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2013/1/1更新

意見特集/衆院選

統治手法としての「議会制民主主義」終焉

厳冬の時代をいかに生き・闘うか?

衆院選の結果を踏まえて、様々な世代・現場にいる社会運動家諸氏に意見を寄せてもらった。事前予測されていたとはいえ、「安倍政権」樹立という現実を前に、厳冬に突入する身構えをしている姿が見て取れる。今回衆院選の特徴は、@低投票率とA無効票の多さに現れていると言える。政治権力が雪崩のように民主党から自民党へと移行したにもかかわらず、選挙戦は争点がぼやかされて、終始白けムードに包まれた。「2大政党の競争による政治の活性化」との大義名分で導入された小選挙区制度は、政権交代という劇的演出効果をも失い、死票と棄権票の山というマイナス面だけが浮き出てきた。

今回の衆院選は、議会制民主主義が統治手段としての有効性をも失う画期となった選挙として歴史に刻まれることになるだろう。

「選挙結果を見て目の前が真っ暗になった。中日の関係はこれからどうなるのか?」─開票数日後に中国の友人から送られてきたメールである。中国でも「極右=安倍政権誕生」の衝撃は広く報道されているという。かように、極右政権誕生の影響は重い。

安倍首相は、開票翌日から経済界と米政府関係者との懇談を重ね、自らが両勢力の代弁者であることを隠そうともしない。集団的自衛権・9条改憲を公然と掲げ、「国土強靱化」と称して国債の大増発を行うという。安倍首相は、日本的右翼でありながら、米国との忠実な同盟関係も維持するという矛盾を抱えている。が、アジア地域での軍事的肩代わりを準備しており、中国との緊張関係を高める。国債大増発は、一時的な景気高揚と引き替えに、財政危機と社会保障の劣化を招来する。原発再開への動きも活発化するだろう。

このように予測される安倍政権下の来年を、どう生き、闘うか?

衆院選結果を見て、2人の先達の言葉が記憶の底から甦ってきた。@「イギリスの人民は自由だと思っているが、それは大まちがいだ。彼らが自由なのは、議員を選挙する間だけのことで、議員が選ばれるやいなや、イギリス人民は奴隷となり、無に帰してしまう」(ルソー「社会契約論」)。A「ブルジョア国家の形態は(議会制民主主義からから暴力むき出しのファシズムまで)多種多様であるが、その本質は一つである。これらの国家はみな、形態はどうあろうとも、結局のところ、かならずブルジョアジーの独裁なのである」(レーニン「国家と革命」)先達の見識を現実にいかに生かすか?我々に問われている。(編集部)

安倍反動政権に対峙する重層的戦線の構築を

反戦共同・きょうと世話人 新開純也

自民党は、たかだか30%弱の支持率によって「圧勝」し、安倍反動内閣が登場した。彼らは、集団的自衛権─改憲を公然と掲げ、国土強靭化─国債の増発─インフレターゲットを主張している。あたかも、中国侵略とそれを支えた軍事国債によって第2次大戦へと突き進んだ戦前の軍事ファシ ストのように。

だが、これは破綻の道である。08年リーマンショック(金融恐慌)以降各国は、大幅な財政出動と金融緩和によってまた、相対的に潜在的成長力のある中国、インド、ブラジル等の途上国の成長に助けられて一時的に危機を回避した。しかし、ギリシャ─EUに見られるように、この政策が、一層の矛盾と危機を新たに生み出した。即ち、財政出動は、ソブリン危機を、金融緩和は、資金の途上国への流入となって、そこでのバブルを生み出した。こうして、先進国では、若者を中心とする失業の増大と財政危機からくる大幅な社会保障の劣化によって労働者人民を途端の苦しみに追いやり、途上国も バブルの崩壊と輸出の減退によって成長力を後退させ、さまざまな社会的矛盾を生み出している。

アメリカのオキュパイやEUのゼネスト、あるいは、中国での住民の決起は、その帰結であり、08年以降の新たな階級闘争の開始を告げている。

安倍の政策は、上記のようにすでに使い古され、破綻が証明された代物である。一時的カンフルとして多国籍企業や土建屋を潤すとしても、やがて、財政危機をより大きくし、国債の減価と長期金利を上昇させソブリン危機をもたらす。現在のEU危機と同様に。カンフルは、強くなければほとんど効果は無く(巨大な需給ギャップ)、強ければ副作用としての危機は巨大になる。そして、EUが示しているように雇用なき、賃金上昇なき、社会保障の劣化によるカンフルである。

こうして社会的矛盾と閉塞感が、増大する。そして、今回選挙にも現れたようにこの閉塞を基盤として「決める政治」=排外主義的方向が登場する。支配者も被支配者も「これまで通りやっていけない」情勢が到来しつつある(小党分裂=国民の分裂は、その証さであり、あれこれの政策だけではなく社会のあり方が問われる)。

生活扶助的組織も必要

我々は、このような安倍反動政権に立ち向かわねばならない。それは、重層的なものでなければならない。第一に、集団的自衛権─改憲に対する広範な戦線の構築。それは、「未来」や「緑」といった中道左派をも含むものとして。彼らと手を結ぶ事に躊躇してはならない。第二に、反原発再稼動阻止の戦線の持続と強化、第三に排外主義の基盤ともなる社会から 疎外 された非正規雇用労働者や、青年、学生の戦線。それは、労働運動の課題でもあるが(橋下の公務員攻撃は、連合型組合が非正規労働者を疎外しているという限りでスキをついている)、それにとどまらず、湯浅氏の「もやい」的な全生活の扶助的要素を持った組織が必要である。

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