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2012/3/14更新

1/23 「ガールズトーク@横浜孤族≠こえて」

「家事伝い」の名のもとに放置されてきた若年シングル女性

横浜での就労支援の取り組み

1月23日、フォーラム南太田(男女共同参画センター横浜南)で、「ガールズトーク@横浜“孤族”をこえて」が開かれた。昨年12月9日、朝日新聞の連載『孤族の国第4部女たち』は、将来の不安を覚える無業で未婚の女性たちは、「家事手伝い」という理由で、社会から放置されている現状を報告した。さらに横浜市男女共同参画推進協会が行う就労支援である「ガールズパソコン+しごと準備講座」と就労体験の「カフェ」を紹介した。また同日、同紙で「単身女性の3割強が“貧困”(相対的貧困率[※]が勤労世代で32%)である」という衝撃的なニュースも報じられ、その記事に寄せられた反響を受けて「ガールズトーク」は開催された。

会の第1部では、2008年から横浜市男女共同参画推進協会が行ってきた若年シングル女性の調査や就労支援の取組みが報告され、第2部では、当事者が体験をわかちあう場や、さまざまな立場の人の情報交換の場が設けられた。第1部の報告を中心に紹介したい。(編集部栗田)

生きていくための就労支援

横浜市男女共同参画推進協会は、「マイクロソフト市民企業活動」の助成を受けながら、生活困難を抱える若年シングル女性の自立支援を目指すプログラムとして、ガールズ編「パソコン+しごと準備講座」(略称「ガールズ講座」)を開いている。講座を修了した人の中で希望者は、面接を経てカフェに入って研修し、段階的にスキルアップして一定期間アルバイトとして働くこともできる仕組みとなっている。

2009年に「ガールズ講座」の立ち上げを担当した小園弥生さんは、「若者サポートステーションに相談に行く利用者の男女比は7対3。女性は家事手伝いという名の下で放置され、社会の支援が届いていないことが明らかになった」と語る。

講座の対象は15〜39歳の女性。多くが対人関係で困難を抱えており、10代後半〜20代前半の参加者は高等教育機関を卒業していなかったり、不登校で中退している人が多い。また、就労経験も「ない」、あるいは「非正規の就労のみ」の傾向があるという。一方、30代後半で高等教育を受けている層は、職場でのパワハラや性被害などの傷つき経験を持っている。「全体に自己肯定感を持ちにくく、通院している人も多いですが、芸術等の才能を持っている人も多いと感じています」(小園さん)。

また、「緊張感で身体が固まって声が出ない」受講生が多いことから、からだほぐしや、ボイストレーニングなどから入るプログラムになっている。受講後、彼女たちは「世の中に期待しすぎず、さまざまな社会的サポートを活用して生きていければいいと思った」と感想を述べている。

安心して働ける場所「めぐカフェ」

講座終了後の就労体験として、「めぐカフェ」が、昨年11月にオープンした。

カフェの責任者として迎えられた丸橋克美さんは、レシピづくり・料理と就労トレーニングを担当している。

「安心な就労体験の場所となるようにと思っています。働くことは人に喜ばれて楽しいと思ってもらいたい。声が出なくて硬い表情をしている人も多いですが、何カ月かたつうちに、ニコっと笑うようになってくれる、そういう変化がうれしいです」と語る。

彼女自身もうつを経験し、現在はシングルマザーとして、非正規雇用の仕事を掛け持ちしている。

「老後が不安なので早く死にたい」

『孤族の国』の連載を担当した朝日新聞記者の高橋美佐子さんは、「取材対象を見つけても、コンタクトを取り続けることが困難だった。また社内では、実際は管理職の女性は少数であるにもかかわらず、『男女の差別はもはやない』という声が上がり、女性の問題を取り上げることは困難だった」との苦労を語りつつ、「記事発表後、ものすごい反応があった」と、読者からの声を紹介した。

「老後が不安なので、なるべく早く死にたい」という30代の女性。「病気の療養の日々で、『元気そう』と言われるがバイトもできない。遊びに出かけても、働きもしないで、怠けている私が遊びになど行っていいのかと罪悪感を覚える」(20代の女性)。40代の女性からは、「母の病気介護で時々休むと、『子どももいないのに休むなんて』と言われる」。

質疑応答では、「男性が就労しないと社会問題になるが、いつも女性は後回しにされる」「子育て支援は多いが未婚女性の支援はほとんどない」「今の世の中で就職の入口でつまづいたら、立ち上がれなくなる。そこでこけた人は『甘え』『自己責任』と言われる」「独立に踏み切れないので、貧困女性が集まって住める、(かつて漫画家が集まっていた)トキワ荘のような住居が欲しい」との声や、「自分は主婦だが、収入が無くても伴侶がいればいいのだろうか?」等の意見が出た。

集会後、「このような事業が全国に広がって欲しい」「家族以外の人としゃべったのは久しぶりで、楽しかった」という感想が上がった。

分かちがたい就労支援と生活支援

就労状況について、アンケートを受講者66名に対して行ったところ38名が回答。うち、就労した人は25名。内訳はアルバイト15名、パート1名、派遣3名、フリーランス5名、正社員1名であった。その他は通学、市民活動に参加、作業所、デイケアに通所しているとの回答だった。

就労以外で講座に参加したメリットとして「生活習慣が整った」「仲間ができた」をあげる人もいた。

人生のレールを外したら終わり、と思い込まされる状況はあまりに残酷である。いかなる生活スタイルであっても生きていける社会制度や社会資源を充実させ、その上で様々な生き方をしている人に出会う場こそが大切であると痛感した。

※相対的貧困率世帯所得をもとに、国民一人ひとりの可処分所得を算出し、それを順に並べ、真ん中の人の所得の半分に満たない人の割合を指す。2009年の日本全体の貧困率は16%。

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