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2012/10/3更新

8/30中之島中央公会堂  

橋下炎上 震災ガレキ広域処理住民説明会

意見は聞くが、決めるのは俺だ!

「ヤメロ!ヤメロ!」―放射能汚染ガレキ処理に関する大阪住民説明会会場となった中之島中央公会堂は、8月30日夜、「橋下ヤメロ!」コールに包まれた。大阪市は、6月20日の幹部会議で震災ガレキの受け入れを正式決定。11月に試験焼却を実施し、来年2月に本格処理を始める。これに向けて8月30日、住民説明会が開かれたが、怒号が飛び交う大荒れの説明会となった。

橋下市長は冒頭、ガレキ処理の安全性と被災地支援を訴えたが、反対派の市民からは「安全なんていいかげんなことを言うな!」「被災者受け入れに本腰を入れろ!」などの野次が飛んだ。橋下市長は、世論調査で8割以上の支持率を誇る人気政治家であり、これほど厳しい批判に曝される場面は希有だった。国政へと手を伸ばす橋下市長にとってアキレス腱となる可能性を感じさせた。(編集部)  

野次と怒号の説明会

8月30日午後7時、会場の中央公会堂には市民約500人が入場した。橋下大阪市長は、来年度までに岩手県のガレキ3万6000トンを受け入れる方針を発表している。受け入れ対象は、放射性セシウム濃度が1キロあたり100ベクレル以下の可燃物。海路で大阪港に運び、臨海部の舞洲工場(此花区)で焼却する。焼却灰は大阪湾の人工島「夢洲(ゆめしま)」の北港処分地(同)に、セシウム吸着剤=ゼオライトを敷いた上で埋め立てる計画で、これまでに3回、近接する此花区民を対象に説明会を開催している。

この日の説明会は、橋下市長の挨拶から始まった。市長は、@岩手県知事からの要請、A専門委員会のお墨付きによる「安全」との評価を強調し、「ガレキによる放射線被曝は、日常生活で浴びる放射線に比べても著しく低い」として、受け入れへの理解を求めた。続いて松井府知事のありふれた挨拶の後に、環境省・市・府の担当者が、順番にがれき処理の必要性と安全性について、資料を示しながら説明した。

この間、会場からヤジが飛び交い、司会者が「口々の発言はおやめください」との警告を繰り返すなか、聞き取りにくい場面や中断がありながら、約30分の説明が終わった。

会場からのヤジと拍手は、質疑応答になって激しさを増した。最初の質問者は、埋め立て処分地に予定されている夢洲を実地見聞した結果をもとに質問した。同地は、地盤沈下が激しく、また護岸が波で削られており、セシウムが海に流れ出やすい実態を指摘。会場から大きな拍手がおきた。また、此花区在住の女性は、「医師から、健康被害が予想されるので此花区から出た方が良い、と言われた」と紹介した上で、「維新の会の政治宣伝のために市民の健康を犠牲にしないで欲しい」と結び、喝采を浴びた。

会場からの批判の頂点が、下地真樹さんの気迫のこもった反論だろう。下地氏は、「明らかなウソを聞き流すことはできない」として、環境省の主張を批判し、「安全」デマゴギーを事実をもって打ち砕いた。(要旨)

いらだつ橋下市長

ガレキ受け入れを危惧する質問者は、専門的知識をもった人も多く、事実を示しての質問で、会場からの拍手という後押しもあったが、論争としては完全に勝っていた。橋下市長をはじめとする政治家は「被災地支援」という情緒的な説得しかできず、環境省・府・市の官僚たちは、反対派の批判に対し、事実を示して再反論することができなかったため、データのごまかしや、論理のすり替えが暴露される結果となった。

橋下市長は、いらだちを隠せない様子で「皆さんの意見で市の方針を決めるのではない」「あなたたちの何倍もの市民が賛成している」などと述べた。

今回の説明会では、公務員バッシングで支持率を上げてきた橋下市長が、結局のところ環境省官僚が作り出したデータや専門家のお墨付きを根拠に政策を決めている従来型の政治家と何ら変わらないことが、明白となった。また、同市長は、「皆さんにきちんと説明をする。オープンな議論を」とメディアの前では語るが、実態は、入場者を厳重チェックしたうえで、「説明会は、決定する場ではない」と言い放ったように、「決定者は首長であり議会の意思」という、底の浅い橋下流民主主義の実態もわかった。同市中央区の主婦(59)は、「納得できる説明はなかった。結論ありきで、なぜ説明会を開いたか分からない」と話した。

ガレキ広域処理に反対する住民の多くは、被災地の子どもの保養プロジェクトなど、被災地支援を同時に実施している。域外避難を希望する被災者の受け入れに奔走する活動家も多い。決して、エゴイズムからガレキ受け入れに反対しているわけではない。反対派は、12月に市庁舎を包囲する抗議行動を予定している。

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