2012/10/16更新
「岩国は日本政府と米軍に翻弄され続けている。オスプレイの配備や飛行訓練には徹底的に抗議していかないと、なし崩し的に押しつけられてしまう」─岩国市で40年以上にわたって反米軍基地運動に取り組んでいる岩国市議の田村順玄さんは、強い口調で語った。
山口県・岩国基地に駐機されていた米軍の新型輸送機MV22オスプレイは、9月21日から沖縄への配備に向けた飛行訓練を始め、10月1日、普天間飛行場に正式配備された。沖縄では、基地ゲート前に住民らが座り込み、封鎖行動に出るなど、抗議活動は激しさを増している。
こうしたなか、9月30日、オスプレイ抗議集会が山口県岩国市で行われた。集会の様子とともに、集会実行委員の田村さんのコメントを紹介する。(編集部 渡邊)
集会は、岩国市役所前の広場で開催された。開始時刻前に、すでに800名を超える人々が集まっていた。
開会あいさつで実行委員長の河井弘志さんは、「岩国基地への駐留は許せないが、沖縄に持ち込むことはもっと許せない。全国民が連帯し、オスプレイ導入による基地強化を中止させよう」と、全国的な協力を訴えた。実行委員である5つの住民団体代表は、「アメリカへ断固とした対応をしなければならない」「戦いはこれからまだまだ続く」「立場の違いを超えてオスプレイの配備と飛行訓練反対の声を上げ続けよう」などとアピール。重野安正・社民党幹事長は、「結局は堂々と市民の上空でオスプレイを飛ばすことになるような米軍の『努力義務』など、許せない」、市田忠義・共産党書記局長は、「日本の土地に他国の飛行機を一方的に配備するなど、まるで属国扱いだ」として、「反対の声を上げ続けよう」と呼びかけた。
オスプレイが配備されるアメリカ合衆国の海兵隊は、「殴り込み部隊」ともあだ名される外征専門部隊(海外攻撃に特化した部隊)である。アメ リカの法律の規定に基づき、アメリカの「国益を維持・確保するため」の緊急展開部隊で、海外での武力行使を目的としている。
したがって、日本の「防衛」とはまったく無関係。竹島や尖閣諸島への「抑止力」の観点からしても、まず海上保安庁と警察が担い、対応できない場合は自衛隊の海上警備行動が実施され、すぐに米国海兵隊が動くことはありえない。つまり、オスプレイ配備は、日本の「防衛」や「抑止力」には全く関係がない。
「岩国の決意」と題して、大学生の大川祈さんは、「私には夢があります。基地のない岩国や基地のない沖縄を旅することです。平和であるべき土地に基地があるのはおかしい。オスプレイはいらない! 基地はいらない!」と率直に訴えた。
また、沖縄県の稲嶺名護市長からは、「9月9日にはオスプレイ配備反対の県民大会で10万人が集まった。たとえ訴えが無視されるようなことがあっても運動を続けていく」というメッセージ。普天間飛行場で抗議の座り込みを続ける普天間爆音訴訟団からも連帯のメッセージがあり、岩国(本土)と沖縄の協力が強調された。
集会中、翌10月1日に米軍がオスプレイを普天間飛行場へ飛行させるという情報が入り、参加者からも「許せない!」「オスプレイをアメリカに返せ!」「明日の朝に(岩国)基地まで抗議に行こう!」と反対の声が一段と高まった。
集会には岩国市の内外から1200人が参加した。最後に、同機の沖縄配備中止と日本での飛行訓練中止を日米両政府に求める緊急声明『試験飛行中止と配備撤回を求める緊急声明』を採択。参加者はオスプレイのモノクロ写真に赤い×印を記したプラカードを高く掲げて、抗議の意思を表した。その後、参加者は市役所前からJR岩国駅までデモ行進した。
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