2013/2/20更新
「1人でも抵抗者がいれば、問題が顕在化する。そこに必ず希望は見える。終わりなき抵抗は、絶対に負けない」─田中伸尚さん(ノンフィクション作家)は、「絶望するには素敵な人が多すぎる─戦後史最大の曲がり角に立って」と題した講演の中で、聴衆にエールを送った。
2月11日、天王寺区民センターホールで、「『日の丸・君 が代』強制ええんかい! 『競争』『強制』の教育でええんかい! 私たちは黙らない! 2・11全国集会」が行われた。会場は、全国各地から、教職員・保護者をはじめとする約700人が詰めかけた。
学校現場において「日の丸・君が代」の強制や、子どもたちを「国際競争に勝ち抜く人材」として。競争原理が導入され、新自由主義的傾向が顕著になってきている。そして、石原慎太郎・橋下徹の登場により、地方自治体の教育現場での攻撃が強まってきている実態が、東京・大阪から報告された。
そして、現在石原を上回る規模で、日の丸・君が代の強制と従わない教職員への処分を進めているのが、橋下徹だ。2008年に大阪府知事として登場して以降、大阪の教育をめぐる状況は、政治権力による教育への介入・支配を進めている。
集会では、教育現場への橋下の支配・介入だけではなく、さまざまな現場からの実態が報告された。大阪朝鮮高校への府・市の補助金打ち切り問題(関連記事6面)、旧日本軍「慰安婦」問題について、「軍に暴行、脅迫を受けて連れてこられた証拠はない」(橋下知事)と発言し、韓国から来日した元慰安婦の女性に会おうとしなかった事件、「ピースおおさか」(大阪国際平和センター)を「西の遊就館」として作り替えようとしている問題、「子どもの家事業」の廃止問題(2014年度から予算がゼロになる)、大阪市「入れ墨」調査問題など…。
橋下によって、次から次へと教育への攻撃がかけられ、学校現場・市民に混乱を招いている。集会でも、いまや大阪が先導的役割を果たす橋下の教育「改革」への危機感が、口々に語られ、「それでもあきらめずに闘っていく」という力強い決意が語られた。
こうした攻撃への反撃は、教職員だけではなく保護者・市民などにも広がり始めている。ただ、2006年に「教育基本法」を改悪し、「『強い日本を取り戻す』国民意識の形成の核としての愛国心教育」(集会での「建国記念の日」反対の主張)を今また推進しようとする安倍内閣の登場によって、全国の教育現場への圧力がますます強められることは、想像に難くない。
これから卒入学式の季節を迎える。「日の丸」「君が代」の強制をはじめ、今年もさまざまな処分・攻撃が予想される。安倍首相は、1月28日の所信表明演説で、「経済再生」「震災復興」とともに挙げた「危機管理」の中に、「教育の危機」を挙げている。「国の未来を担う子どもたちの中で陰湿ないじめが相次ぎ、この国の歴史や伝統への誇りを失い、世界に伍していくべき学力の低下が危惧される」と危機感を語っている。
私たちは黙らない!
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今、「尖閣問題」「北朝鮮の核実験」などをめぐって、東アジアにおける軍事・政治的な緊張がかつてないほどに高まっている。「教育」を突破口にして、靖国公式参拝、憲法改悪へと向かえば、アルジェリア人質拘束事件のような「有事」には、邦人の保護・海外権益を守るために「国防軍」(自衛隊)を派兵するようになるだろう。
集会は、「私たちは、『君が代』不起立処分反対・撤回をはじめ、本日の集会に持ち寄られた橋下・維新の会、安倍政権への異議申し立ての広範な声をつなぎあわせ、拡大し、理不尽な教育支配を打ち破るために全力を尽くすことを宣言する。そして、『日の丸・君が代』強制と『競争』『強制』の教育に反対する協同の取り組みを広げ、全国的ネットワークをめざすことを宣言する」との集会決議を確認。集会後、難波までのデモを行った。(編集部一ノ瀬)
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