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2012/2/20(月)更新

【往復書簡B】津田頼子さん×遙矢当さん

2012年 介護保険法 改正        認知症ケアと地域社会の再構築

往復書簡の第3回目は、「認知症ケア」について。家族にとって、認知症は、なかなか認めたくない現実だ。今回のやり取りでは、認知症高齢者ケアの問題から、《人と向き合う》《地域社会を再構築》という介護の根本を問うものとなった。(編集部)

(以下一部全文は1441号を入手ください。購読申込・問合せはこちらまで。)

遙矢当から津田頼子さんへ

重要なのは介護者のコミュニケーション能力

 介護保険改正のための委員会の「介護給付費分科会」でも、認知症ケアについては大いに取り上げられました。それによると、今後認知症ケアは、大きく2つに分かれるイメージです。

 第1は、介護職以外のサポーターによる認知症ケアの推進です。市民参加による「認知症サポーター」の養成は、関西でも進んできているのか、とも思います。

 第2は、介護保険外のサービスによるケアです。例えば、地域支援事業の一つとして、認知症ケアを位置づけようという自治体も出てきているようです。

 認知症ケアは、一定の習熟した技術(移乗や手技)よりも、介護者のコミュニケーション力によって左右されるケアともいえます。ですから、技術的に長けた介護スタッフであっても、認知症高齢者への接し方が安定しているとは言えないのです。

 したがって、技術に長けた介護スタッフは、ALSなど高度な対応を要する利用者や、ターミナルケアなどの対応に当たる、という発想も出てきています。

 限られた人材でより良い介護をめざすなら、介護専門職に限らない、多様な人材で当たる必要があろうかと思います。

 先送りされた在宅ケアへのサポート

 認知症の発症原因は、加齢と老化によるものから若年性のもの、さらにはHIVによるものなど、多様です。それゆえに、本人を取り巻く家族は「うちの父母、夫・妻は認知症とは違うのではないか」「うちの場合は治る認知症かもしれない」などと、認知症であることへの否定的な認識が強く残っています。また、加齢とともに進行していく認知症に対する理解が深まらないなど、認知症に対する啓発は、なお不十分だと言えます。

 認知症が「治りうる」ものだったとしても、治していくための医療と福祉の体制が、まだまだ不足しています。しかし一番大事なのは、「個人」「人として」認知症の人と向き合うための技術や、社会全体のコミュニケーション力をもう一度取り戻す、そういう街づくりだと思います。

津田頼子から遙矢当さんへ

ケンカしながら元気に生きる社会を

 認知症ケアについて手探り状態だった6年前、デイサービスの開所を前に、小澤勲先生(岩波新書『認知症とは何か』著者)に講演に来ていただきました。宇治の茶団子を手土産に持参された小澤先生は、「認知症は何か」というテーマで、ケアの視点として、次の2点を強調されました。

 @認知症を病・障害と見定める→これは認知症をかかえることの不自由を知り、的確なケアを届けるためです。A人生の軌跡、人柄、状況を知り、「分かり方」を深める→ひとりひとりの人生が透けて見えるような、心に寄り添うケアを目指しましょう。そして、介護者にとっておむつ交換やトイレ介助、移動支援といった技能だけではなく、「人」としての対応、かかわりあい方が大事だ─ということを教えていただきました。この教えを心に刻んでいます。

認知症の人、その人をかかえる家族、そして、時間労働で認知症の方を介護する人たちや周りで支える人たちが、「ボケたら困る」とか「このくらい自分でやってよね」とか「忙しいんだからはやく食べてよね」とか本音をぶつけ、ケンカしあいながら、お互いが共に元気に生きる社会をつくっていく、という方向性と、強い意志が大事だと思うのです。

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