人民新聞オンライン

タイトル 人民新聞ロゴ 最新版 1部150円 購読料半年間3,000円 郵便振替口座 00950-4-88555┃購読申込・問合せはこちらまで┃人民新聞社┃TEL (06) 6572-9440 FAX (06) 6572-9441┃Mailto:people★jimmin.com (★をアットマークに)
HOME社会原発問題反貧困編集一言政治海外情報投書コラムサイトについてリンク過去記事

2012/2/9(木)更新

公園を私企業に売却のため野宿者を暴力的に排除

東京スカイツリーで街おこしをはかる東京下町エリア(墨田区・江東区・台東区)。5月開業を控えて、河川敷や周辺公園で生活するテント生活者排除の動きを強めている。テント生活者を追い出して、スポーツ施設を建設し、売却する予定もある。

今年1月12日、都市公園法に基づく「除却命令」に続き、20日には行政代執行法に基づく「戒告書」が張り出された。強制排除を避けるために工事完了地に移ったが、27日には、同地に職員とガードマンと公安総勢約100名が大挙して押しかけ、テント村をフェンスで封鎖した。この際、ガードマンらの暴力で、けが人が出ている。

一方、テント生活者たちは、強制排除に反対してテント村に泊まり込みの支援を続ける若者たちと共に、2月1日、江東区役所包囲デモ(80人参加)を敢行。強制排除がいつ行われてもおかしくないという緊迫した攻防が今も続いている。「山谷ブログ」を基に状況をまとめた。

今年の東京は格段に寒い。朝晩は氷点下になることもしばしば。テントを追い出されれば、凍死の危険性もある。(文責・編集部)

  (その後の経過は 山谷ブログ-野宿者・失業者運動報告 を見て下さい。)

江東区竪川で公園封鎖

1月27日、江東区は合計100人ものガードマン、作業員を動員して、多くの野宿の仲間たちが生活する竪川河川敷公園の3分の1をフェンスで封鎖するという暴挙に出ました。現在、竪川河川敷公園の約1qに渡る範囲が封鎖され、その中で野宿の仲間たちが暮らすという異常事態となっています。

これまでの経過

【2006年に公園の改修計画→中止へ】

竪川河川敷公園の改修工事が明らかになったのは2006年の3月。テント生活してきた人々は、団体交渉を要求し、交渉の席で水辺と緑の課の課長荒木は「排除はしない」と明言。この後、全面改修工事は一旦中止された。

【改修計画再開と野宿者追出し】

2009年初改修工事計画が再開。「排除はしない」という確約があったので、公園で暮らす人々は工事に協力する方針。しかし区民からの問い合わせに対し、江東区は「工事後は公園の野宿者をゼロにする」と回答。工事は、野宿者追い出しがその主目的であることが鮮明になった。実際、工事は公園全体をスポーツ施設で埋め尽くす予定。

江東区は、これまでの@「排除はしない」という約束(2007年3月、水辺と緑の課課長荒木による)、A行政代執行の対象地域は、工事に際し、水辺と緑の課自らが水路を埋め立てて準備した「移転地」(2010年9〜10月に準備された)であること、B「工事が終わった後のことについては十分な話し合いを行う」、「たとえ工事終了後のエリアに小屋が移っても強制的な手段はとらない」という約束をすべて反故にして、暴力による野宿者追い出しの道を突き進んでいます。

再移転した先の広場は、既に改修工事が終了しており、年末から強行されている行政代執行手続きとはまったく別の場所です。27日、江東区はその広場のテント小屋に対し、「指示書」(警告書)を貼ってまわり、フェンス設置・封鎖を強行しました。一方的なやり方に説明を求めても沈黙し、抗議する当事者・支援者をガードマン、江東区職員らによって暴力的に排除。殴る・蹴る・引きずるなどの暴行により、多数のけが人が出る事態となりました。

このフェンス封鎖について、水辺と緑の課の課長荒木は、「工事の見直しをする」「区民から不安の声が上がっている。区民の安全の確保だ」と、法的根拠もない理由を挙げて開き直りました。この事態に、朝から多くの人々が駆けつけてテントは守られました。しかし、封鎖→排除の危機は続いています。

▲竪川のテント村

そもそも野宿者に対し「住民が不安を感じているから排除されて当然」なる名目は、まさに野宿者に対する少年達の襲撃を煽り、正当化する偏見です。

今、封鎖された公園で暮らしているのは、江東区により造成された移転地で昨年まで暮らしてきた人たちです。昨年末、移転地以外の地域の工事が終わると、今度は移転地からの追い出しの手続きがとられました。移転地で暮らしてきた人々は、強制排除の手続きが進む中、不承不承、移転地から移動したのでした。

ところが、新たな場所に移った小屋に対し、区はなりふり構わぬ暴力をもってフェンスを設置し、公園を封鎖したのです。

(以下一部全文は1437号を入手ください。購読申込・問合せはこちらまで。)

公園開放! 江東区役所包囲デモ

1月30日には、体調が悪く時間がかかっていたが移転を準備していた一軒の小屋に対し、ついに行政代執行の令書が配布されました。小屋の住人・Aさん(60才代)は、若い頃から港湾の倉庫作業を20年以上もしてきた人です。食料、衣類、惣菜などの倉庫で、フォークリフトや玉掛けの作業をこなしてきましたが、仕事が少なくなって会社がつぶれ、20年前から野宿するようになりました。竪川へ来て15年以上になるといいます。

こうしたなか、2月1日、この事態を広く伝え、野宿者の生存権を訴えるために、江東区役所包囲デモを行いました。11時からの集会は、司会から竪川でのテントの追い出しについての大まかな説明があったあと、竪川テント住民が一言ずつ挨拶しました。

続いて荒川河川敷のテント住民、渋谷、三鷹、立川、経産省前テント、そして関西有志からのアピールと続き、11時半に集会を終え、80人ほどでデモに出発。ジャンベやドラムを叩きながらドラムデモを行いました。

江東区役所に着くと、平日の昼で職員がいますから、デモは自然とヒートアップしました。テント住民当事者の「公園開放!」といった短く繰り返しやすいが、思いのこもったシュプレヒコールが出て、盛り上がりました。こうして江東区役所をゆっくりと一周。長くもなく、爽快なデモでした。ビラの受け取りもよかったそうです。

 公共空間の私企業への売却

今回の野宿者追い出しは、公共空間の私企業への売り渡しと裏表の関係にあります。竪川河川敷公園において昨年7月31日に完成したカヌーカヤック練習場の運営は、私企業に委託されています。その他、フットサル場などの運営が同様に私企業に委ねられる予定です。

… 貧者の暴力的な追い出しは何の解決にもなりません。

HOME社会原発問題反貧困編集一言政治海外情報投書コラムサイトについてリンク過去記事
人民新聞社 本社 〒552-0023 大阪市港区港晴3-3-18 2F
TEL (06) 6572-9440 FAX (06) 6572-9441 Mailto:people★jimmin.com (★をアットマークに)
Copyright Jimmin Shimbun. All Rights Reserved.