2012/10/4更新
9月1日、羽咋市(石川県)で志賀原発再稼働ストップアクションが行われた。羽咋市は志賀原発から30`圏内にある。志賀原発は、過去に臨界事故隠し、能登半島沖地震での損傷があり、かつ活断層が真下にある可能性が高い。
住民集会(羽咋市中央公民館)は、羽咋市・志賀町住民を中心に、風下にあたる氷見市、高岡市・富山市など富山県からも含め約200人が参加した。集会後、市役所前で座り込み闘争に入った。
集会のメインは、渡辺満久東洋大学教授の志賀原発活断層についての解析・説明であった。同教授は、原子力ムラの調査について、「都合の悪いデータを無視し、調べなければならないことを調べ ず、都合のいい資料を、都合よく解釈しているだけ」と厳しく批判した。
志賀原発は、2号機運転差し止め訴訟の第1審で、住民が勝訴している(2006年)。井戸謙一裁判長(当時)は、@北陸電力による想定地震動は甘すぎる、A想定を越える地震が発生した場合、多重防護が機能しない、B過酷事故が起こる具体的危険がある、と指摘した。
活断層見直し論議が高まるなか原子力安全保安院は、今年8月、活断層について新たな3分類を発表した。活断層を@主断層、A主断層の近くにある副断層、B副断層のみ、の3種類に分類し、さらに「弱面」という概念を突然打ち出したのである。安全保安院は、B副断層のみは「弱面」であって活断層ではなく、原発直下にあってもかまわない。志賀原発直下のS―1断層は「弱面」であるとしている。
ところが渡辺教授によると、@志賀原発の北に富来川南岸断層があり、海底に続いている、Aその海底地層の調査資料と、原発周辺の海岸の繰り返す隆起を付きあわせると、富来川南岸断層は、海底で海岸線に沿って南下しており、S─1断層はその近くにある。したがってB志賀原発はすぐに廃炉にするべきであると批判した。
次に、STOP再稼働現地アクションの長谷川初衣子さんが、大飯町・福井市での大飯原発再稼働阻止アクション、トンネル前での35時間の非暴力不服従の行動について、スライドと共に報告した。
長谷川さんは、@理不尽なことを強制する力に対しては、非暴力不服従の行動が必要、A原発立地地域の経済と暮らしを変えるため、原発に依存しない雇用、経済発展の必要性、Bドイツのように、脱原発を選択させるよう政治を変えよう!と訴えた。
最後に、命のネットワーク代表の多名賀哲也さんが、行動提起を行った。同ネットワークは、市長と議会に対し、@志賀原発の即時廃炉、A国が責任を持って活断層調査をすること。B30q圏内の自治体が原発稼働同意権限を有する安全協定を要求することを、申し入れている。
市議会は、審議未了を繰り返して、結論を出そうとしないので、住民は市役所前での座り込みを宣言。集会終了後、数十人が市役所前に移動し、テントを張って座り込んだ。
9月12日、羽咋市議会総務委員会は、請願3項目のうち、B「志賀原発再稼働に関する事前同意権を含む安全協定の実現」を採択した。このため「命のネットワーク」は、テントを一旦撤収。本会議での採択に向けて、新たな取り組みの準備に入っっている。
志賀原発再稼働阻止運動は、座り込み闘争によって新たな局面を開いた。今後も注目・支援したい。(T・H)