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2012/7/26更新

パレスチナ人の職を奪い、尊厳を破壊する

パレスチナ人の経済活動を破壊食料援助に依存する生活を強制

シル・ヘヴェル(AIC)

シオニズム運動はパレスチナの植民地化のためにいろいろな方法を使ってきたが、内在する基本的矛盾がある。それは、拡張主義と民族的純血主義の間の緊張関係だ。シオニスト諸政党がイスラエルの政治的地図を決定するが、彼らはユダヤ人国家という点では一致しているものの、そのユダヤ人国家が非ユダヤ人国民に課する制限の程度とか、 その国家の最終的国境については、意見が様々である。

 イスラエル内パレスチナ人

土地の日

和平交渉を止め大衆蜂起による解放を!

マルワン・バルグーチ   獄中メッセージ

恒例の「土地の日」抗議行事を前にして、イスラエル獄中からマルワン・バルグーチが占領地パレスチナ人向け声明を出した。彼は第一インティファーダで躍り出た西岸地区育ちの活動家で、ファタハの青年組織タンジムの指導者。

このインティファーダを契機に、運動の主体が外国に本部を置くPLO各派から占領地のパレスチナ住民に移った。このインティファーダの影響で、オスロー合意が成立、PLOが帰国、自治政府が成立した。

オスロー合意の欺瞞性が露呈してそれが崩れると、バルグーチは逮捕され、5回の終身刑を言い渡された。インティファーダでカリスマ性を発揮、住民はもとよりパレスチナ各派から尊敬を集めた。ハマスも、捕虜にした

イスラエル兵ギラド・シャリトとパレスチナ人囚人との捕虜交換の第一候補にバルグーチを挙げたが、イスラエルは拒否した。次代PLO議長と言われている。

経済が閉塞状態、アッバス外交が頓挫・停滞、「和平」交渉の欺瞞性が暴露、大衆の不満のくすぶり、行政拘留されたパレスチナ人のハンスト闘争、米国黒人の運動を真似た住民のユダヤ人専用バスへの「フリーライド」運動、BDS運動の世界的広がり、そしてその中でイスラエル当局が「今年はインティファーダが起きない」と予測する状況の中で、長い沈黙を破って獄中声明を出したのである。彼は二国解決論者で、オスロー合意、キャンプ・デービッド頂上会談、国連陳情らの不毛性の中から、原則へ戻ろうという「一国解決案」がパレスチナ人の間に広まりつつあるが、それは彼の声明の中に反映されていない。

以下、ラマラで朗読された声明の内容をまとめると、

@ アラブの春の精神に基づく大衆蜂起(第3インティファーダ)の呼びかけ。これは、イスラエル軍との協力を通じて問題解決をはかるアッバス政権の全面批判である。

A イスラエル軍との協力関係の廃止。パレスチナ保安隊は米CIAの訓練を受け、占領軍と共同で治安を維持しているが、これは結局、占領軍と入植地を保護し、それに抗議するパレスチナ人を抑圧するだけである。

B イスラエルのボイコット。占領地からイスラエル商品を一掃し、パレスチナ産品に置き換える。世界的にはBDSを推進する。

C いわゆる「和平交渉」を一切やめること。平和活動家アヴネリによると、そもそもイスラエルには「和平交渉」という言葉は存在せず、「政治的プロセス」と呼ばれているそうだ。欺瞞と偽善の代名詞にすぎない。

D アッバス政府はジュネーブの国連人権委員会から入植地の実態調査を勝ち取ったことを誇っているが、バルグーチはもっと思い切った対国連活動をやろうと提案。まず安保理に国家承認を求め、米国の拒否権を引き出して、世界にその反動性を明らかさせよ。次いで、支持国が多い総会へ国家承認決議を持ち込め。総会決定は拘束力がないけれども、イスラエルを国際的に孤立させる効果がある。

 内部的には各派の結束を訴えたが、イスラエルの平和勢力や野党に依存または協力する運動には一切の言及がなかった。

パレスチナ系のイスラエル国民は全体の約20%だが、もっとパーセンテージが大きかった1948年〜66年は、軍支配下に置かれていた。

政府がユダヤ人国民に対し、パレスチナ人国民からモノを買ったり、パレスチナ人国民を雇用することを禁止したため、パレスチナ人労働の利用と搾取は僅かだった。パレスチナ人は土地を取られたうえに、イスラエル経済への参入も許されなかった。

この軍支配は1966年に終わり、名目上は普通のイスラエル国民と同じように自由に国内を移動できるようになったが、実態として彼らの経済的疎外は続いた。雇用されるようになったが、賃金はユダヤ人の半分、彼ら独自の産業開発は許可されず、生活インフラは貧弱なまま放置され、パレスチナ系住民のための教育や健康に関する国家予算は非常に少ない。

イスラエル中央銀行などエコノミストの多くは、「パレスチナ系住民の経済的疎外状況は、イスラエル経済にとって非生産的。人口の5分の1を占める労働力を活用しないことは、イスラエル経済の潜在的力を発展させることができない」と言っている。

しかしイスラエル政府は、今もパレスチナ系住民に敵対的で、差別、抑圧、脅迫、疎外がどんどん厳しくなっている。政府の政策や予算配分は、ユダヤ人との格差と不平等を助長している。

 占領地のパレスチナ人

占領地ではもっと露骨である。イスラエル政府の特別許可がない限り出ることができない檻に閉じこめられているうえに、居住地の周囲を入植地や立ち入り禁止の道路に囲まれている。しかも、検問所や軍の巡視などの監視システムに支配されている状況は、かつての南アフリカのアパルトヘイトと同じである。

イスラエル人、とりわけ入植者が、地元住民パレスチナ人に対し特権を振り回すので、パレスチナ経済は窒息状態である。イスラエル政府の特別許可がない限り、パレスチナ人は、原材料や機械などを輸入できないし、生産物の移動(イスラエルへの輸出ばかりでなく、占

領地内の移動も)もできない。輸出入の管理はすべてイスラエルが行い、占領地への輸入物資の関税もイスラエルが徴収する。

徴収した関税は、後でパレスチナ自治政府へ移転する建前となっているが、そのまま差し押さえることが多い。イスラエル人企業は占領地で自由に経済活動できるのに、パレスチナ人は自由に働くこと、商売すること、一般に生活維持のための行動すら制限されている。

ガザは完全封鎖され、多くの人々は国際社会からの食料援助に依存する生活を余儀なくされている。イスラエルは、ガザのパレスチナ人から生活を奪ったばかりでなく、尊厳も奪ったのだ。

 ウェアハウジング(蔵入れ)

イスラエルの政策と南アのアパルトヘイト政策を比較する研究者は、両者の最大の違いは、南アでは黒人は労働者階級として南ア経済に組み込まれ、彼らの労働を搾取することがアパルトヘイト制度の重要要素であったのに対し、パレスチナでは、イスラエル政府はパレスチナ人を経済から疎外する分離政策を推進している、と指摘する。

 これが一番明瞭なのはガザ回廊で、イスラエルはガザ経済を搾取する力があるにもかかわらず、ガザを封じ込めて切り離し、巨大な野外監獄にしてしまった。この政策は西岸地区にも適用され、分離壁や入植者専用道路や検問所でパレスチナ人居住地を分断・孤立させ、国際社会の食料援助に依存しないと生活できない状態に追い込んでいる。

「パレスチナ人家屋破壊に反対するイスラエル委員会」のジェフ・ハルパーは、この政策を「ウェアハウジング」と呼び、イスラエルはそれを「好ましからざる人々を効果的に隔離するテクノロジー開発」として他国へ輸出している、と指摘している。ウェアハウジングは、世界の保守・反動的な国々(それらの国はイスラエル支持国でもある)にとって魅力のある政策である。彼らはそれを移民労働者、難民、民族的少数派、そして場合によっては社会的反対派を封じ込める方法として採用したがっている。

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