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2012/7/12更新

【特集】福井・東京で「大飯再稼働決定」への抗議行動!  6/17報告

未来を残すために

「再稼働反対!」─時おり小雨もぱらつく中、福井市中央公園に集まった2200人の声が響き渡った。

6月17日、「いのちが大事今なぜ再稼働?ふくいでつながろう」集会が行われた。集会前日(16日)、西川福井県知事が野田首相と会談。大飯原発再稼働同意を表明した。これを受け、野田首相は「再稼働を政府の最終的判断とする」と、再稼働を正式に明言した。集会は張りつめた空気の中、再稼働決定に抗議する、熱気のこもったものとなった。(編集部一ノ瀬)

「ノーモア・フクシマ」「再稼働反対!」

会場の福井市中央公園は、全国各地から駆けつけた人たちで、続々と埋め尽くされていった。6月3日の集会と比べると、若い参加者が目立っている。地元・福井はもちろんのこと、関西、福島、東海、関東、九州から、様々な団体・個人が集まった。

「西川知事の再稼働同意は、県民の総意ではない」(集会実行委員長・石地優さん)、「巨大で傲慢な原子力村を相手に、私たちは福井でつながることができた。ビッグピン チ(大危機)は、ビッグチャンスだ」(中嶌哲演さん)、「再稼働には正当性もない。合理性もない。われわれが頑張ることによって、未来を残すことができる」(鎌田慧さん)、「推進派は、大飯原発は福井原発とはタイプが違うと言っている。しかし、大飯の原子炉は、かつて米国で事故を起こしたスリーマイル原発と同じタイプのものだ。福島よりメルトダウンを起こしやすい。やはり、原発はないのが一番です」(元京都大学原子炉実験所講師・小林圭二さん)。

連日、数万人の波

ライブの様な熱気

報告=遙矢当

6月15日。東京で、毎週金曜日に行われている官邸前の抗議行動に参加した。参加者は、夕暮れ時の首相官邸と国会議事堂を目の前に、ありったけの思いと声を出し尽くして大飯原発再稼働に反対する思いをぶつけている。

6時に到着すると、すでに2000人を超えようかという長蛇の列が、東京メトロ国会議事堂駅前を取り囲んでいた。アクションとスローガンはいたってシンプル。「大飯原発の再稼働反対!」だ。

参加者は、日が暮れるにしたがってどんどん増える。ツイッターを携帯でのぞくと、あっという間にタイムラインは「国会前着なう」で一色。ネット上でも、仲間の存在を感じながら、抗議行動は後押しを受けているようだ。「三宅雪子議員がいるなどの情報も流れたが、見渡す限りの人の群れで、誰がどこにいるのかわからなくなる勢いだ。

抗議行動開始から30分。岩上安身さん(フリージャーナリスト)によると、参加者が7000人を越えたとの速報。集まる人数に比例してさらに大きくなる「再稼働反対」のシュプレヒコール。腹に響く力強い音だ。

集まる人は本当に多様だ。経産省前テント村のメンバーをはじめ、民族派右翼メンバー、日ごろはアクションに参加しなくとも、「脱原発」の思いだけで参加する子ども連れの主婦、サラリーマン、学生など。官邸前は、野外コンサートかライブハウスのような熱気に包まれて、見物に来た人をも巻き込んでいく不思議な力を帯びていった。説得力のあるアクションだと、改めて思わされた。

「ついに参加者は1万人を超えました」のアナウンスが流れた。「これだけ官邸前で熱を帯びた市民の声が広がっているのに、なぜメディアは報道しないのか!」―私は声を張り上げながらも、マスメディアへの怒りも感じていた。「報道ステーション」の古舘伊知郎氏や、「NEWS23」の膳場貴子氏など、原発を語りながら、なぜこの市民の熱気を報道できないのか。この日の行動は、永田町や霞ヶ関ばかりで市民の動きに無関心な、閉塞感の強いメディアとも闘うアクションともなった。

大飯原発は、野田政権が「再稼働決定」をしたとはいえ、原子炉はまだ動いていない。再稼働の阻止は可能だ。あきらめるのはまだ早い。首都圏の方は、ぜひ首相官邸前へ足を運んでほしい。そこには多くの仲間がいて、きっと勇気づけられるはずだ。

85人の「1分間アピール」

今回の集会は、主催者・来賓だけではなく、「1分アピール」で様々な人がマイクを握った(85人がアピール)。

原発銀座・若狭出身の若者が語る、故郷や原発で働く親戚・友人への思い。若きミュージシャンが音楽にのせた「原発反対」の叫び。経産省・首相官邸前で、継続して取り組まれてきた抗議行動や座り込みの報告。おおい町・福井県への働きかけの報告。伊方・浜岡原発など、各地の反原発 運動の報告と、福井への連帯のあいさつ、などだ。

とりわけ印象的だったのは、おおい町での住民への地道な働きかけの報告だろう。おおい町住民の「もし大飯が再稼働されることになっても、私たちを見捨てないでください」という声が紹介された。福島から避難した人

の「ノーモア・フクシマ!」の叫び。「原発銀座」福井で原発差し止め訴訟への原告募集の呼びかけ。「原発のような恐ろしいものの上にしか成り立たない経済なんていらない!」と訴える若者…。それぞれが自分の言葉で、「再稼働反対」「脱原発」をアピールしていた。

集会後は、アピールしながら、福井県庁周辺を包囲するようにデモ行進。日曜の官庁街は人が少なかったものの、鳴り物や「再稼働反対!」のシュプレヒコールが福井市内に響き渡った。

再稼働に向けての攻防は、山場を迎えている。6月27日、関西電力の株主総会が予定されている。再稼働反対派は、会場のある大阪・茶屋町を占拠しようとしている。一方、関電と政府は、再稼働強行の方針を変えようとしない。「原子力村」という敵は巨大だが、「再稼働阻止」に向けた闘いは、これからも決して諦めることなく続けられるだろう。

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