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2012/5/9更新

【特集】 大飯原発(福井)を再稼働させるな!

「大飯原発再稼働反対!」「枝野は、帰れ!」「住民の声を聞け!」―福井県庁正面玄関で、スローガンと怒号が飛び交った。4月14日、枝野経産相が県庁を訪問。西川福井県知事と時岡忍おおい町長に、暫定安全基準による審査結果を伝え、再稼働に向け地元了解を得るという重要なステップを開始した。

枝野の福井訪問日程は、2転3転し、前日の深夜に決まるという慌ただしさだった。北朝鮮のミサイル発射があったとはいえ、再稼働への反対運動が激しさを増すなか、野田政権としても慎重に判断せざるを得なかった。

訪問予定日の14日午後、福井県庁前には再稼働に反対する活動家ら約300名が集結。地元で反対運動を続ける住民グループと共に、枝野の福井県訪問阻止行動を展開した。編集部は、大阪・京都から抗議行動バスに乗り込み、枝野撃退抗議行動に同行取材した。福井県庁前抗議行動の模様をレポートする。(編集部・山田)

枝野経産相の福井県庁訪問阻止行動

県庁正門にピケットライン

枝野裏口からこっそり入庁

枝野の福井県庁到着は3時半頃と発表されていたため、抗議者たちは、午後2時頃から三々五々、正門前に集まり始めた。若者によるドラムグループが演奏を始めると踊り出す人も現れ、ノリのいい「原発反対」のスローガンが鳴り響いた。

福井県庁は、城郭跡に建設されているため、石垣で作られた堀の内側にある。県庁に入る通路は3つの橋しかなかったため、ほとんどの抗議者は正門にピケを張って、枝野の入庁を阻止する構えをとった。

3時過ぎ、黒塗りの護衛車に先導されたワゴンが、裏門から庁舎に滑り込んだ。枝野は、正門を避け裏門からこっそり入らざるを得なかった。裏門にいた抗議者たちは、「再稼働反対」のプラカードを掲げて抗議したが、主力は正面入口のためこれが精一杯。

3時半前、枝野一行が裏門から入庁したと知らされると、正門前でピケを張っていた抗議者たちは、「枝野は帰れ!」のシュプレヒコールを繰り返した後に、橋を渡って庁舎玄関前へ移動。枝野が入庁した県庁ビルに向かって「再稼働反対!」「住民の健康を守れ!」などのシュプレヒコールを叫んだ。

県側はこの日、ガードマンと多数の警察官を配備して、抗議者を完全にロックアウトしていた。庁舎前も芝生にロープを張って、玄関への立入を禁止したうえに、玄関口は数十人の機動隊と職員で固めるという物々しさ。

抗議者たちは一旦、芝生に張られたロープ前で抗議集会を始めたが、県職員が退去を命令した上で、「警察を呼びますよ!」との警告書を掲示するという挑発を行ったため、抗議の声が一段と高まり、ロープを乗り越え、「中へ入れろ!」と正面玄関に殺到。玄関を固めていた職員・機動隊ともみ合いになった。

10分程もみ合った後、抗議者側は代表数人の入庁と話し合いを要求。1時間後に代表3人が入ることを県幹部に認めさせ、担当部局に住民の思いを伝えるよう要請した。

市民の前で議論せよ

一時間後、代表として入庁した3人が玄関に戻ってきて、報告を聞いた。

さよなら原発福井ネットワーク・山崎隆敏さんは、県に対し@過剰警備を抗議し、A再稼働についての慎重審議を求めた。以下発言要旨。

「県の対応は明らかな過剰警備。装甲車を3台用意し、さらに『退去しない場合は警察を呼びますよ』という挑発まで行った。こんな態度で県民の命を本当に守れるのか、 疑問だ。

福井県原子力安全特別委員12名のうち5名は、関電・三菱重工から寄付を受け取っており、内1名は関電が100%出資する研究所の所長もやっていた。この5人を解任し入れ替えるまで、特別委による審査・検討は控えるべきだ。

また県議会は、全員協議会で(再稼働問題を)議論をすることになっている。しかし、これは非公式の会議で、議事録も残らないし、県民の傍聴も保証されていない。真剣に県民のことを思うのなら、正式に議会を開き、市民の前で議論すべきだ」。

続いて、若狭連帯行動ネットワークの松下照幸さん(どんぐりクラブ)は、「現行の安全基準は、福島事故を防げなかった。福島事故の検証が十分にされていない段階で、原発の運転再開を認めることなど絶対できない。多くの原発を抱えている福井で、まず原発の運転再開を阻止しなければ、未来が心配だ」。

グリーンピース・ジャパンのエネルギー担当の高田久代さんは、「短期間で即席で作られた今の安全基準で、原発の運転再開を判断することは絶対に許せません。なんとか運転再開をやめさせるようみんなで呼びかけていきたい」と話した。

仙石(民主党政調会長代行)も福井入り 民主党総力で再稼働へ

この日は、仙谷民主党政調会長代行も福井入りして、再稼働への説得を試みた。福井県自治会館に民主党県連所属議員を集め、政府見解を説明した。地元議員からは、地域の経済振興策についての要望や、再稼働への不安(福井女性議員の会)が表明されたが、仙石氏は、電力不足への危機感を前面に押し出して再稼働への同意を求め、「自家発電による対応も限界がある」など、経産省官僚が作成した資料に基づく説明に終始した。

説明会後の記者会見では、フリージャーナリストから厳しい質問が飛んだ。「弱者の味方として活動してきた弁護士時代を知る者として、仙石さんのあまりの変化に驚いた。今は、電力業界の代理人になっているのではないか」、「今夏の電力需給予想に関して、原発なしでも『不足しない』という専門家の予想があるにもかかわらず、『不足する』との経産省官僚作成資料に基づいており、経産省の言いなりになっている」など。

仙石氏は、「弁護士と政治家は違う」「経産省の予想の方が説得力がある」など、苦しい回答に終始した。

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