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2012/2/9(木)更新

1/30  「4・5釜ヶ崎大弾圧」裁判が結審

2010年7月の参議院選挙で「投票呼びかけ行動」をした4人の活動家が「威力業務妨害」に問われた裁判が、1月30日に結審した(河原俊也裁判長)。大阪・釜ヶ崎にある萩之茶屋投票所前で、大谷さん・南さん・阪口さん・佐藤さんらは、「住民票を削除された人も、投票できる可能性がある。投票に行こう!」との宣伝活動や抗議を行ったが、これが「威力業務妨害」とされた。

日雇い労働者・野宿生活者であるがゆえに、「住所」を持てず、選挙で投票できない釜ヶ崎労働者。そんな異常な事態を放置してきた大阪市。4人に対する逮捕・勾留・起訴は、選挙権回復のために起ち上がった労働者・支援者をつぶそうとかけてきた、理不尽な弾圧に他ならない。(編集部・一ノ瀬)

 釜ヶ崎労働者の参政権   ──司法の判断は?

当日の大阪地裁大法廷(201号法廷)には、4人を支援する関係者がつめかけた。検察の論告求刑、弁護人の最終弁論、被告人意見陳述と、4時間にもおよぶ中、傍聴席の人々は、弁護人や被告の訴えに熱心に聞き入った。

検察は、@徒党を組んで投票所前に押しかけ、投票所の業務を混乱させ、正当性は認められない、A門前で4重の規制線を張ったのは、民法にいう管理権の行使であり正当である、B選挙権回復は区役所の窓口で行うべきものであって、投票所でおこなうものではない─などと主張し、4人にそれぞれ懲役1年2カ月を求刑した。

弁護側は、4人の行動は、日本の民主主義を根底から支える、参政権を奪われているという違憲状態を解消するための正当で重要な意義のある行為である、と主張。このような行為が罪に問われるのであれば、表現の自由などに重大な影響を及ぼし、萎縮させてしまう、そうなれば誰もデモに参加できなくなる、と訴えた。

一方的に選挙権を奪われたままであるにもかかわらず、「ひょっとして住民票が回復できて、投票できるかもしれない」と投票所に足を運んだ人の入場を、警備員や職員による人垣を作ってまで規制した大阪市の違法性が批判された。

「私の行為がもし違法というのなら、裁判長、平和憲法の解釈からどのような言論が可能なのか、ご教示いただきたい」(阪口さん)。

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 投票所の門前で規制線

これまで続けられてきた「投票呼びかけ行動」によって、多くの釜ヶ崎労働者が投票所で住民票を回復させ、投票できたという実績がある。大阪市が、《投票日の4カ月前から選挙区に居たことを証明できれば、投票させる》ことを明言したからだ。大阪市は、萩之茶屋投票所に、その確認のためのブースを設けて対応していた(2010年参院選では、設置せず)。

しかし、大阪市はそのことを、職員にも釜ヶ崎労働者にも十分に周知していない。事実、住民票消除直後の2007年4月の統一地方選では、選挙管理委員会が、投票所で3カ月分のドヤの宿泊証明を提示した労働者・Tさんに、「ドヤへの住民登録がなければ投票できない」として、仮投票すらさせなかったという事件があった。Tさんは大阪府・市を相手取って裁判を起こし、昨年11月、一審で実質勝訴。大阪市に賠償命令が下った。第三者の監視の目がなければ、萩之茶屋投票所で、さらに多くの人が選挙権を回復できなかっただろうことは、想像に難くない。

参政権を奪い取った大阪市こそ被告席へ

この弾圧の背景にあるのは、2007年3月の釜ヶ崎労働者の住民票職権消除だ。これによって、選挙権も奪われてしまった。大阪市は「住民基本台帳法に基づいて、適切に作業する」と繰り返すのみで、憲法で保障されているはずの参政権を奪い、「仕事もなくてお金がないから、住民票をおける場所がない貧乏な労働者を、選挙から排除している」(南さん)という、違憲状態に放り出したのだ。

「裁判長は《話し合いによる解決》が必要と言われますが、その話し合いの場すら設定しようとしないのが大阪市 なのです」(佐藤さん)。

釜ヶ崎労働者と支援者は、選挙権を回復させるように必死の努力を重ねてきた。例えば南さんたちは、釜ヶ崎中のドヤ(簡易宿泊所)を訪ねて周り、投票所で住民票回復に必要となる宿泊証明を書いてくれるドヤの一覧を作り上げ、労働者に知らせたし、釜ヶ崎解放会館の稲垣さんたちは、「労働者が安心して住民票をおける場所をつくれ」と、大阪市に申し入れをおこなったりした。

そして選挙のたびに、「あきらめずに選挙に行こう!」と呼びかけてきた。実際、そうやって投票できた労働者が、過去何十人もいたのである。

この裁判の被告は、「警備員に体当たりした」「投票を妨害した」とされている4人ではなく、参政権という基本的人権を奪った大阪市であるべきだ。

釜ヶ崎労働者や野宿生活者を人間扱いしない大阪市がその差別体質を改めない限り、怒りの声が止むことはないだろう。判決は3月28日に行われる。

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