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2012/4/20更新

放射能から琵琶湖を守ろう   大津で集会とデモ

インチキなインスタント安全基準に不信感増幅

野田政権が、財界・電力会社の意向を受けて原発再稼働への動きを強めている。昨年末、事故原因解明もなされないまま事故収束宣言を発して、世界から顰蹙をかったが、今回は、原発なしでも停電しないという現実を覆い隠すためだけの茶番だ。再稼働の焦点は、関西電力・大飯3・4号機(福井県おおい町)。反原発運動側も急ピッチで阻止行動を始めてている。

4月7日、大飯原発再稼働に反対する市民集会とデモ行進が、大津市なぎさ公園周辺で行われた。14基ある若狭原発での大事故は、いのちの源=「びわ湖」を放射能で汚染し、京阪神全住民が影響を受けるのは必至だ。(編集部・山田)

大飯原発再稼働は許さない

「大飯原発再稼働を許さない―4・7関西集会」は、「さいなら原発・びわこネットワーク」などでつくる実行委員会が主催。近畿各地から600人が集まった。

共同代表の仲尾宏さん(京都造形芸術大客員教授)は、主催者あいさつで、「大飯原発で事故が起これば、風が放射能を運んで近畿の水瓶=琵琶湖が汚染される」と説明。

「『頑張ろう日本』というスローガンが溢れているが、今必要なスローガンは『変えよう日本を!』である」と、呼びかけた。

続いて服部良一衆議が登壇。「予算委員会でも再稼働問題が審議されてきたが、暫定的安全基準は、原子力安全保安院自身が再稼働には無関係だと認めているほど、杜撰でデタラメ極まりないもの。再稼働を絶対阻止し、今夏に予定されている環境エネルギー政策の見直しで、六ヶ所村再処理場を止めよう!」とアピールした。

また、福井県美浜町で反原発運動を続ける松下照幸さん(63)は、「知事や議会が一体になって再稼働を推進し、反対の声も上げづらい」と報告。「国会の(福島第1原発)事故調査委員会の結果も出ていないのに、再稼働は無謀。再稼働の一念が先行し、安全が二の次になっている。大飯原発の停止に向け、共に闘ってほしい」と支援を求めた。

福島からの避難者からも発言があった。南相馬市から大津市に避難してきた青田勝彦さんは、「1975年から18年間、福島の原発差し止め訴訟の原告として活動したが、心配していたことが現実になった。被災後も、南相馬は余震がひどくて眠れなかったが、7月に大津に避難してきて、ようやく熟睡できた。ところが、滋賀県に隣接する福井県にも14基の原発があると気づいてからは、不安でまた眠れなくなった。再稼働阻止のために、大きな声を出していきましょう」と呼びかけた。

京都の長谷川羽衣子さんは、若者が横につながって反原発アクションを広げていると報告した上で、「(再稼働容認の)政治判断がなされる場合は、道路封鎖で阻止する」と決意表明した。

おおい町長、取締役の会社 原発関連工事受注

6年で4億4800万円

おおい町長は辞職しろ!

再稼働準備が進められている、おおい町の時岡忍町長(福井県)が前代表取締役だった「日新工機」が、関電発注の原発関連工事を計4億4800万円受注していたことがわかった。赤旗・毎日新聞が報道した。2010年までの6年間に、原発関連工事を少なくとも65件、直接受注だけでも19件、約3億円分あったという。電力会社による露骨な買収工作といえる。

大飯原発3、4号機の再稼働には、福井県やおおい町の同意が必要で、町関係者は「原発と利害関係の深い町長に公正な判断ができるのか」と批判。反原発運動側も、「町長は、関西電力の利害関係者なので、近畿一円の住民の命と健康に関わる関電大飯原発3・4号機の再稼働について同意する資格はない。同原発の再稼働拒否を通告し、直ちに辞職すべきだ」と反発を強めている。

地元同意のため買収工事発注

日新工機は、濁水処理プラントの修理や販売などを手がけており、時岡町長は、1996年まで代表取締役。現在、代表取締役は長男だが、町長は、非常勤取締役で、全株式の約46%を保有する筆頭株主だ。

同社が福井県に提出した工事経歴書によると、2003年4月から11年3月の期間に関電などから受注した「大飯3・4号機ETA排水処理設備冷却水配管」などの原発関連工事は73件で、総額は少なくとも4億6800万円。そのうち関電からの直接発注は、19件で3億400万円にのぼるという。(赤旗)

同社の関電からの直接受注は05年度以降、急激に増加したが、05年に関電は、大飯原発の原子炉容器上ぶた交換のために、地元の同意を得る必要があった。

時岡氏は、再稼働について「関西のエネルギー事情を考えるとやむを得ない」と容認する態度を表明している。

参加者はこの後「若狭の原発から琵琶湖を守ろう!原発に依存しない社会をつくろう!」と叫びながら、会場から関西電力滋賀営業所まで2`あまりをデモ行進した。

参加した大津市の女性は、「安全性が認められていないのに再稼働するのは論外。政府は人命を最優先に考えてほしい。経済最優先というのは間違いだ」と語った。

京都・滋賀も地元自治体だ

大飯原発は、1・2号機=1979年、3号機=91年、4号機=93年に運転を開始した。福島事故で被害は日本全国に及ぶことがわかったが、大飯原発は、50`圏内に琵琶湖を包み込む立地で、事故が起これば、近畿の水が汚染されてしまう。

越直美・大津市長は、同市が大飯原発から最短で34`の距離にあるとしたうえで、「市民が再稼働に大きな不安を感じている現時点で再稼働すべきではない」と述べ、再稼働に慎重姿勢をみせている嘉田由紀子知事に同調する考えを示している。

また滋賀県は、福井原発の事故に備え、放射性物質が甲状腺に蓄積されるのを防ぐ安定ヨウ素剤の配備が必要な「放射性ヨウ素防護地域」(PPA)を、国が目安とする原発の半径50`を超え、県内全域に拡大する県地域防災計画を3月にまとめている。嘉田知事も再稼働には慎重姿勢で、関電に対し立地自治体並みの安全協定締結を求めている。

一方、枝野経済産業相は、原発再稼働について「(電力)需給に余裕があれば、稼働の必要はない」と述べ、仮に安全性が確認されても、電力需給に余裕がある地域では、再稼働を認めない考えを明らかにしている。しかし、大飯原発については、関電の原発依存率が高いために、適用外だ。

世界各地で地震が頻発している。新暫定基準というインチキなインスタント基準で再稼働を強行し、若狭の原発群が地震に襲われた場合、再稼働推進者が責任を取ることは絶対にないし、取りようもない。

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