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2012/2/20(月)更新

【往復書簡A】津田頼子さん×遙矢当さん

2012年 介護保険法 改正         「24時間地域巡回サービス」の課題と展望

往復書簡の第2回目は、「24時間地域巡回型訪問介護サービス」について。厚労省は、この「24時間サービス」を、日常生活の場で医療や介護、福祉サービスを含めた様々な生活支援サービスを適切に提供する「地域包括ケア」実現の目玉事業として位置づけているようだ。介護・福祉の現場から見た、この「24時間サービス」とは…?(編集部)

(以下一部全文は1438号を入手ください。購読申込・問合せはこちらまで。)

遙矢当から津田頼子さんへ

利用者のケア選択の自由を奪う「24時間サービス」

まず伺いたいのは、豊中で福祉事業を続けている皆さんが、24時間サービスについて期待と関心を持っているか?という点です。豊中市は、きめ細かな地域福祉が形成されているので、そもそも需要があるのか?といった疑問があります。

24時間サービスの難しさは、
@自社の従業員のみによるサービス提供が難しく、他の事業所と連携して、初めて成り立つサービスである。
A現時点でなお、厚労省は、設置基準自体を明確にしていない(12月現在)。
B地域密着型サービスになるにもかかわらず、指定認可を受ける一つの市町村だけでの運営は極めて厳しい。周辺の自治体も協議を進め、営業エリアの拡大も必要条件となる。
C利用者に24時間サービスの意義、メリットを理解してもらえるか。
D包括ケアになるので、他の介護サービスとの併用が極めて難しくなる。
Eこの新サービスに対応できる、一定経験を持つ介護スタッフが確保できるのか。

─になるのでしょうか。

24時間サービスは、「利用者の必要から生まれたサービス」とは呼び難いものです。介護給付費分科会でも具体的な内容を詰め切れないまま、議論が終了しました。

24時間サービスの大手独占に抗う面白さを

そもそも、24時間のサービス内容の説明が、利用者に一切行われていないことも、私としては不信感を抱いています。こんな状態でスタートしたら、24時間サービスの事業所は「開店休業」の事業所が続出するかもしれません。24時間サービスでは、介護士、看護師の専門職が相互に巡回します。

介護士の医療行為について@で議論しましたが、看護師が携わるべき医療行為を、人員の不足やスタッフの技術、経営効率から、介護士に医療行為を不正に実施させる、などのモラルの低下までも懸念されます。それでも私は、来春に向けて「24時間」の準備と企画を始めましたので、とても不安な日々を送っています。

24時間サービスは、大手介護企業(ジャパンケアサービスグループなど)が独占するかも知れません。それに抗っていく面白さを創っていくのが、私の支えです。

津田頼子から遙矢当さんへ

地域の事業所が住民と協力して作る「地域福祉」構築を!

在宅のケアマネージャーをしていると、お泊りのできるデイサービス事業所には助けられます。ショートステイ(短期入所介護)は、通常2カ月から3カ月前に予約をとらなくてはならず、必要時にお泊りができないことが多いのです。その点、普段顔なじみになったデイサービスでそのままお泊りができるのは、本人にとっても家族にとっても安心です。緊急時の夜間対応には、お泊りのできるデイサービスを利用していただいています。この点は、遙矢当さんとは意見を異にするところですね。

夜間対応型訪問介護サービス事業所は、地域密着サービスなので、許認可は市町村がもっています。一社独占で、ここ豊中市でも、「ジャパンケアサービス」が担っており、必要な機器類は助成金での整備だと聞いています。

緊急ボタンがあって、夜間に15分以内でヘルパーさんが来てくれるサービスは、とても重要だと思います。しかし、このサービスで困るのは、利用できる時間帯が夜の10時から朝の7時までだという点です。つまり、夜の6時から10時まで、朝の7時から9時までは、ブラックホールなのです。だから、利用者負担で月1000円は、安心料として払ってもらっている方ばかりでした。

いったん崩れた社会の互助組織を、サービスをつなぐシステムで再構築するのは、コストが高くつくとも思っています。来年度の介護保険改定で太字になっている「地域ケアシステム」は、うまく機能するんでしょうか。

24時間訪問介護は事業としてはどうなんでしょうか? 当市では、夜間型訪問介護の利用者が増えないせいかどうか、夜間に緊急でボタンを押した方が、「今たてこんでいるので、1時間待ってください」と事業所から言われて、「必要な時に役に立たない」といって利用を止めた方がおられます。ご家族でも、緊急電話がなったとしても、1時間で来られる方は少ないと思うのですが、夜間に不安になられる方は我慢ができなくなっておられます。かといって、事業所としてはスタッフ配置を多くすると、採算がとれないでしょうしね…。

新潟県長岡市で実践されている地域包括ケアのように、地域で様々な事業所が協力して、住民と一緒につくっていくのが、地域福祉だと思います。私も微力ですが、志を同じくする人たちや様々な事業所と一緒に、笑い声のある街づくり地域づくりを、ぼちぼち続けていきたいと思っています。

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