2012/6/14更新
5月25日、クレオ大阪東(大阪市城東区)で「原発あかん・橋下いらん・弾圧やめて! 5・25『鎌田慧講演会』が行われた(主催・「5・25」実行委員会)。
この講演会のテーマは、集会名にあるとおり、@反原発、A反橋下、B反弾圧、の3つ。Bの反弾圧というのは、福島各地でボランティア活動に入っていた古河潤一さん(ヘルパー)への不当逮捕だ。この弾圧は、古河さんが使っていた車が他人名義だったとして、兵庫県警が「電磁的公正証書原本不実記載・同供用」で、2月27日に逮捕・拘留したもの。
鎌田慧さんの講演「汚染列島からの脱却〜原発ファシズムを超えて〜」を要約して紹介する。 (文責・編集部一ノ瀬)
マスコミの世論調査によれば、原発について8割以上の人が、「原発イヤだ」の思いでいる。5月5日に全国50基の原発が止まって、ようやく安堵できる状況ではある。しかし、福島第一原発では、溶けた燃料棒がどこにあるのか判らないし、停止しているけどいつ暴発するか判らない、極めて不安定で危険な状態にある。福島第一原発事故がまだ収束していないというのに、政府はまだ「原発推進」を口にしている。このことは、危機的状況に他ならない。
飛行機で北海道から東京に飛ぶと、その空路の両側に原発がある。日本の原発の半分近くある。経産省は、人口密度の少ないところでないと、原発建設を許可しない。「周辺公衆との離隔の確保」という条件なのだが、これはそもそも、原発の危険性を認めていることに他ならない。そして、歴然たる差別だ。
私は、40年ほど前に美浜原発を訪れたことがあるが、民宿から500bしか離れていなかった。その夜、恐怖で眠れなかったことを覚えている。原発は、多くの虚構の上に成り立っている。ゆえに、その原発を正当化する理由は、時代の状況によって変わってきた。「未来のエネルギー」「石油が枯渇するから」「エネルギー自給のため」「CO2を出さないクリーンなエネルギー」等々…。
私は、原発が嫌いだ。それは「危険」というだけではなく、原発を推進するやり方が汚いからだ。金にあかせた買収で、人心を退廃させている。原発関連工事に伴うゼネコンの期待は大きいものがあるし、地方自治体首長と電力会社との癒着もこれまで問題になってきた。最近でも、おおい町長の弟の建設会社が原発関連工事を受注していたことが明るみにでた。
原発を受け入れた自治体に対する電力会社の「見返り」もある。東電は、福島に「Jヴィレッジ」を130億円かけて建設したし、関西電力も大阪市立科学館の建設・改装費として、大阪市に約72億円を寄付している。そうした寄付の事例は数え切れないほどあり、電力会社の役員は、寄付した団体に天下る。
立地候補地では、電力会社が地元住民を「視察」名目で接待旅行に連れ回している。原発は、北海道から鹿児島まであるから、そこを訪れて旅館で「飲めや歌えや」をくり返すのだ。
また、原発建設を受け入れれば、電源3法交付金によって、20年間にわたって電源立地地域対策交付金が545億円、固定資産税が348億円、合計約893億円ものお金が落ちる。その後も、固定資産税や核燃料税などによって税収が入り、嫌でも「原発依存」体質にされてしまう。
東日本大震災が起こったとき、東電の勝俣会長と皷副社長は、マスコミ関係者を引き連れて、中国旅行に行っていた。接待旅行だと言われている。また、マスコミ媒体への電力会社からの広告費は莫大だ。こうしてマスコミも、原子力村の一員として取り込まれ、「原発推進」の旗を振ってきた。
本来政府は、電力会社をチェックすべき存在だ。しかし政府は、企業と一体化して原発を推進してきた。そういったことが、この40年来ずっと続けられてきたのだ。そして私たちは、無関心ゆえにこうした不正を許してきてしまった。
原発をめぐるこうした状況は、まさに日本社会の暗部だ。怒りをもって、原子力政策を変えよう。一刻も早く原発を止めて、廃炉に向かおう。その向こうに希望がある。
7月16日に開催する「さようなら原発10万人代々木公園10万人集会」に、多くの皆さんの参加を呼びかける。
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