渡嘉敷准教授)。

同准教授が特に問題としているのが、離陸時に発生する「低周波音」(イライラや頭痛、吐き気をもたらす)である。名護市辺野古の国立沖縄工業高等専門学校屋上での調査では、40 Hz(ヘルツ)で91・8dBと、防衛省が普天間飛行場辺野古移設に向けて作成した環境影響評価(アセスメント)の基準値78 dBを13・8dB上回っていた。

渡嘉敷准教授は、普天間第二小学校での測定で、「アセスの基準値を超える低周波音が、ヘリモードだけでなく、固定翼モードでも発生している」と語る。固定翼モードの離陸時の低周波音は、周波数63 Hzでは91・7dBを計測。同ヘルツでのいらいらや吐き気をもたらす「心理的影響」の基準を示す閾値80 dBを11・7dB上回った。40・50 Hzでも閾値を超えた。ヘリモードの離陸時でも、低周波音は閾値を超えている。

この測定結果から、渡嘉敷准教授はオスプレイの低周波音による心理的・物的影響を指摘し、「低周波音は防音窓でも防ぎにくく、沖縄の新たな騒音問題」と強調する。地域住民への健康被害が心配される。

日米両政府は、7月までに新たにオスプレイ12機を普天間飛行場に配備する方針だ。さらに米空軍は、嘉手納飛行場に特殊作戦型オスプレイCV─22を9機配備する計画である。森本前防衛大臣は、オスプレイ配備について「軍事的には沖縄でなくてもよいが、政治的に考えると沖縄が最適の地域だ。許容できるところが沖縄にしかないからだ」と語っている。

まさに「沖縄差別」発言(=本土配備すると反発が強いので、基地が集中する沖縄に押しつける方が得策だ)で、これは原発問題(なぜ、福島などの地方に原発を押しつけるのか)と相通ずる問題である。

普天間飛行場の野嵩ゲート前と大山ゲート前での抗議行動は、今も続いている。沖縄市、嘉手納町、北谷町の「三市町連絡協議会」も、オスプレイの嘉手納配備に反対する住民大会を4月21日に開催する予定だ。

 「辺野古移設」の猛烈な圧力

さらに、沖縄県民の怒りを買う「辺野古移設」(新基地建設)に関する「埋め立て申請」問題が起こっている。昨年末、防衛省は政権交代のどさくさにまぎれてデタラメな「環境影響評価(アセスメント)」の補正評価書を県に提出し、公告・縦覧が1月29日に終了していた。

そして、オバマ大統領との首脳会談を終えた安倍首相は、米国への忠実さを証明するように、3月上旬には県に辺野古の「埋め立て申請」を行うようだ(2月26日、沖縄防衛局は名護漁業協同組合に公有水面埋め立ての同意を求める文書を手渡した)。

このように今沖縄は、「尖閣問題」を利用され、「オスプレイ配備」「辺野古移設」(新基地建設)、さらに「与那国への陸上自衛隊配備」等、沖縄の民意を無視する政府、沖縄包囲網を形成する本土マスコミ等の本土勢力から、猛烈な圧力を受けている。

沖縄を孤立させないように、「オスプレイ配備撤回」「普天間飛行場の県内移設断念」(辺野古新基地建設阻止)を求める沖縄の民意に耳を傾け、沖縄と本土の連帯をめざす運動の取組みが必要となっている。

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