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2013/2/13更新

アメリカ労働者事情

「ジャスト・イン・タイム」勤務制はやめてくれ

11月19日付『レイバー・ノーツ』 ジェニー・ブラウン
翻訳・脇浜義明

「週40時間労働」の要求はお馴染みだが、小売業労働者にとっては、新しい意味を持ち始めている。彼らパートタイム労働者は、「不規則勤務の中止」と「生活できる労働時間」を要求している。「住宅も失ったし、養子にしようと思っていた子どもも失った」と、ミシシッピー州テューペロ市のウォルマート(世界最大の売り上げを誇るスーパーマーケットチェーン)のパートタイマー、コリー・パーカーが言った。店長が、生活するに足る労働時間を与えてくれないからだ。「私だけじゃない。勤務時間不足で生活できず、住み家を手放す仲間がいっぱいいる」。

パーカーは、ウォルマートで賃金と労働条件の改善を求めるグループ、「アワー・ウォルマート」の活動家である。昨年、ロング・アイランドのヴァレーストリームにあるターゲット店でも、不規則な短時間勤務体制に怒る労働者が組合結成に動いた。

いま中東では

アルジェリア軍は敵ばかりでなく人質に対しても無慈悲

ロバート・フィスク (1月19日「ZSpace」)
翻訳・脇浜義明

昨日、仏や米のテレビのお雇いコメンテーターが、アルジェリア軍は「テロリストには毅然」とし、「テロとの戦い」には「専門的コツ」を持っている、と言っていた。いかにも!しかし、それは半分の真実でしかない。何故なら、アルジェリア軍は人質に対しても「毅然」としていたのだ。軍は、テロリストだけでなく、人質に対しても無慈悲に「毅然」と銃火を浴びせた。

アメナス天然ガス施設での無差別殺戮は、予測どおりのことだった。何故なら、アルジェリア軍─同国の実際の支配者─は、1990年代の内戦で、敵をつぶすためには無関係な人間を傷つけないように配慮する暇はないことを学び、非常に「冷酷になった」からだ。

11年前、軍は情報士官をダマスカスへ派遣し、当時のハフェズ・エル=アサド大統領がハマでおこなったイスラム主義者反乱団弾圧を「学習」したのだ。それとまったく同じ手法で、アルジェリアのイスラム主義者の反乱を粛清した。

うわさでは、その返礼に、昨年、アルジェリア軍士官がシリアへ行って、はるかに危険な反乱と戦っているシリア軍に、自分たちがイスラム主義武装団やアルカイーダ関連グループに対して行った「汚い戦争」で勝利した経験を教えたという。また、転覆前のチュニジアのベン・アリにも、またエジプトのムバラクならず者集団にも、「専門的コツ」を伝授したと言われる。

外国人にとって、アルジェリア軍の実態は不透明かもしれないが、米軍や仏には、アルジェリア軍の基本的神話─内戦時に示したイスラム主義との徹底的な残虐性─が頼もしく見えた。実際、1990年代の内戦時、米・仏は、首都アルジェ郊外の都市シェルシェルで、アルジェリア軍と共同作戦を行った。米・仏は、アルジェリア軍兵士や私兵軍が、拷問などの残虐行為を行っていることを知りながら、である。

闇に葬られた真相

流血の突入に関して、確かなことが3点ある。@軍は人質殺害の責任を、アルカイーダの影響を受けた誘拐犯に押しつけたこと、A自国民を殺された西側諸国政府が、@の線で足並みを揃えたこと、B制圧の翌日までには、何が起きたか全体が判別がつかないほど変化してしまったことだ。

キャメロン英首相が、アルジェリア軍固有の残酷性に無知なために、英政府はとんちんかんな発言をした。アルジェリアは「(テロとの戦いで)先頭を切る決意のようだ」。その通りだ。アルジェリアにとって、誘拐犯と交渉するなんてことは、受け入れ難いことなのだから。

誘拐犯イスラム主義者が人質殺害に究極的責任があるのは言うまでもないが、人命尊重という点では、どちらにも慈悲心はない。人質も、近くにいた人々も、民間人も、両者にとっては単なる「巻き添え」にすぎないのだ。

「週15時間以下で働いてきた」と語るのは、ターゲット店のタシャワナ・グリーンだ。グリーンによると、労働者が短時間勤務で食べていけない状態なのに、店長は皆に、「働きたがっている友人を紹介しろ」と勧誘している。組合結成は、結局投票で敗北した。

小売り・卸売り・百貨店労組(RWDSU)は、ニューヨーク市の衣料品小売り商アバクロンビー&フィッチでの組合作りに力を注いでいる。レジ勤務ビンツー・カマラによれば、同店では、パート勤務時間は週10時間が上限である。RWDSUの「小売り組織化プロジェクト(RAP)が運動の指揮を執り、同店の小売り労働者が、陳情や店舗前デモで、「生活できる勤務時間」を求める運動を支えている。労働者たちは、高級ブランド志向の客に向かって、経営者の「不完全雇用」の実態を大きな横断幕に書いて、道行く人々に訴えている。

必要な時だけ駆り出される労働者

ウォルマートが、パートタイマーを24時間フル回転交代制で集中的にこき使う陰険な勤務体制を作成したのは、1990年代である。ウォルマートにあるジャムバ・ジュース(レストラン)、ピアー・ワン(カフェ)、エアロポステール(衣服店)は、勤務シフトを15分間隔という小刻みに分割した勤務体制を敷いている。就労の時間帯は、天候や最近の販売パターンに基づいてソフトが客足を予測して、変更が決定される。

これが従業員に与えた影響は深刻だ。昨年ニューヨークの小売り労働者436人を対象にしたニューヨーク大学とRAPの共同調査によれば、1週間前まで自分の勤務体制がどうなるか分からない労働者が70%もいた。安定勤務体制の人は、わずか17%。何時間働けるのか、あるいはそもそも働けるのかどうかが、半日前になってやっと分かる人も多くいた。前夜か当日の朝に電話を入れて、勤務のあるなしを確認しなければならない状態の人が20%。

家計を維持するために副業に就いていて、勤務に出られないと、コンピューターソフトにはその人の勤務時間をぐんと減らすよう入力される。「家族の生活や健康を大切にすると、仕事を失うことになる」と、RWDSUのオルガナイザーであるアデモラ・アーユフェソは言う。

経営コンサルタントは、この柔軟な勤務体制を、「効果的な従業員管理だ」と宣伝する。「上司からもっと仕事をもらおうと必死になり、短い勤務時間を他の従業員と競争して懸命に働く」と、小売業コンサルタントのバート、P・フリッキンガー3世が、ニューヨークタイムズに語っている。衣料品小売業クラブ・モナコの労働者は、「経営者は販売高をネットに載せます。一定額以上の販売実績を上げないと、翌週は勤務させてもらえないのです」と話した。

安定した労働をよこせ!

経営者は、「子育てや大学での勉学の都合でパートを好むのだ」と主張する。仮にそうだとしても、経営者の都合で勤務を左右される「ジャスト・イン・タイム」制では、子育てや学校など、通常の生活が成り立たない。パートタイマー労働者は、2006年から10年間で、64万4000人から1500万人に増加している。「この増加は、労働者の選択の結果ではない」と、調査者は断定している。

労働者の勤務時間が短くなったり、勤務がなかったりする場合、雇用者は最低勤務時間分の賃金を支払わなければならないことを定めた「出勤者最低保証賃金法」がある州は、9州だけ。ニューヨーク州では最低労働時間は4時間で、それ以下の労働時間でも4時間分の保障がある。しかし、ほとんどの労働者はそれを知らないので、RAPは、そのことを記した勤務手帳を作成して、手帳に勤務時間と賃金をきちんと書き込み、報告するように労働者に呼びかけている。

勤務時間は、健康保険とも大いに関係がある。ウォルマートは、健康保険資格が発生する時間数まで働かせないようにしている。上記調査によれば、健康保険資格を持つ労働者は、わずか29%であった。「アワー・ウォルマート」活動家エヴリン・クルズは、会社に「勤務に就いていても福祉のメディケードに頼る状態をなくすための手頃な健康保険」を要求している。

新しい連邦健康保険法が逆の影響を及ぼしている。2014年から、従業員50人以上の事業所が常勤労働者(週30時間以上の勤務者)に適切な健康保険を提供しないと、労働者1人あたり2000jの罰金を払わなければならなくなる。この法律施行への準備として、レッド・ロブスター、オリーブ・ガーデン、キャピタル・グリルなどを所有するレストランチェーンのダーデン・レストランは、「今後パートタイマーの比率を増やす」と発表した。すでに、4人のうち3人までがパートである。また、パパ・ジョーンズ・ピザのCEOジョーン・シュナッターは、保険適用を逃れるために自社フランチャイズ店で働くパートの勤務時間を削減する、と言った。

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