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2012/10/4更新

【沖縄】反戦地主・知花昌一さんインタビュー

10万人集会でも変わらないのなら想定外のことをやるしかない

「日米政府の『想定外』のことをやるしかない」─元読谷村議で、反戦地主でもあり、現在は浄土真宗の僧侶として、平和や基地問題に取り組む知花昌一さんは、オスプレイ配備を目前にした沖縄の反基地運動の人々の思いを、そう表現した。

9月9日の「オスプレイ配備に反対する沖縄県民大会」も10万人余が集まったが、日米両政府はオスプレイ配備の方針を、いささかも変えようとはしていない。知花さんは、そうした「沖縄への構造的差別」を、行動をもって指摘し続けてきた。県民大会の前日8日にお話をうかがった。(編集部 一ノ瀬)

──知花さんは、学生時代に復帰闘争に参加されたそうですが、今年は、本土「復帰」から40周年を迎えます。

知花…私は、現在の沖縄について、「第4の琉球処分」(注@)がなされようとしている、と思っています。今回のオスプレイ配備もその一環ですし、普天間の辺野古移設もそうです。2010年5月、鳩山首相は「日米安全保障協議委員会共同発表」で、普天間飛行場を06年の日米合意に沿って辺野古に移設する方針で日米両政府が同意した、と発表しました。そして今、日本政府はオスプレイを、無理矢理配備しようとしています。県民大会後の9月11日には、森本防衛相が沖縄県知事と会談します。丸め込もうという魂胆なのでしょう。しかし、これは沖縄差別に他なりません。

日本政府は、オスプレイを沖縄に持ってくる前に、本土の富士や岩国の基地に一時配備・運用することで、沖縄に安全性をアピールしようとしました。しかし、地元の反発からその「オスプレイ本土先行駐機」を断念しました。本土では断念しても、どうして沖縄へは配備を強行するのか。日米両政府の「沖縄県民の意思なんか関係ない」という構造的差別の表れであり、「ふざけてる」としか言いようがありません。

──明日の県民大会には、多くの人々が集まるでしょうね。

知花…復帰後、10万人規模の県民大会は4回目になります。こんなに多くの人々が集まって県民大会が持たれるのは、本土では考えられないと思います。私も、彫刻家・金城実さんたちとともに、参加します。金城さんは、伊江島から反基地運動を引っ張った阿波根昌鴻さんの木彫りの彫刻と、米兵の起こした交通事故で命を落とした海老原鉄平さん(当時19歳)の遺影を掲げ、彼らの思いを引っさげて会場入りします。

しかし、非常に残念なことですが、こうした意思表示も、日米両政府にとっては、「想定内」に過ぎません。つまり、県民大会をやり過ごしさえすれば、あとは粛々とオスプレイ配備を押し切ることしか考えてないのです。これまで、「集団自決」記述を削除させた文科省の教科書検定問題では、「見直し」こそしたものの、記述が元に戻ったわけではありません。日米地位協定を、変えることすらしませんでした。

──沖縄でも「運動への若者の参加が課題」と言われているそうですが…。

知花…確かに、平和・反基地運動に参加する若者は少ないです。学生なども最盛期に比べると、力がなくなってきました。若者の政治不信とか、政治離れなどと言われて久しいですね。この9月3日から5日まで、沖縄大学の学生たちが、基地問題やオスプレイ配備について語る「ゆんたく」(「おしゃべり」の意)の場を設けました。私も三線を弾いてきましたが、大学正門前にゆっくり話ができるように敷物を敷いて、「24時間、誰でも参加自由」の形で、いろんな学生や地域の人たちが集まって、それぞれの思いを語り合っていました。

若い人たちは、決して沈黙しているわけではありません。一般的に「若者の参加が課題」というのは確かにそのとおりですが、それは沖縄だけの話ではありませんし、私は、特に心配していません。

米軍が嫌がることを非暴力で

──本土での原発再稼働に対する抗議の声や、アラブの春や米・ウォールストリート占拠など、社会の不正義に対して立ち上がる人々の姿が印象的です。これらを、沖縄からどうご覧になりますか?

知花…これまで本土では、いろんな問題を自分のこととして考えてきませんでした。原発問題は、その象徴です。しかし3・11以降、政治や社会問題は、自分たちの生活自体に影響があることに、否応なしに気づいてきたのです。「日本の民主主義」を自分の問題として考えるきっかけになっているのでしょう。

──新たな基地負担やオスプレイ配備を拒む術はないのでしょうか?

知花…日米両政府の「想定外」のことをやるしかありません。作家の目取真俊さんも、「沖縄人は、過度の抵抗をしないように秩序を内面化させられている。超えるためには、想定外のことをやるしかない」と言っています。また、7日の「沖縄タイムス」に、イギリス出身の沖縄国際大学准教授の記事が載っていました。彼も「沖縄の人間はおとなしすぎる」と指摘しているのですが、「県民大会も重要だが、米軍の運用を妨げるものではない」「基地が嫌がることを、非暴力でやればいい」と語っています。

県民大会の後が正念場、本番なのです。いま、沖縄の反基地運動に携わってきた人たちの間では、座り込みやゲー ト前占拠など、オスプレイ配備をやめさせる非暴力抵抗をやる予定です。逮捕されても比較的生活に影響の少ない65歳から75歳の人々を中心に、行動が呼びかけられています。「留置場では規則正しい生活で、酒も飲めないから、健康になれるよ」と笑いながらも、「行動でも『No!』を示そう」という、断固とした決意でいます。

私はこれまで、沖縄国体での日の丸焼き捨てや、反戦地主として米軍基地内への立ち入りを求める運動など、自分なりの表現で反基地・平和の思いを表現してきました。

「法律は支配者の手段」であるわけですが、沖縄はこれ まで、それすら犯さずに抵抗運動をやってきました。でも結局、10万人規模の県民大会を繰り返しても、何ひとつ変わりませんでした。それでもオスプレイ配備や辺野古移設を強行するというのなら、民衆の最終的な抵抗がわき上がってくることになることでしょう。  

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