2012/4/20更新
「政府が今やるべきは、福島4号機の危機的状況への全力での対策であり、再稼働ではない」―4月9日、大飯原発再稼働に反対して、池島芙紀子さん(ストップ・ザ・もんじゅ事務局代表)らが、関電本社前で、リレーハンストを開始した。小林圭二さん(元京大原子炉研講師)らも合流して、13日まで座り込む。初日には、約40名の支援者か駆けつけた。関電前で、池島さんにハンストに入った理由・今後の行動予定などを聞いた。 (文責・編集部)
ストップ・ザ・もんじゅ事務局代表 池島芙紀子
――ハンストの目的は?
池島…言うまでもなく大飯原発再稼働の阻止ですが、私を決意させたのは、福島原発4号機の危機的状態を放置して再稼働へと突き進んでいる、野田政権と原子力ムラへの怒りです。
福島原発4号機の燃料プールは、極めて危険な状態にあり、政府と東電は、全力を挙げて対策を立てないといけないはずです。昨年の震災発生時、4号機は定期検査で停止しており、炉心に核燃料は入っていませんでした。しかし、同機の使用済み燃料プールには、通常の原子炉数個分の使用済み燃料が収められています。しかもその3分の1は、事故の4カ月前に取り出されたばかりのため、高い崩壊熱を放出しています。それ以外は、使用中の燃料です。
福島4号機は、水素爆発によって建屋が傾き、壁も天井もなく、貯蔵プールの下部構造も破壊されています。東京電力は補強工事を施しているものの、「4号機はいつドサッといってもおかしくない」と、作家の広瀬隆氏は警鐘を鳴らしています。
――ハンストを決めたのはいつ頃ですか?
池島…3月中旬くらいから、福井県知事や地元市町村に対し、再稼働に同意しないよう要望行動を行ってきました。そんな中、3月25日から中嶌哲演さんがハンストを始め、私も一緒に2日間のハンストで福井県庁に座り込んだのですが、そこで中嶌さんから「関西の人は、もっと関西で行動して欲しい」と言われました。
私も関西の議員や議会への働きかけもしてきましたが、政府・電力会社サイドの再稼働に向けた動きが激しくなったので、4月6日に関電前ハンストを決意し、7日の大津集会で皆さんに伝えて参加を呼びかけました。
この30年間、原発を止めるために思いつくことは、全てやってきたつもりです。1991年、美浜原発で細管破断事故が起こった際も、ハンストで原発に抗議しました。4号機の危機的状況を市民に報せ、再稼働を止めるためには、あらゆる方法を用いなければと思っています。
準備期間はわずかでしたが、思いを同じにする仲間は多く、今日も40人以上の市民が参加しています。
――今後の行動予定は?
池島…16日から、脱原発政策実現全国ネットワークの仲間とともに、国会議員への要請行動を予定しています。社民党と共産党は、再稼働反対の姿勢を鮮明にしているので、民主党・公明党・自民党への働きかけとなります。
嘉田滋賀県知事をはじめ近畿の自治体首長の多くが、大飯原発再稼働に慎重姿勢を表明していますが、今こそ市民が動くべき時です。福井現地と大阪で「再稼働反対!脱原発!」を行動で示していきましょう。
池島さんが指摘しているように、福島4号機は危機的だ。政府も大手メディアも言及しないが、福島4号機の使用済み核燃料は、地震等で貯蔵プールに亀裂が入り、冷却水の水位が下がって燃料棒がむき出しになれば、被覆材のジルコニウム合金が発火する事態となる。燃料プールは、原子炉格納容器のような遮蔽壁がないので、裸の核燃料が大気中で燃えるという、人類が経験したことはない、おそろしい状況になる。
全米で原子炉の設計、建設、運転などに携わった原子力専門家アーニー・ガンダーセン氏は、次のように語っている。「福島第1原発の中では、4号機が最悪だ。ブルックヘブン米国立研究所が、燃料プールで火災が起こった場合のシミュレーションをしている。もし(4号機で)火災になった場合、18万6000人が死ぬと言われている」
京大原子炉研・小出先生も、「現在の4号炉はいつ崩壊してもおかしくない、たいへん危険な状態です。再び大地震がきてバランスを崩して露出することになれば、裸の燃料棒が大気中に出てしまいます。私は大きな地震で4号炉が崩壊するのを心配しています」。
政府が今、全力でやるべきことは、福島4号機の根本的対策であり、再稼働ではないはずだ。