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2012/9/14更新

【現地ルポ】オスプレイ配備反対!強まる阻止行動(下)

辺野古   根強い反対運動と巻き返し謀る推進派

「基地被害は大きな問題です。でも私はね、そのことよりも、沖縄がアメリカの基地として戦争に荷担するのがつらいんです」─辺野古の座り込みテントに毎日、車で駆けつけているという平良悦美さん(78)はこう語る。

「ベトナム戦争の時、目の前で武器・弾薬が積まれて、B─52が飛び立っていきました。何もできない自分が悔しくて…。子どもと一緒に涙を流したことを覚えています」

平良さんは、2006〜07年、辺野古海域での事前調査に反対する非暴力直接行動でカヌーに乗った最高齢者だ。「最初は泳げないまま海に出ていたけど、作業船にひっくり返されているうちに、泳げるようになりましたよ」と笑う平良さん。沖縄から今もイラク・アフガンに米兵が派兵されている中、平良さんは、『戦争を許さない』という人間が、ここにいる、ということをハッキリと政府に示していきたい」と語ってくれた。

活発化する右派・推進派

辺野古のある名護市では、推進派の巻き返しが激しくなっている。沖縄の声は依然「辺野古に基地は作らせない」で、ブレることはない。結果として「辺野古の新基地建設は不可能」の声が米議会からも出てきている。新基地推進の動きは、本土からは見えにくくなっているのだが…。

防衛施設局の名護出張所は、辺野古高台の繁華街にある。遊びに来る米兵の姿で賑わっていた同地は今、新基地建設に向けて毎夜、施設局職員が飛び回っているという。

辺野古街中にも、基地推進派による横断幕が掲げられている。「辺野古漁港を不法占拠するテント村を応援する稲嶺進市長を許すな!」「日米安保破棄の工作をするプロ左翼はやまとに帰れ!」…。

8月8日には、名護市内で推進派の市民集会「辺野古区民の真実の声を全国に広げる市民集会」が開かれ、島袋吉和前名護市長、宮城安秀名護市議会議員が登壇している(参加者485人)。集会を呼びかけるビラには、こう書かれてある。

《辺野古区民は、…宜野湾市の危険性の除去を心から願い、そのために基地の代替地として受け入れを容認(条件付き)してきたのです。…しかし、マスコミはその思いを一切報道せず…情報操作が繰り返され、結果として、日本の安全保障を揺るがす大きな問題へと炎上させてしまいました》。

また、この集会に呼応するかのように、15日には東京・九段下において「救国! 沖縄支援集会in靖國─支那の侵略から尖閣・沖縄を守れ!尖閣はきっかけにすぎない、沖縄の主権を主張し始めた支那!」という集会が開かれ、初代沖縄防衛協会婦人部部長や前述の辺野古市民集会実行委員長などが訴えをおこなっている。

こうした右派勢力は、尖閣諸島での中国漁船衝突事件や与那国での自衛隊配備問題を契機に、沖縄でも目立った動きをとり始めている。最近の沖縄では、八重山「公民」教科書問題、自衛隊の与那国誘致問題、旧日本軍第32軍司令部壕の説明板問題(※注)などの事件が起こり、右翼メンバーが集会に参加し、軍隊の必要性などを訴えて「抗議」するケースもあるという。

8月4日には、「中国の脅威から尖閣・沖縄を守ろう実行委員会」の主催(幸福実現党などが協賛団体として参加)で、日の丸を掲げ、「オスプレイが中国の侵略から尖閣・沖縄を守る!」「Okinawa Welcomes Osprey!」を訴え、県民ひろば〜国際通りをデモしている。

推進派が起死回生狙う次期(2014年)名護市長選

こうした基地推進派にとって、基地反対派である稲嶺進・名護市長は、目障りな存在だ。2014年1月におこなわれる名護市長選挙で、基地反対派である稲嶺市長を追い落とすことを当面の目標としているようだ。市長選は実質、来年いっぱいで勝敗が決する。

9月3日付の「沖縄タイムス」インタビューで、自民党政調会長代理で元防衛庁長官の中谷元衆議院議員が、「政権に就けば、一日でも早く辺野古に移設されるように努める。特に名護市長に理解を得るため、次の市長選に向けた対応を進める」と答えており、「基地推進派」としての正体を露わにしている。

推進派は、8月5日に予定されていたオスプレイ配備に反対する沖縄県民大会に対しても、沖縄各地で街宣車を回し、「左翼が牛耳っている県民大会には参加しないようにしましょう」「尖閣への中国侵略を許すな」「オスプレイは安全」とのテープに吹き込んだスローガンを流した。

こうした動きは、一部であるとはいえ、決して無視することはできない。県民大会が予定されていた5日には、民主党の前原政調会長が沖縄入りし、仲井眞県知事と非公式会談をおこなっている。普天間移設やオスプレイ配備の話は出なかったというが、多くの人々の間で、「密約が交わされたのではないか? 」との疑惑が囁かれている。

前原は、辺野古移設容認派の名護前市長や名護市議、財界人とも会っている。辺野古新基地建設案は、消えることなく、くすぶり続けている。

基地反対派の間では、「オスプレイ配備の動きと合わせて、警戒が必要」との声が上がっている。辺野古移設の動きは、まだまだ紆余曲折があるようだ。

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