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2012/4/18更新

骨抜き派遣法4時間の審議で強行可決

登録型派遣・製造業派遣・ 日雇い派遣にお墨付き

栗田隆子

 3月26日。参議院会館前にて、日赤の派遣裁判原告の呼びかけに呼応して、働く女性の全国センターや派遣裁判の原告「オンナ・ハケンの乱」グループ等のメンバーが集まり、派遣法改悪反対行動として緊急アクションを開始した。「経団連・財界・派遣業界・連合の声だけを聞いていいのか!」「派遣法も知らず、派遣労働者の気持ちも分からない人たちによって強行可決されるのは異常」「人材派遣協会は、様々な形で民主や自民を取り込んできた」と、思いのたけをアピールした。

しかし、翌27日の参議院労働委員会では、参考人招致もなく、たった4時間の審議で賛成多数で通過し、28日には、参議院本会議で可決、法案成立となった。

民主・自民・公明3党合意の改正案は、@日雇い派遣(30日以内の期間が定まった雇用)の原則禁止、A違法派遣があった場合には派遣先の企業(実際に労働者が働いている企業)が直接雇用の契約を申し込んだとみなし、社員になる道を開く「みなし雇用制度」を、法の施行から3年後に導入、B派遣会社が受け取るマージンの公開義務付け、などが盛り込まれた。

 「経団連・財界の声だけを聞いていいのか!」

 今国会での主な派遣法の修正点として、@「登録型派遣。製造業務派遣の原則禁止」という文言の削除、A原則禁止される日雇派遣の範囲を「2カ月以内」から「30日以内」に修正、Bまた日雇い派遣の原則禁止の例外として、「専門26業務」(※1)の中の17・5業務(※2)が指定されたこと、C日雇い派遣の原則禁止の例外として、「雇用機会の確保が特に困難な場合」という文言を追加(困難な場合については、厚生労働省の審議会の政令で決められる)、D労働契約申込みみなし制度の施行日を「法の施行から3年経過後」に延期、という5点が挙げられる。事実上製造業への派遣や、仕事のあるときだけ雇用契約を結ぶ登録型派遣が認められる内容となった。

(※1)専門26業務とは、労働者派遣法の施行令で定められた特定の26業務のこと。いわゆる派遣の規制緩和(2004年の製造業解禁等)以前から派遣が認められていた業務。現在ではファイリングなど専門とは言いがたい業務もこの専門26業務に加わっている。

(※2)17・5のうちの「0・5」業務とは、専門26業務のなかの「受付案内、駐車場管理等関係」業務を「受付・案内関係」(日雇い禁止の例外業務)、「駐車場管理等関係 」(日雇い禁止業務)に分けたもの。女性の就いていることの多い「受付・案内関係」のほうが日雇い禁止の例外業務となっている。

また、修正点@の原則禁止の例外である「雇用機会の確保が特に困難な場合」とは、「60歳以上の高齢者、昼の学生、副業として従事する者、主たる生計維持者ではない人たち」の状況であるという説明が、参議院厚生労働委員会の中で行われた。つまり、日雇い派遣予備軍とは、高齢者、学生(若年層)、そして主たる生計維持者ではない人たち(現状では多くの女性)である、と政府は捉えているということである。

また、東日本大震災の被災地で仕事を失った人々に対しても、今後適用される可能性は大である。「失業か、さもなければ不安定雇用か」―弱い立場に置かれた人々が、選びたくもない選択肢を突きつけられる状況は、今後ますます激しくなるだろう。

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