人民新聞オンライン

タイトル 人民新聞ロゴ 最新版 1部150円 購読料半年間3,000円 郵便振替口座 00950-4-88555┃購読申込・問合せはこちらまで┃人民新聞社┃TEL (06) 6572-9440 FAX (06) 6572-9441┃Mailto:people★jimmin.com (★をアットマークに)
HOME社会原発問題反貧困編集一言政治海外情報投書コラムサイトについてリンク過去記事

2012/7/26更新

「電気が足りない」はヤッパリウソだった

大飯原発フル稼働と同時に火力発電所8基停止!?

電力余剰で火力発電停止!−関電京都支店広報が明かす

関西電力は、大飯原発再稼働以降も計画停電の可能性があるとして、「計画停電のお知らせ」なるハガキを全戸に送りつけ、「原発か、停電か?」という虚構の選択を迫っている。ところが大飯原発3号機がフル稼働に達した9日、火力発電所8基(計384万kW)を停止させていた。

しかも停止の理由は、「9日の電力使用率は85%で、15%の余裕があることから、コストの高い火力発電の一部を停止した」というのだ。火力発電所運転停止は、原発再稼働により電力に余りがあるため─と関電京都支店の総務・広報グループの担当者自身が発言している。

京都民報WEB版によると、京都自治労連(池田豊委員長)が火力発電の停止について問い糺したのに対し、関電京都支店は、「電力需要に合わせて停止したもので、原発再稼働を受けて停止したものもある」と発言したという。

関西電力は、大飯原発再稼働と引き替えにコストのかかる火力発電所を計画的に止めている。当初は、2基の予定だったが、徐々に停止数を拡大。7月6日は、6基の石油火力発電所を止めた(日経新聞)。6基の発電量は、約300万kWで、原発3基分に相当する。計画的に止めている石油火力はいつでも再稼働できるが、日々の供給力からは差し引かれる。結果として電力使用率は高めの数字になっているが、潜在的な供給力はかなり余裕があることになる。

不良債権先送りのための再稼働

日本で最も原発依存度の高い関西電力は、原子力以外の発電設備への投資をさぼり続けてきた。周辺電力会社から電力を買い付けてそれを転売する、あるいは減価償却が終わった老朽原発の稼働を寿命以上に引き延ばし、安全対策投資を削減してローコスト・ハイリスク発電を続けてきたのである。

このため関電管内の火力は老朽化した石油火力が多く、最新鋭の天然ガス火力などと比べて効率が悪く、コスト高なのである。関電は火力を止めて、ラニングコストの低い原発に切り替えることで、利益を生み出そうとしているのである。

つまり、原発再稼働問題は、電力供給の安定性の問題でもなく、電力コストの多寡や電力供給効率性の問題でもなく、いわんや安全性が確保されているからでは全くない。ただ単純に関西電力をはじめとする電力会社の経営問題なのである。

電力会社経営陣にとって原発再稼働は、原発が不良債権でないことの証拠にするという目的もある。これまで巨大資産であった原発を止めると、ただちに不良債権となり、償却・廃炉費用が必要となる。ところが、減価償却費も廃炉引当金も不十分で、巨額の損失が一気に出る。そうなると、関西電力は経営破綻に突き進む。つまり不良債権の先送りのために原発を再稼働しようとしているのだ。この事情は、東京電力やその他の電力会社も同じである。

原発は、ウソと誤魔化しなしでは動かないことが、また明らかになった。電力需給逼迫のウソを暴露し、東京電力およびその関係者(原子力安全保安院等)の、刑事責任を徹底して追及することが、公正でウソのない社会への一歩となる。(編集部・山田)

6・27関西電力株主総会レポートA

原発依存こそが赤字の元凶

関電株主行動の会

前号に続いて、関電株主総会での反原発派株主提案を紹介する。今回は、「関電株主行動の会」。経営悪化の原因を原発停止に求める取締役会の見解を厳しく批判し、原発の隠れた巨大コストを指摘している。なかでも使用済み核燃料の再処理からの撤退は、経営上からも必要との主張は説得力がある。(文責・編集部)

取締役会は、財務体質悪化の原因について、原発停止に伴う火力燃料費増大と説明しているが、原発が止まっていてもかかり続けている巨額費用の説明がない。

原発は、燃料費以外に再処理費用・廃棄物処理費・高レベル処理費・原発解体費・損害賠償費など、運転が止まっていてもかかり続ける費用があり、燃料費よりもはるかに大きい。運転しなくてもかかり続けるこれらの原発コストが、収支を悪化させている。

特に使用済み核燃料再処理は、技術も未開発で、再処理できていない。にもかかわらず関電は、毎年1400億円を積み立て、うち600億円を日本原撚に「再処理費用」として支払い続けている。常識では考えられないことだ。原子力村への寄付金・電事連の会費なども情報公開されていない。

巨額な建設費のかかる原発は、多額な借入金が必要なうえ、以上のような費用が発生している。つまり、原発が経営の負担になっている。原発に見切りをつける決断が、経営立て直しには必要だ。原発停止を理由にした電気代値上げなど、あってはならない。わずか40年の運転で10万年もの管理が必要な廃棄物を出す原発を作り続ける取締役たちは、原発ストーカーだ。目を覚ませ!

核燃再処理から撤退を

高レベル放射能廃棄物(ガラス固化体)は、1本で広島原爆30発分の放射能を含んでいる。人が側に寄ると20秒で即死する。仏・英より返還されたガラス固化体は、1414本。うち関電分は642本で、広島原爆約2万発分の不良資産を所有していることになる。 処分方法は開発されておらず、処分地も決まっていない。後始末できないものを生み出し続ける関電の無責任さは、糾弾されるべきだ。

再処理工場は、1993年に着工し、97年に完成予定だったが、何度も延期され、今年10月の本格稼働も延期になるだろう。建設費は当初7600億円だったが、2006年時点で2兆1930億円。約3倍に脹れあがっている。

再処理工場は、動かなくても年間1100億円の費用がかかり続けており、これまで1兆円以上の金を無駄にしたことになる。関電は、株価が下がり続け、経営破綻も危惧されている。どこに再処理を続ける余裕があるのか?再処理を止められない理由は1つだけだ。六ヶ所村にある使用済み核燃料プールの使用率は97%となり、持って行き場がないからである。

安全性・経済性から見て全くメリットのない再処理からの撤退を提案する。

緊張感ある株主提案と馴れ合い記者質問

今回の株主総会で脱原発を主張する株主は、説明時間を3分に制限されながらも、様々な観点から原発の問題点を鋭く指摘した。原発依存を高めてきたために今期の赤字を招いた、という経営的観点からもあれば、廃棄物処理に関わる膨大なコスト・技術的困難性を指摘する提案、さらに経営情報公開を求める提案もあった。とりわけ福島在住株主からの「東電の二の舞にならないでほしい」と、再稼働断念を求めた提案には、推進派株主も黙り込んだ。ところが、総会後の社長記者会見での質問は、総会発言を確認する以上のものは皆無、全くの期待はずれだった。

どうしてこんなつまらない記者会見になってしまうのか?元記者に聞いた。曰く、株主総会の記事は、社会部ではなく経済部が書く。彼(女)らは、日頃から財界・会社経営者とのつき合いのなかから記事を書いているので、マインドも思考も財界モードになっている。経済部記者自身が財界とある種一体化し、原発推進に傾いているのだ。

さらに、記者会見で関電社長を慌てさせるような質問をして嫌われると、後々、取材がし辛くなるという思惑もある、とのことだった。これが、経済部記者が財界のマインドと思考を伝える媒体となってゆくカラクリだ。これでは緊張感のある記者会見になるはずがない。

元記者は、「関電がいよいよ危ないという状況になれば、鋭い質問を浴びせるようになるだろう」とも付け加えた。大人のつき合いはするが、水に落ちた犬は打つ、ということなのだろう。(山田)

HOME社会原発問題反貧困編集一言政治海外情報投書コラムサイトについてリンク過去記事
人民新聞社 本社 〒552-0023 大阪市港区港晴3-3-18 2F
TEL (06) 6572-9440 FAX (06) 6572-9441 Mailto:people★jimmin.com (★をアットマークに)
Copyright Jimmin Shimbun. All Rights Reserved.