2012/8/30更新
「もし東村村長が『ヘリパッド建設反対』を明言してくれたら、工事を止めるすごく大きな力になるよ」─8月7日午後、東村役場で、「基地の県内移設に反対する県民会議」、地元・高江の「ヘリパッドいらない住民の会」と東村の伊集村長との交渉が持たれた。住民の会の人たちは、交渉への期待をそう語った。
▲米軍車両は北部訓練場から毎日ひんぱんに出入りする
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しかし、住民の会の期待は裏切られた。交渉の席で伊集村長は、「安全性の確保ができない限り、沖縄へのオスプレイ配備および北部訓練場(東村高江にある)での運用は反対する」と言いながらも、「今回のヘリパッド工事は、オスプレイのみを対象としたものとは考えていない。ヘリパッド建設で北部訓練場の過半が返還され、基地の整理縮小につながる」として、建設工事容認の態度を変えなかった。
東村高江では、ヘリパッドの建設が強行されようとしている。沖縄県議会をはじめ、沖縄県内のすべての市町村議会がオスプレイ配備に対する反対決議を上げているにもかかわらず、ここ高江での建設工事が中止される気配はない。民主党・野田政権が沖縄へのオスプレイ配備を決定し、早ければ9月中旬にも普天間飛行場への配備が強行される予定になっている。
現在、高江での建設工事を請け負っているのは、大米建設という、沖縄1区選出の衆院議員・下地幹郎氏(国民新党)の兄・下地米蔵氏が社長を務めるファミリー企業だ。大米建設は、基地建設で成長し、沖縄防衛局発注工事の請負額上位企業ランキング上位に名前を連ねる(08年9月期〜09年8月期では3件、8億9000万円で第2位/左表参照)。下地米蔵社長は、沖縄県建設業協会の会長も務めている。
今までの工事会社とくらべて、この大米建設の工事のやり方や座り込み住民や支援者に対する態度が「悪い」と評判になっているそうだ。
「住民の会」の申し入れで、防衛施設局との間で早朝や夜間の工事はおこなわない、という取り決めがされていたにもかかわらず、この大米建設は、座り込みが手薄な夜6時半や朝7時半にやってきて、建設現場内に重機を搬入。建設工事にとっては、大きく「前進」することになった。
工事現場でも、ゲート前で座り込みをしている人々の頭越しに砂利を搬入するなど、安全を無視した工事強行をはかろうとしている。
7月の工事の時目立ったのは、これまでどちらかというと中立的立場を保ってきた名護警察署員が、「威力業務妨害」を口実に住民・支援者を排除するようになったこと。
支援者の一人は「2007年の座り込み当初からいるが、初めて強制的にどかされた。公道以外で座り込む人もどかしていて、防衛局と結託しているとしか思えない」と語った。
もう一つ問題なのは、防衛局職員や作業員が座り込みで入れないゲート前を避けて、北部訓練場のメインゲートから工事現場に入っていること。防衛局は昨年まで「工事では北部訓練場のメインゲートを使用しない」と言っていたが、工事が本格的に再開された7月以降、同ゲートから重機などが搬入されている。
7月の工事の時、防衛局が道路使用許可を取っていないN4ゲートの南側ゲート地点から土砂を搬入しようとしたため、「住民の会」は「南側ゲートは道路使用許可を取っていないので作業はできない」と抗議し、工事の中止を求めた。防衛局側は「結局は 許可を取っている地点とつながっているから問題はない」等と強弁していたが、さすがにこうした詭弁は通用せず、しばらく工事の動きがストップした。
「オスプレイ配備まで時間がない焦りが、こうした強硬姿勢を取らせているのでしょう。ただ沖縄のマスコミはこうした動きをきちんと報道するため、県民から防衛局などへの抗議の声が大きくなっています」(富田さん)。
沖縄県議会も含め、県内の全41市町村議会が、オスプレイ配備への反対・撤回を求める意見書や決議を可決した。しかし、北部訓練場を抱える東村村長は、事実上オスプレイ工事を容認している。
ヘリパッド建設工事は、防衛局と大米建設の協力の下、8月も工事が強行されている。オスプレイを沖縄の空に飛ばさないための闘いは、まだ続く。
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